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研究論文の書き方シリーズ第14弾!
「研究論文って、どう書けばいいかわからない…」
そんな声にお応えすべく、研究の進め方から解説する「研究論文の書き方」シリーズ、今回もお伝えします!
前回までは一通り研究論文を書き終えるまでの流れを説明してきました。
「参考文献って、どうやって書いたらいいのかわからない…」
そんな声をよく耳にします。
参考文献の作り方には学問的ルールがあります。
単なる「読んだ本のリスト」ではなく、自分の研究の信頼性を支える重要な要素なのです。
今回は、研究論文の最後を飾る「参考文献」をテーマに、基本的なルールから解説していきます。
参考文献とは何か?
研究論文の最後のページに書かれるもの。
それが「参考文献(参考文献一覧)」です。
参考文献とは自分の論文の中で引用した研究・書籍・論文などを一覧化したものです。
たとえば本文で「佐藤(2025)によれば〜である」といった引用をした場合、引用文の著者である佐藤さんの論文情報を巻末に記載することになります。
これは単に“出典の明示”だけでなく、
「この研究はどのような学術的蓄積の上に立っているのか」
を示す行為です。
つまり、参考文献とは「研究の土台を見せる設計図」のようなものだといえるのです。

参考文献に抜けはないか?
ちなみに大学院のゼミや研究発表の際、真っ先に見られるのがこの「参考文献」のページです。
よくあるのが
「〇〇さんの〜〜という論文が入っていませんけど、調べましたか?」
というもの。
学問分野では「その分野を語る際、必ず書くべき参考文献」が存在しています。
似たような研究やその分野の第一人者とでも言うべき研究者の文献がこれに当てはまります。
すでに「先行研究の検討」の場所でもお伝えしていますが、まずは自分の研究に近いテーマ・関連するテーマの文献を網羅的に検討していく必要があります。
その際、これまでの研究を踏まられているかどうかを示すのがこの「参考文献」の欄になるのです。
並べ方・書き方の基本
参考文献の記載方法にはいくつかのスタイルがあります。
ここでは代表的な2つを紹介します。
① バンクーバースタイル(Vancouver Style)
工学や医学系など、主に理系の国際誌などで採用される形式がバンクーバースタイルです。
バンクーバースタイルを使う場合、本文中で引用した順番にしたがって数字をつけていきます。
例:
遺伝の法則は生物学の基礎概念の一つである[1]。
巻末の参考文献リストではその番号順に詳細な書誌情報を記載します。
このような形です↓
[1] Sato T., (2025). The Principle of Inheritance. Journal of Biological Studies, 12(3), 45–56.
※論文名・著者名などはすべて架空のものです。
特徴は引用順で番号をつけること。
読者が本文を読んで、対応する文献をすぐ探せる構造となっています。
(ただ、書く側にとってはけっこう「やっかい」な書き方です。
「何番がなにの研究だったか」よくわからなくなりがちだからです…)
バンクーバースタイルを使うときはWordなどの「文末脚注」機能を使うと便利です。
そうでないと引用箇所が増減する際すべての数字を打ち直す必要が出てくるからです…(経験がありますが、これツラいです…)

② ハーバードスタイル(Harvard Style)
社会科学や人文科学分野で一般的なのがこの「ハーバードスタイル」。
本文中では著者名と発行年を示します。
例1:
佐藤(2025)が述べるように、学習動機の理論には多様なものが存在する。
例2:
「学習動機には多様なものがある」(佐藤2025)ため、本研究においても多様な動機を列挙することとする。
そのうえで巻末の「参考文献」の欄では著者名のあいうえお順(またはアルファベット順)で文献名を並べていきます。
次のように書きます。
佐藤太郎 (2025). 「学習動機の構造」,『教育心理学研究』第58巻 第2号, pp.123–140.
この方式は、著者名を中心にした整理が可能なため「誰の研究をどれくらい引用しているか」
が一目でわかるという利点があります。
また書く側にとっても読む側にとっても「どの引用をしているか」がわかりやすいという特徴があります。
(私もこっちのほうが好きです)
なお、引用の仕方には著者の引用文をそのまま引用する「直接引用」と、著者の引用文の概要を自分の言葉で説明する「間接引用」の2つがあります。
先の例では、例2が「直接引用」、例1が「間接引用」に当たります。
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それぞれの細かな違いに注意!
なお、同じバンクーバースタイル・ハーバードスタイルであっても、大学や学会誌によって細部のルールが異なります。
たとえば――
- 著者名の後に「.(ピリオド)」を入れるかどうか
- 英語文献の場合、タイトルをイタリックにするか
- 引用元がウェブサイトの場合、アクセス日を記載するか
こういった点は、投稿先の雑誌ごとに異なります。
したがって、論文を投稿する際には、まずは投稿先のスタイルガイドを確認しましょう。
多くの学術誌では「投稿規定」や「執筆要項」に参考文献の書き方例が載っています。
また、すでに投稿されている雑誌の「参考文献」欄を真似るのもおすすめです!

どの順番で作るのか?
参考文献については本文執筆中に引用するたび別紙や別ファイルなどにまとめておくと後が楽になります。
執筆途中で参考文献リストを別のファイルやノートに追加しておくと、「どのページを引用したか」を忘れずに済みます。
例えば先程の例ですと佐藤(2025)に関して本文で記載するたびに別のWordデータに佐藤(2025)の論文名やページ数などを打ち込んでおくといいでしょう。
そうすると「あ、あの文献を書き忘れた…」を防ぐことが出来ます。
文献の管理は“手打ち”ではなく“自動化”の時代
参考文献一覧を作る時、多くの人がつまずくのが、“手作業”だけで作ってしまうことです。
たしかに数本なら手打ちでも何とかなります。
ですが、修士論文・博士論文のように何十本・何百本もの文献を扱うと、途端に地獄のような作業になります。
引用順がずれたり、著者名を間違えたり、スタイルを統一できなくなったり…。
(特に、Wordの文末脚注を使わず手打ちでバンクーバースタイルで参考文献を書く場合、ホント地獄です…)
こうした混乱を防ぐために役立つのが文献管理ソフトです。
すでにZoteroなどの文献管理ソフトについても説明していますので、詳しくはこちらを御覧ください↓
まとめ:参考文献は「研究の履歴書」
参考文献を正確に整えることは、単に形式を整えるだけでなく、あなたの研究がきちんと学術研究の「流れ」に乗っているものかを示す役割を果たします。
どの文献を読み、どんな理論を踏まえ、どう新しい知見を築いたのか――。
それを示してくれるのが「参考文献」です。
研究者によっては参考文献の一覧を見るだけで「どういう研究であるか」読み取れる人までいます(私の指導教員がそういう方です)。
この参考文献の作成を効率化する最大の鍵は、日常的な文献管理です。
読むたびにZoteroなどへ登録しておくことで、論文執筆時に“すでに土台が整っている”状態を作れます。
論文は一気に書き上げるものではありません。
日々の積み重ねが最後に大きな差となって表れるのです。
ぜひ、日頃から文献管理ソフトを活用し、適切に参考文献をまとめてくださいね!

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研究論文の最後に欠かせない「参考文献」。これは単なる本のリストではなく、研究の信頼性を示す“設計図”です。代表的な書き方には理系で多いバンクーバースタイルと人文・社会系で主流のハーバードスタイルがあります。どちらを使うにせよ、投稿先の規定を必ず確認することが大切です。手作業ではミスが増えるため、Zoteroなどの文献管理ソフトを活用し、日常的に文献を整理するのがおすすめです!