北海学園大学卒業後、北海学園大学大学院 経済学研究科 修士課程に進学。博士後期課程進学後、ライター業を始めその縁でWebマーケティングの世界へ。現在は東京でWebマーケターとして活躍する傍ら、映画脚本の分野でも活動中。

(写真は本人提供)
インタビュー実施:2025年5月3日 @Zoom上
(前編・中編はこちら)
大学院を目指している方へのメッセージ
――:「社会人大学院を目指す方」に向けて、何かメッセージをお願いできますか?
石山:もし「大学院に興味が出てきた」というのであれば、それはもう、大学院に行ってみたらいいと思います。
その時点で「縁」があると僕は思うんです。
だって、普通はそんなふうに思わないですから。

――:ああ、そうですよね。
石山:だから、「大学院にちょっと興味あるな」と思った時点で、それは大事なきっかけだと思うんです。
果敢にチャレンジしてもいいんじゃないかなと。
別に博士まで行けとは言いません。マスター(修士課程)で十分です。
大学生も大学院に行こう!
石山:また大学の学部生の方にも大学院進学を勧めたいと思っています。
いわゆる周りの同期たちは、もう社会人になっているかもしれませんが、そんなことは気にしなくていいです。
学部新卒で企業に入るよりも、大学院在学中に起業家のコミュニティでもいいし、経営を学ぶ場とか、そういう体験を積んでおく方が、人材としての価値は高まると思うんですよね。
その方がむしろ良いのではないかと。
あとは「目的を持って学べるかどうか」ですよね。その“学びの意欲”があるかどうかが大事だと思います。
大学院で学んだ内容が、仕事にも直結する!
――:いいですね。ありがとうございます。
石山さんの場合は大学院で学んで得た考え方や視点が非常に役立っているというのが伝わってきました。
石山:追加しますと、大学院で学んだ内容がいま実はすごく役立っているんですよ。
たとえばヴェブレンとか、科学哲学とか、意味論とかですね。
大学院の学問によって物事の本質を見抜く力がついた用に思います。
例えば学問によって「世界って何だ?」「文化って何だ?」ってことが少しわかると、「物が売れるってどういうことか?」ってことも見えてきます。

マーケティングに必要なのは、「人間は物を買っているんじゃなくて、価値を買っている」という視点。
これまさに、ヴェブレンの考え方なんですね。
人間って、物そのものを手に入れるのが目的ではない。
こういう「人間の深い洞察」は、ヴェブレンとか意味学派から学んだことが大きいです。
マーケティングをやっていれば、やっぱり意味論というか、そういう「価値の本質を考える力」が、これからのビジネスにおいては非常に重要なエッセンスなんだと思います。
――:素晴らしいですね。大学院での学びを徹底的にやりきったからこそ、石山さんがそういう力を身につけられたのだと思います。
石山:そうですね。大学院での学びがじわじわと効いてきている気がします。
――:ですよね。社会学って、「人間がどう世界を認識しているのか」「何に価値を感じているのか」を言語化し、説明する学問ですから。
その力がWebマーケティングにも活かされていて、今後の石山さんのさらなるご活躍にもつながっていきそうですね!
「とにかく大学院生活を楽しんで!あとは本を読もう!」
――:いいですね。わかりました。
それでは、ざっとインタビューを聞いてきましたが、最後に何か言っておきたいことなどありますか?
石山:もし大学院に入るなら、「どうか楽しんでほしいな」と思いますね。
あとは事前に自分の関心がある領域の本をたくさん読んでおくほうが良いですね。

修士っていう短いタームの中で、「自分が何を探究したいのか」なんて最初から分かるはずないんです。
正直、めちゃくちゃ迷子になると思います。
普通は「あれ?俺ってこれやりたかったんだっけ?」みたいに思うんですよ。
だからこそ、早いうちから「自分の関心のある領域の本」をたくさん読んでおくといいんじゃないかなと思います。
テーマ探しって本当に難しいんですよね。実質的には1年の間で見つけなきゃいけない。
でも、そんな簡単に見つかるものじゃない。
特に人文系は大変です。
もちろん、社会人の方だったら、明確なテーマが見えてるかもしれないけれど、それでも迷うと思います。
だからとにかく「本を読む」ことですね。
――:それはとてもいいアドバイスですね。
石山:あと、自分が「ベースにしたい本」を見つけておくといいです。たくさん読みすぎると、逆に迷子になるだけなので。
「この考え方が好きだ」とか、「この人の思考の枠組みで物事を捉えてみたい」と思えるような、自分の“主軸にしたい著者”の本を探しておくといい。
それに集中すれば、きっとハリのある大学院生活を送れるんじゃないかと思います。
――:学びの多いお話をありがとうございます!
石山:こちらこそ、こうしてアウトプットの機会をいただけて面白かったです!
インタビューを終えて
石山さんと初めてお会いしたのは2016年4月のこと。私が教員を辞めて独立した当初のことでした。
当時、石山さんは博士後期課程に在学中。その時から「非常に知的な人だな」という印象を持っていました。
そこから一緒に勉強会をしたりイベントをやったりと楽しくかかわらせていただいています。
今回もこういうインタビューを行えたこともとても嬉しく思っています。
石山さんの場合、大学院で学んでいた認識論がいまWebマーケターとして役立っているだけでなく、言語化能力や幅広い教養もいま仕事をするうえで大いに役立っている、といいます。
大学院で学ぶことはそのまま仕事にも直結する。
学問は今後の自分の身を助けてくれる。
このことを石山さんの姿から学ばせていただきました。
今後も大学院での学びをもとにご活躍なさっていかれることを思うと、次にお話する機会がとても楽しみになりました。
今回のインタビュー、本当にありがとうございます!

今回は「研究系大学院」に学部から進学した方のインタビューのため、他の方のインタビューとは若干違う色合いがあるかもしれません。
ですが、お読みいただくと研究系大学院で学ぶ抽象思考は専門の仕事をする際にも有効に機能することを実感いただけるのではないかと思います。
ぜひあなたも大学院で今後の自分に直結する学びを深めていきませんか?
「社会人大学院生インタビュー」はこちら!
Webマーケター石山広尚さんインタビューの第3弾。大学院でのシンボリック相互作用論などの学習がマーケティングにおける本質を見出すスキルとしていま役立っていることを語ってくださいました!