長年産婦人科外来で勤務し、母性看護専門看護師(CNS)を目指し大学院に進学。資格取得後、母性看護分野をより良くすべく実践に取り組む。

(インタビュー実施日:2026年1月12日@Zoom)
大学院を目指したきっかけ
――:きょうはBさんのこれまでのご経験や、大学院に進学された背景について、いろいろお話を伺えればと思っています。
B:はい、よろしくお願いします。
――:最初に、大学院に行こうと思われたきっかけからお聞きしてもいいですか。
B:そうですね……、もともと私は産婦人科の外来で勤務していたんですが、その中でずっと気になっていたことがありました。
――:どんなことだったんでしょうか。
B:たとえば、がんの手術などで卵巣を取って、早く閉経してしまう方がいらっしゃるんですね。
そうすると女性ホルモンが急になくなるので、生活習慣病や骨粗鬆(そしょう)症になりやすくなります。
通常の更年期よりも、かなり早い段階で影響が出るようになります。
でも、そのことをきちんと伝えたり、健康維持のための指導をしたり、という支援が十分に行われていないと感じる場面が多くて。
――:そこが抜け落ちている、と。
B:はい。
現状ではどうしても「がんの治療をするんだからいいでしょ」ということが重視されていて、その後の生活のことは二の次になっている印象がありました。
リンパ浮腫の領域も似たところがあって、「がんで手術してよくなったんだから、リンパ浮腫くらい我慢しなさい」というような空気を感じることもあります。
女性がかかるがんで、しかも女性ホルモンに影響する治療をしているのに、ホルモン補充を積極的に行う動きも長い間ほとんどありませんでした。
それがガイドラインに載ったのはつい去年のことで、そういった部分がやっと注目されるようになってきました。

――:現場でずっと違和感を持ってこられたわけですね。
B:はい、ただ、そのときは「研究をしよう」とは考えていませんでした。
でも、他の人が一般的にあまりやっていないことでもやっていかないといけないんじゃないか、という思いはありました。
医療業界ってどうしても学術的・理論的な裏付けが求められますし、正直、学歴があることで納得されるところもあります。
それで、大学院進学を考えるようになりました。

CNSという選択
――:大学院にもいろいろなコースがありますが、Bさんの場合は専門看護師、CNSのコースですよね。
B:はい。研究をするなら「論文コース」もありますが、私の場合は専門看護師の資格を取る、という方向のほうが重かったです。
――:CNSは、実践・臨床家としての位置づけですよね。
B:そうです。実践がベースにあって、もちろん研究も付随しますが、あくまで臨床実践が軸足になります。
――:かなりハードな道だと聞きます。
B:正直に言うと、本当に大変なところしかなかったです(笑)。
大学院生活の現実
――:具体的には、どんな大変さがありましたか。
B:私が通っていた大学院では授業の1コマがすごく長いんです。
1コマ135分。
――:135分ですか! それが1日に何コマも。
B:最大で4コマですね。
設定上は6コマあるんですが、終わるのは夜の8時、9時になることもありました。
教育・研究・看護理論など、基礎科目をマックスで取る必要がありました。

――:課題も相当多かったのでは?
B:「この文献を読んでまとめてきてね」とか、「この資料をもとにここまでやってきてね」と、いきなり出されます。
でも、やり方が分からない。
なので同じCNSコースの人たちと情報交換しながら、「私はこう思うけど、どう?」と聞いたり、一緒に考えたりして、なんとかやっていました。
――:大変な機会でしたね…!
2年間の流れと「演習」の過酷さ
――:Bさんのコースは2年間だったんですよね。
B:はい。私が行ったコースは2年しかなかったです。
私が通っていた母性看護領域のコースは2年しかなくて、助産師になりたい人のコースと少し被るところがありました。
基盤が一緒なかたちですね。
2年間、すごく大変でした。
――:1年目の授業の様子はどういう形ですか。
B:1年目までは座学が中心なんです。
前期の授業は6月くらいで終わります。
そのうえで後期が始まるまでの間に「演習」という実習みたいな授業が入ってきます。
病院に行って行う授業があるんです。
実習先の状況によりますが、CNSのコースなので、指導教員は施設の医師または看護師で、学校の先生がいるわけではありません。
そこでは実習要項みたいなものも含めて、大きな目標を掲げられている感じがあり、内容がざっくりしていました。
「自分の学びたいことを自由に選べる」という形ではあるんですけど……。
実際は、目標設定をすること自体が学習内容になっていて、計画を立てるところから実践して、修正して、というのがすごく大変でした。
さらには終わったらレポートも多くて夏休みも実質3日くらいしかなかったですね(笑い)。
実習期間が続き、最初2週間の演習、そのあと2週間の演習。
毎日実習記録を書いて、そのあとレポートを出さなきゃいけなくて、さらに次の実習の計画も立てないといけない。
あっという間に終わっていきました。
――:本当に大変でしたね…!

課題研究と「資料作り」
――:それと別で課題研究(修士論文のようなもの)も進める必要があるんですよね。
B:そうですね。修論ほど単位数が多くないのが課題研究ですが、「どんなテーマにするか決めておいて」と言われます。
文献調査をして、自分で詰めながら進めていきました。
ちなみに1年目は授業自体でも、いろいろ課題を作る必要がありました。
外国人看護に熱心な先生の授業ではブラジル人学校の在学生に性教育をする授業の資料を作る授業がありました。
――:後期も相当忙しかったのではないでしょうか?
B:もう後期もレポートやなんやらで追われて、1年が終わりました。
座学の授業でもスライドばっかり作っていた気がします。
「この資料をパワポの資料にまとめて」という課題が多かったですね。
2年目は「ほぼ実習」—研究計画と実習の同時進行
――:2年目はいかがでしたか?
B: M2の4月には研究のことを具体的に決める必要があって、研究計画書を書きます。
6月くらいに実習1が始まるんですが、2年目はほぼ実習で、とにかく実習でした。
殺人的な形でしたね(笑)。
研究フィールド(研究先)が自分の施設(自分の勤務する病院)ではないのでその施設がどういう施設なのか調べて「この施設にどういう貢献ができるか」を組み立てて行く必要があります。
そのうえで「こういうことができます」というのを、そこにいる人が理解できるように話して活動していく必要があります。
母性看護領域だと、周産期も入ってきます。
周産期は専門看護師の認定試験に出るので、直接助産をしないとはいえ知識がないとまずいんです。
授業に産科の実習が入っていたので産科の妊婦さんのアセスメントをすることにもなりました。
助産師さんの初歩みたいなテキストを持ち歩いて、「ああでもない、こうでもない」と考えながらやっていました。
修士2年目は実習2と実習3もありました。
実習2が6週間、実習3が8週間です。
その間に研究もする必要があり8月に研究のアンケートを取りました。

(次回に続きます)
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