
(インタビュー実施日:2025年3月21日@Zoom)
愛知県出身。関西大学在学中から社交ダンスを始め、ダンス大会入賞を機にアメリカ・ニューヨーク進出。そのままダンサー・マジシャン・スタンダップコメディアンと活躍の範囲を広げる傍ら、日本帰国中は特定社会保険労務士としても活動。ニューヨークで活躍するコメディアンとしてNHKや日本テレビなどに多数出演。安倍首相が主催した大使館晩餐会で司会を務めるなど実績多数。
2023年から明治大学大学院経営学研究科修士課程(経営労務プログラム)に進学、2025年に修了しMBA(経営学修士)を取得している。
公式YouTubeチャンネルは「リオ小池リオ式英語チャンネル登録いりませんチャンネル」
著書に『英語は最初の10秒!』(ダイヤモンド社)がある。
☆前編はこちら。
目次
「できないところは人の力を借りよう!」
小池:僕は大学院に入った最初のうち、「全部自分でキチッと取り組まないといけない」と思っていたのですが、数ヶ月で「あ、これだと卒業ができない」と気づいたんです。
なので、そこからできない部分は他のクラスメートを頼ったり、修士論文であれば副担当の先生に相談したりするなど他の人の助けを借りるようにしました。
例えば、僕の場合適切に文章をまとめて書くのが難しかったので、そういう部分で助けを求めるようにすると周りがヘルプしてくれました。
――:そうなんんですね! 他の人の力を借りるということ、すごくいいですね!
小池さんは以前ご自分の地元・愛知県で行われたTEDにTEDスピーカーとして出演されていますが、その中でも人を頼るという大事さを話されていました。
まさにご自分で実践されていたわけですね!
動画:誰もが忘れている成功への不可欠な要素 | 小池良介 | TEDxAnjo
https://youtu.be/hdHtkSBvPM4
小池:「僕はこの部分、一人ではできないんです」って伝えるようにしていました。
今の僕らみたいな50代は新しいことをするのが難しいところもあります。
だからこそ周りに「ここはやるからここだけ頼む」って周りの力を借りるようにすると、非常に効率的でしたね。
――:なるほど〜。実際、仕事しながら小池さんが2年間で修了されたということ自体、すごいことですよね!
大学院に入って良かったこと・良くなかったこと
――:大学院入ってみて何か良かったことと、あるいは逆に良くなかったことについて伺いますでしょうか。
「社会人大学院生だけどお笑いサークルに入りました」
小池:これ、良かったことは多分これを読んでいる方に共通しないと思うんですよ。
1つ目はサークルに入ったことですね。
社会人大学院生とはいえ、学生なんで明治大学のサークルに入れるんです。
僕は『明治大学お笑いサークル木曜会Z』というお笑いサークルに参加したんです。
そこでは19歳の工学部の学生と「僕とおじさん」というコンビを組みました。
ちなみに、プロの芸人ママタルトさんはこのサークルの先輩にあたります。
――:お笑いサークルに入ったんですね!というか、社会人でも入れるんですね!
小池:明治の先生方からも「私が受け持った大学院生の中で初めてです」と言われました(笑)
普通の大学生として明治大学のサークル2つに応募したんですけど、その中の1つは「58歳の大学院生」ということで断られたんです。
でも、もう1個のほうが入れてくれました。
それが明治大学お笑いサークルという、結構プロも輩出している名門サークルです。200名在籍していました。
――:200名ですか!小池さんも普通にサークルに参加されてたんですか?
小池:そう、まさにサークルに参加させてもらいました。夏合宿にも行きました。
――:夏合宿ですか!年齢でも全然違いますよね。
小池:年齢の縛りがなかったから参加できました。
そのサークルで漫才をやることになったんですが、19歳の工学部の子が僕と組んでくれました。
他にもコントをやることもありました。この前は全国大会で明治大学のチームの一員として出て、いじられ方がすごかった(笑)。
――:大学生活、めっちゃ満喫されてますね。
小池:これを言うとそういう風に言われます(笑)。
みんなが受け入れてくれたのが良かったなあと思います。
――:いやー、すごいですね!挑戦する方もすごいですけど、受け入れるサークルの方もすごいですよね。
小池:やってわかったけど、いまお笑いやっている人たちってホント優秀ですね。
――:今、大学お笑いの波が来ていますからね。
小池:頭のいいやつがお笑いやったら強いよね。

「ユーモアと職場コミュニケーションをテーマに修士論文を書きました」
――:他に良かったこと何かありますか?
小池:大学院にいて色んな人と関わる中で優秀な人を見分ける力がつきましたね。
教授と同級生とか先輩だけじゃなく、修士論文の補助教授の先生に相談しながら修士論文を書いたんです。
修士論文を書くときに何も全部を自力でやらなくても、相談することで導いてくれるんだなっていうのが体感としてありました。
MBAでの修士論文は『ユーモアと職場のコミュニケーション』というテーマで書きました。
他の院生がテレワークや年金制度などを研究している中、僕は自身のお笑いのバックグラウンドを活かして、ユーモアが職場での関係性にどう寄与するかを探究しました。
――:小池さんは当たり前のようにおっしゃってますけど、他の人を頼るであるとか、何か分からないときに人に聞くとかって、意外と社会人大学院生でできない人が多いんですよね。
小池:他の人の論文などをちょっと参考がてら見せてもらったんですけど、一人で寝ずに頑張っている人もいました。
他にも僕の同級生に65歳の人がいるんですけど、この人はマイクロソフトのWordが使えない、って行っていました。
そういう時、僕なんかは「周りの人を頼ればいいのにな」と思います。
それはWordの使い方って、論文の執筆という本筋とは関係ないからです。
すごく苦戦してたんでこの方は「自力では無理」と思ったみたいです。で、僕も「この補助教授の先生に頼ったらいいよ」と僕の頼った頼り方を紹介してあげたらしんどさが割と和らいでみたいです。
結局、この方も無事卒業できました。
――:良かったですね。
小池:良かった。何もなければほんとに死にかけたと思います。人に頼らないと本当に大変ですよね。
――:なるほど〜。どちらかいうと大学院って「一人で頑張らなきゃいけない」とか、「全部できなきゃいけない」みたいな感じで思い込んでいて、それで入ってからも苦労する人も結構多いかもしれませんね。
小池:そのこと、割と最初から教えてあげるといいと思います。
――:そうですね。人の力を頼るのってすごく大事なんですね。
小池:後々聞いたらみんな周りの力を借りていたみたいです。
同級生はみんな優秀だなと思ったけど、けっこう周りがバックアップしてくれて、お膳立てしてくれいたところがありましたね。
もちろん、頼り方がみんなそれぞれ違いましたけど。

これからの展望は?
――:なかなか大変なところもある中で、大学院修了まで行かれたこと、本当にすごいなって思います。
大学院修了後、今後の展望はございますか?
小池:今月3月いっぱいで卒業というところまでやっとできたばかりなので、実はもうへとへとですね、本当に。
これから実感してくるんだと思いますけど、大学院に行っていると、周りの反応も変わってきたように感じます。
たとえば「大学院に行っている」というとかなり応援してくれたり、見る目が違ってきたりというところがあります。
多分僕みたいな人物が大学院に通っていると意外に思われることもあります。
修士号を持っているというと、何となく話に信頼度が増している感じもありますね。
――:いいですね!
小池:そもそも言えば最終学歴も変わるもんね。関西大学卒業から明治大学大学院卒業に変わるんです。
――:この学位ってこれ海外でも通用しますからね。
小池:まあ自分自身は変わっていないんです。修士論文作ったぐらいです。でもそれで周りの評価が代わり、信頼も増しました。
入る前はそんなことは思いもしなかったけど、入ってる時にはそういうのがひしひしと感じて、親も喜んでいるしね。
ちなみに、卒業は2025年3月26日で、4月4日には再びニューヨークへ向かいます。
今後の展望としては2026年に東大の言語学系大学院に進学したいという新たな目標もあります。

「お金がかかったことが大学院で良くなかったところ」
小池:大学院で唯一良くなかったという点を言うならば、僕の個人的に言うと、お金はまあまあかかったことです。
参考になるかわかりませんけど、大学院の学費が年間80万円くらいでした。
私立の中では安いとはいうものの、結構しますね。
僕の個人的な負担で言うと新幹線通学の費用も結構しました。
ですけど、最終的には正当な投資だったと思います。

――:良かったですね。投資価値は十分にあったと。
小池:もし住んでいた場所が東京近辺だったら新幹線代がかからなかったのでもっと良かったでしょうね。
――:そういうふうに言っていただけると、「大学院進学を目指そう」という方も増えてくるように思います。
小池:大学院進学にあたり、藤本さんという「通訳者」がいることでストレスをかなり軽減できたというのが大きいですね。こんな仕事してる人、少ないもんね。
大学院進学の情報自体がないから、通訳者に情報をもらったら挑戦していけるというのが大きいように思います。
――:嬉しいお言葉をありがとうございます!
小池さんは大学院に行きたいという十数年越しの思いを今回ついに達成なされたわけですね。
本当におめでとうございます!
大学院を目指す方へのメッセージ
――:いま大学院を目指されてる方もたくさんいらっしゃいます。
大学院進学を目指している社会人の方にメッセージをお願いします。
小池:大学院って導いてくれる人がいたら、かなり悩みが減ると思うんですよ。
研究計画書みたいな書類も書き方が分からないときに悩んでいるとそのままになってしまいますが、「通訳」してもらえると作業が進みます。
自力でやろうとするとグジグジするだけなので、人を見つけて適切に頼っていくといいですね。
実は僕の同期って5人いたんですけど、結局一人留年したんですよ。
違いは何かなと思ったら、この方は周囲を頼らなかったことなんです。

――:なるほど〜。
小池:この方は大学からそのまま進学してきた方だったんだけど自分でやろうとしすぎてうまくいかなかったところがあったかもしれません。
だから人から聞いたり人に頼ったりするのが大学院で重要なのだと思います。
――:いろんな方に言ってるんですけど、私も1回目の大学院修士課程2年生の時にうつになった事がありまして。
研究の進め方が分からないとか、何か調査が進まなくなると、「自分は能力がないんだ」「才能がないんだ」みたいに落ち込んでしまったところがありました。
小池:悩むと進まなくなりますよね。そうそう、僕も明治大学院の最初の3ヶ月くらいは一人でやれるのかなと思ってやってたんだけどノイローゼになっちゃって。
そういう時、うまくいかなくて本当に辞めちゃう人もいるっていう話をその時聞いたんです。
なのでそこからは自力で全部やるのは諦めて、ちょっと手伝ってもらうように切り替えていきました。
――:「どうやって研究したらいいのかな」とか、「そもそも論文ってどう書くんだろう」みたいなこととかを聞ける相手がいるといいですよね。
小池:そうですね、気持ちがちょっと崩れた時に誰かいるという安心感は絶対大きいですね。
――:うちの塾も大学院の学習が始まったあとも通ってくださる方が多くいらっしゃいます。
だからなにか困ったときに相談できる人や場所があると大きいですよね!
大学院の中ではライティングセンターみたいな場所や学生支援課みたいなところでサポートしているところもありますね。
小池:でもそういうところって、藤本さんと違うよ、やっぱり。
相談に行ったけどけっこう対応が冷たかった時も多かったよ。
色々な手続きもそうですよね。「これどうやって記入したらいいの?」というふうに思うときもありますね。
あとは平日17:00で窓口を閉めちゃうこともあるので社会人に厳しいですね。
――:であればうちの塾が何かお役に立てていれば嬉しいです!
いよいよ卒業式では小池さんがそのガウンと学帽を着て卒業なさるわけですね!
今回、小池さんに大学院に通ってみての様子を聞いてきましたが、小池さんが明治大学のお笑いのサークルに入られたというのが一番印象に残りました(笑)
小池:みんなサークルに入るべき。
――:大学お笑いサークルの学生さんがプロになることはあっても、プロのコメディアンの方がお笑いサークルに入るって通常の逆ですよね(笑)。それをできるのが小池さんのすごいところだと思います。
小池:僕はネタを一回も作れなかったんですけど、彼らが俺をネタにしてくれました。
まさに大道具みたいな存在でした(笑)
――:いやいや、プロとしてそれを受け入れるってすごいなって思います。
小池さんの度量の深さを感じます…!

収録を終えて
小池さんとのZOOMインタビュー、とても和やかに実施をできました。
小池さんとは経営コンサルタント・板坂裕治郎さんの経営者勉強会でのプレゼンイベントで知り合いました。
「ニューヨークで活躍するコメディアン」であり、過去はウッチャンナンチャンの「芸能人社交ダンス部」の企画にも登場した社交ダンスのプロでもあり、マジシャンとしてもプロとして活躍するなど「雲の上」のように感じる肩書の方です。
…ですが、実際にお会いすると自分の弱点を平気で見せてくるとても気さくな方であり、イメージが少し崩れました(笑)
そこからの縁で、小池さんの著書出版記念パーティーを札幌で開催したときも主催者としてかかわらせていただきました。
小池さんが明治大学大学院を目指されるときもうちの塾にご相談くださり、あれこれ一緒に対策を考えていったのが懐かしいです。
今回無事卒業なさっただけではなく、「次は東京大学大学院も目指しています」という次なる目標も伺いました。
向上心が本当に素晴らしいですね!!!
ぜひ今後ともよろしくお願いします!
動画はこちら!
社会人大学院生インタビューシリーズ!
社会人大学院生インタビュー第15弾はニューヨークのスタンダップコメディアンであり特定社会保険労務士でもあるリオ小池こと小池良介さんの登場です!最初のうち全て自分一人で大学院の課題をやり切ろうとするも数ヶ月で「これではムリだ」と実感、そこから周りの力をうまく借りることで無事2年で卒業できたと言います。インタビューの後編、お届けします!