目次
研究論文の書き方シリーズ第4弾!
「論文って、どう書けばいいかわからない…」
そんなお悩みにお応えする「研究論文の書き方」シリーズ、今回もお伝えします!
これまでの記事では、仮説をもとに文献を調べる方法、そして文献管理ソフトを研究の初期段階から活用する重要性についてお伝えしました。
文献管理ソフトは、研究を「見える化」し、調査・分析の効率を飛躍的に高める強力なツールです。
まだ使っていない方は、早めの段階から導入することをおすすめします。
今回はその続きとして、「先行研究をどう読み解くか」というテーマを扱います。
これは研究論文を書く上で、避けて通れない重要なステップです。

「先行研究なんてもうやり尽くされている」と思っていませんか?
研究を始めたばかりの方からよく聞くのが、「もう自分のテーマは誰かが全部研究してしまっている気がする」という悩みです。
確かに、先行研究を読み進めていくと、似たような研究テーマや事例が既に存在していることに気づくことがあります。
「自分がやる意味があるのだろうか」と不安に感じることもあるでしょう。
学問とは過去の知見を引き継ぎ、発展させる営みです。
これまで、どのレベルまで研究がなされているのか。
どういう課題ががあるのか。
これを明らかにしたうえで自分の研究を行っていくことになります。
この積み重ねのうえに学問の発展があるのです。
そう考えると、全く誰も手をつけていないテーマを探すよりも、むしろ「すでにある研究の中で、まだ明らかにされていない点」を見つけることこそが、学問的な貢献になるといえます。
「先行研究が全く存在しない」ということもありえない!
なかには「自分の研究は全く新しい研究なので、先行研究は一切存在していません」という人もいらっしゃるかも知れません。
これも大きな問題です。
なぜなら、何らかの形でそのテーマに関しての研究は行われているはずだからです。
直接自分の研究テーマそのものに当てはまる研究は存在していなくとも、関連分野まで考えれば必ず先行研究が存在するはずなのです。
なので「先行研究が一切存在していません」と思う時、関連領域の調査が不十分であると意識し、再度 先行研究を探していくようにしましょう!
「学問の連続性」を理解する
研究はまったくゼロから生まれるものではありません。
過去の研究成果の上に新たな問いを重ねることで、学問の体系が少しずつ進化していきます。
したがって、自分が取り組むテーマがどのような歴史的文脈に位置づけられているのかを理解することが不可欠です。
私の研究を例にしていきます。
私が1回目の大学院修士課程において修士論文に扱ったテーマは「通信制大学の学生会組織」についてでした。
通信制大学の学生会組織自体についての先行研究は当時存在していませんでした。
ですが、例えば「通信制大学はどのような流れで設立したのか」の研究は存在していました。
また、通信制大学の運営に関わった教職員の回想録を見てみると学生会組織についての記述が書かれているものがあるのも見つけました。
私の修士論文においてはまさにこういった分野が先行研究に当てはまります。
なお、文系分野で修士論文を書く場合 制度の歴史やこれまでの研究の様子もまとめる必要が出てきます。
私の場合で言えば通信制大学の学生会組織についてこれまで行われた研究だけではなく、日本において通信制大学はどのような流れで設立されたのか、海外において同様の制度はないかなど通信制大学自体の歴史や海外比較も調べる必要があります。
さらには通信制大学に関してこれまでどういう研究が行われてきたのかもまとめる必要が出てきます。

こういう作業を通し、自分の研究が通信制大学に関する研究のどの部分に位置し、どの部分で貢献できるのかを整理していくことが求められるのです。
制度・政策資料も先行研究の一部
もしあなたが扱うテーマが社会制度などに関わるものであれば、学術論文だけでなく、行政資料や国会提出資料、内閣府・文部科学省などの審議会資料も先行研究に含まれます。
たとえば、教育政策を扱う場合は、文部科学省の「中央教育審議会答申」や国会での質疑記録なども資料として扱う必要が出てきます。
特に修士論文レベルの研究では、こうした一次資料を読み解く力が問われます。
これらを通じて、制度がどのような背景で作られ、どのような課題認識のもとに改正されてきたかを把握できます。
それはまさに、研究に厚みと説得力をもたらす要素になります。
先行研究を元に自分の研究の必然性を説明する!
先行研究を調査するのは、自分の行う研究がいかに意味があるかを説明するためです。
先行研究の穴を付き、「これまでの研究にはこういう課題がある。だからこそ今回この研究をする」という流れを説明するためにあります。
そのためには先行研究にこれまでどういうものがあり、何が明らかになり何が明らかになっていないかを説明する必要があります。

ただ、先行研究の検討をする際、自分と似たテーマの研究が見つかっても嘆く必要はありません。
その場合も例えば「これまでアンケート調査しか行われていないからこそ今回はインタビュー調査で実際の声をもとに調査をする」ということができます。
また、「先行研究では首都圏の調査に偏っているため、今回は地方都市で調査をする」と調査範囲を変えることもできるでしょう。
また「先行研究は10年前の物となっているため、今回新たに調査をし10年間での変化を検討する」ということも可能かもしれません。
いずれにしても、仮に自分のやりたい研究テーマと同じ先行研究を見つけたとしても、何らかの形で研究の穴を指摘し、自分の研究につなげることが可能です。
ぜひ諦めず取り組むようにしましょう!

先行研究の“地図”を描く
なお、修士論文などの学位論文を書く上で求められるのは、「そのテーマに関する主要な研究・議論を一通り把握していること」です。
つまり、自分の研究分野に関して「この研究とこの研究は対立している」「この論文はこのデータを使っている」といった関係性を説明できる状態にする必要があります。
この作業は、まさに“研究の地図”を描くようなものです。

どの領域がすでに研究されているのか、どこがまだ研究されていない状態なのかを説明してくことが求められます。
これが「先行研究の検討」を行うということなのです。
Excelで「先行研究一覧表」を作ろう
先行研究を整理する際、役立つのはExcelなどで「先行研究一覧表」を作ることです。
列には次のような項目を設けるとよいでしょう。
| 論文タイトル | 著者名 | 発行年 | 調査方法 | 明らかにした点 | 課題・限界 | メモ |
|---|
論文(文献)の全文または抄録(要約)を読み、これらの要素をexcelにまとめていくのです。
そうすると、いつ・誰が・どんな方法で研究をしているか、何を明らかにしたか、どういう課題や限界があるかが一目瞭然となります。
たとえば「通信制大学における学生の学習意欲」に関する研究であれば、「調査方法」の箇所にはアンケートやインタビューなどを記載していく形となります。
すでに存在している先行研究を見ていると、例えば「先行研究はいずれもアンケート調査を行ったものであり、インタビュー調査がなされていない」ということを述べることができるかも知れません。
そうなれば「学生の実際の声をもとに研究するため、自分はインタビュー調査の手法で学生の学習意欲を調査していく」という研究方針を定めることができるのです。
表を作っていれば「先行研究の検討」も行いやすくなる!
ここまで「先行研究一覧表」をExcelなどでまとめる意義をお伝えしてきました。
最初からこういう表を作りつつ参考文献を読んでいくと、表の内容を文章に落とし込めば「先行研究の検討」をバッチリ行うことが出来ます。
修士論文などの研究論文には「先行研究の検討」という箇所を設ける必要があります。
その際にもこの表を文章で説明すればスムーズに論文を仕上げることが出来ます。
読みながら「研究の構造」をメモする
先行研究を読む際には、単に内容を理解するだけでなく、次の3点を意識してメモを取りましょう。
- その研究の目的(何を明らかにしようとしているか)
- 方法論(どのようなデータ・手法を使っているか)
- 限界(何が明らかにできていないか)
これらを先にあげたExcelにまとめていったり、文献管理ソフトの「メモ欄」に入力していったりすると、論文で「先行研究の検討」を書く際 非常に役立ちます。
また、こうやってメモをしながら論文を読んでいると、論文同士の関係性も見えてきます。
「A論文とB論文は同じ問題を扱っているが、調査方法が異なる」
「C論文はA論文を批判している」
こういった情報を書いていくと、研究の全体像がクリアになるのです。
「先行研究の検討」は論文の骨格になる
先行研究を検討するのは自分の研究テーマを「学問の系譜の中でどこに置くのか」を明確にし、「何を新たに明らかにするのか」を定義することにあります。
この「先行研究の検討」がキチッと行えている論文は、読み手にとって安心感があります。
逆に、ここが弱いと「思いつきの研究」「再調査に過ぎない」と見なされるリスクもあります。
したがって、先行研究の整理・分析は、論文全体の“骨格”を形づくる重要な作業だといえます。

「先行研究の読み解き」は地道な作業…。でも確実に力になる!
正直に言えば、先行研究を読み込む作業は地道で時間のかかるものです。
ですが、この工程を通じて、あなた自身の「研究者としての眼」が磨かれます。
「どんな問いが有効なのか」「どんな方法が説得力をもたらすのか」が自然と身につくのです。
特に修士論文や学会発表を目指す場合、この「読み解き力」が研究全体の完成度を左右します。
焦らず、丁寧に一つひとつの文献と向き合っていきましょう!

次回は、今回整理した「先行研究の検討」をもとに、どのように自分の調査方法を設計するかを見ていきます。
何を明らかにするために、どのような方法を選ぶのか。
それを決めるのが研究デザインの要です。
次回もよろしくお願いします!
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研究論文を書く上で避けて通れないのが「先行研究の読み解き」です。すでに似た研究があるからと諦めるのは早計です。既存研究の課題や空白を見つけ、自分の研究の意義を明確にしていきましょう!先行研究の検討においてはExcelで一覧表を作り、誰が・どんな方法で・何を明らかにしているかを整理すると、方向性が見えてきますよ!