時間を無駄にしない調査法!仮説をもとに 先行研究・文献を探す!研究論文の書き方②

summary

研究論文を書く上で重要なのは「仮説」と「文献探索」です。仮説を立て、それを検証するために先行研究を調べることで、自分の研究の位置づけが明確になります。調査の際は①専門書の参考文献一覧から芋づる式に探る方法や②CiNiiなどの文献データベースで検索する方法の2つがあります。仮説を持って調査するからこそ読む方向性と研究の意義が見えてきますよ!

研究論文の書き方シリーズ第2弾!

「研究論文ってどう書いたら良いの…?」

そういう声にお応えする「研究論文の書き方」シリーズを今回もお伝えします!

前回の記事では、研究論文を書くうえで最も重要な「仮説を立てる」ことについて解説しました。


仮説は、単に最初に立てて終わるものではありません。


研究を進める中で何度も検証し、時に修正しながら論文全体の軸となる“思考の柱”となります。

今回はその続きとして、「仮説をもとに文献を探す」というテーマでお話ししていきます。


研究論文を書く際、最も時間がかかるのがこの「文献探索」と「先行研究の整理」です。

しかし、ここを丁寧に行うことで、研究の質と深みが格段に変わってきます!

ただ、このとき闇雲にやってしまうと山のような論文や書籍を前に「何を研究したら良いかわからない…」と戸惑ってしまいがちです。

時間を無駄にしないためにも、今回の内容を参考にしてみてください!

仮説を立て、文献を探しながら仮説を修正しよう!

前回は「仮説を立てる」重要性をお伝えしてきました。

仮説を立てることで何を調べればいいか・何を研究すればいいかが見えてきます。

仮説を立てられたら研究の半分は終わったも同然、という意見があるくらい大事なのがこのプロセスです。

私がおすすめするのは、まずは適当でも良いから仮説を立て、その仮説に基づいて文献を調査していく、というもの。

そして文献を調べる中で仮説を少しずつ修正し、最終的な論文につながる仮説に仕上げていくと早く研究論文を仕上げることが出来ます。

仮説に基づいて先行研究・文献を探す!

仮説を立てたあとは、「その仮説を検証するためにどんな研究がこれまで行われてきたか」を調べる必要があります。

せっかく仮説を立てても、同じ仮説ですでに研究されているならば研究しても無駄です。

また、これまでの学問上の研究のどの位置に当てはまるかを説明できなければ、独りよがりな研究になってしまいます。

だからこそ、仮説を立てたうえで「似たような研究にはどのようなものがあるか」「自分の立てた仮説に意味があるか」を確認・分析するために先行研究の調査が必要になります。

これまで行われてきた研究についてを書籍や論文をもとに探っていくのです。

先行研究の調査方法 2つの方法


先行研究の調査(リサーチ)をする場合、大きく分けて次の2種類があります。

  1. 参考文献を芋づる式にたどる方法
  2. データベースを使って検索する方法

まずは1つ目、芋づる式の探索から見ていきましょう。

先行研究の調査方法① 参考文献を芋づる式にたどる

もっとも基本的で、今なお有効な方法が「芋づる式に文献を探す」方法です。


まずは自分の研究したい内容や仮説に関連する本を用意します。

できれば新書や入門書ではなく専門書籍(ハードカバーでまあまあ高い本)を見つけてくるのがいいでしょう。

その本の巻末には「参考文献一覧」が掲載されています。

その参考文献一覧のなかから関係しそうな本を探し、図書館や書店(リアルまたはネット上)で入手していきます。

入手した文献の参考文献も同様に探っていきます。

これを繰り返すことで、自分の研究に関連する研究を広く網羅できます。

この方法は、一見地味ですが、研究の流れを体系的に理解するうえで非常に重要です。

私の修士論文での文献調査の例:通信制大学の学生会組織の研究

ここからは実際の私が行った研究を例に見ていきます。

私は早稲田大学大学院教育学研究科の修士課程を修了しています。

早稲田で修士論文を執筆した際、この「芋づる式探索」を徹底的に行いました。


修了論文のテーマは通信制大学の学生会組織に関する研究です。

日本大学・慶應義塾大学・放送大学など、日本国内には通信制大学がたくさんあります。

(写真:慶應義塾大学)

一般的には通信制大学は大学側が提供する教材をもとに学生が孤独に学ぶという傾向があります。

ですが、通信制大学のなかには学生会組織が結成されていることがあります。

大学公認・非公認のケースもありますが、通信制大学に学ぶ学生同士が自主的に集って交流をする学生会組織が存在しています。

研究をはじめた際の私の仮説は「学生会が存在する通信制大学の大学の方が、卒業率が高いのではないか?」というものでした。


通信制大学は基本的に“孤独な学び”になりやすく、学習意欲を維持するのが難しいという課題があります。


その中で、学生同士の支え合い——すなわち学生会活動が、学習継続やモチベーション維持に寄与しているのではないか、という仮説を立てていたのです。

『通信制大学五十年史』との出会い

この仮説を立てたうえで最初に調べた文献は『大学通信教育50周年記念 50年の歩み 明日をめざす大学通信教育』という専門書籍です。

私立大学通信教育協会が発行している本なので、信頼性も十分です。

この本には、通信制大学が制度としてどのように発展してきたかが詳細に記されています。

読み進めていくと、通信制大学でも戦後間もない時期から通信制大学が始まったことやそのなかで大学の運営をサポートするために「学生会組織」がいくつかの学校で結成されたことが書かれていました。

学生会組織では学生同士が互いに教え合いながらともに切磋琢磨している様子が描かれていました。

ですが、これはあくまで大学運営側の視点の書籍です。

学生会活動の実態やその教育的効果を深く分析しているわけではありません。

そこで私は、この書籍に記載されている参考文献一覧から大学通信教育に関する別の書籍・論文をさらに探し出していったのです。

参考文献からの“芋づる式”探索

参考文献欄に載っていた書籍を大学の図書館で調べ、使えそうな箇所をコピーしていきました。

そのなかには通信制大学を運営してきた大学関係者や、実際の学生による回想録なども含まれており、それを読んでいきました。

これらを読み込むうちに、「学生会組織を中心とした相互支援の仕組み」について、部分的に触れられている箇所をいくつも発見することができました。

同時に、通信制大学の学生会組織そのものについて注目した研究が皆無であることも発見しました。

芋づる式に読んでいくからこそ、「こういうタイプの研究はまだ存在していない」ことを突き止められたのです。

このように“芋づる式”に探索を進めていくと、自然と文献のネットワークが広がります。

最初は数冊だった参考文献の数がどんどん増えていきます。

読むごとに自分の仮説が正しいかどうか、すでに研究されていないかどうかを検討していくこともできるのです。

今回はたまたま仮説に挙げた内容がまだ研究されていないことが分かりました。

もし似たような研究が既になされていることがわかった際も諦める必要はありません。

似たような研究を批判的に検討し、自分の仮説を修正していけば良いのです。

例えば仮に通信制大学の学生会組織についての研究が見つかった場合、「この研究は首都圏の大学の学生会組織だけを扱っているため、地方都市の研究がまだ行われていない」などと批判的に検討することが出来ます。

そのうえで「私の研究では首都圏だけでなく地方都市の学生会組織も調査対象とすることで首都圏と地方都市とで学生会組織の活動内容に違いがあるかを検討する」と研究の方向性を修正していくことができるのです。

「仮説を持つ」からこそ見えてくる方向性

文献をたどっていく過程で感じたのは、仮説を立てているからこそ、読む方向性が定まるということです。

もし仮説がなければ、文献を集めても「何を読めばいいのか」「どこを見ればいいのか」がわからなくなってしまいます。

仮説があることで、「自分の主張を支持・補強する研究はあるか」「まだ誰も扱っていない領域はどこか」といった観点で文献を読むことができるようになります。

私の研究では、通信制大学の学生会に関する直接的な研究はほとんど存在しないことがわかりました。

つまり、このテーマには学術的な空白(リサーチギャップ)があったのです。

この「存在しない」という事実自体が、研究を進める大きな動機づけになりました。

研究が存在しないことの“意味”を問う

ただし、「研究がない」からといって、それだけで新規性や価値があるとは言えません。

重要なのは、「なぜその分野が研究されていないのか」「それを明らかにすることで誰にどんな利益があるのか」という点です。

通信制大学の学生会組織の研究を進めることで、私は次のような意義を見出しました。

  • 学生会組織の研究をすることで通信制大学の卒業率向上につなげることができる
  • 学生支援のあり方を「大学からの一方向支援」だけでなく、「学生同士の支援」という視点から再考できる
  • 孤立しがちな通信制学生の“学習コミュニティ形成”の重要性を示せる

こういう意義を提示できると、自分の研究に社会的意義が付与されます。

こういう社会的意義を提示できなければ「自己満足」な研究に終わってしまうこともあります。

先行研究を検討する中で、「自分の研究にはどういう社会的意義があるか」を説明できるようにしていきましょう!

先行研究の調査方法② データベースを活用する

ここまで芋づる式で調査するという方法を見てきました。

もう一つの文献探索の方法は、オンラインの文献データベースを活用することです。

現在、日本語で公開されている多くの論文は「CiNii(サイニィ)」に登録されています。

☆CiNii researchはこちら→https://cir.nii.ac.jp/

国立情報学研究所が運営する学術データベースで、無料で利用できます。

たとえば、先ほどの研究テーマであれば、「通信制大学」「学生会」などのキーワードを組み合わせて検索します。


CiNiiの場合、そのものズバリのキーワードを入れていなければ検索で見つかりません。

なので「学生会」だけでなく「同志会」「サークル」「自治会」など、別の言葉で検索してみるのも効果的です。

■ 分野ごとの代表的データベース

分野によっては、より専門的なデータベースも活用できます。

  • 医療・看護系:医中誌WebPubMed
  • 法律系:Westlaw Japanなど
  • 経済・経営系の新聞情報など:日経テレコン
  • 理系分野:Web of Science, BIOSIS


大学・大学院によっては契約されていないこともありますが、契約されているのであれば学生・院生は無料で利用できます。


(いずれも個人契約するとけっこう高価です…)

データベースによっては「アラート機能」があることもあります。

アラート機能を設定しておくと、新しい論文が出た際に自動的に通知してくれるので研究が長期に渡る場合、非常に便利です!

2つを併用しよう!

さあ、ここまで文献を見つける方法を2つ見てきました。

気づいた人もいらっしゃると思いますが、この2つは併用することが可能です。

つまり、CiNiiなどで見つけた文献の「参考文献」を見て再度検索・調査していくという形で参考文献を増やしていけるのです。

仮説があるから、文献が“意味を持つ”

もう一度強調しておきたいのは、仮説を持って文献を探すことが研究の本質だということです。

仮説がないまま文献を集めると、ただの“資料集め”になってしまいます。

ですが、仮説を持って文献を探すことで、「自分の研究がどの位置にあるのか」「何を明らかにすべきか」がクリアになるのです。

まとめ!仮説を中心に、文献を「使いこなす」

今回の内容を整理すると、次の4点にまとめられます。

  1. 文献探索は「仮説」から始める
  2. 芋づる式に文献をたどり、研究の流れを把握する
  3. データベース検索で抜け漏れを補う
  4. 「未研究」であることの意味を考え、研究意義を明確にする

研究とは、単に情報を集める作業ではなく、仮説を軸に情報を意味づける作業です。


仮説があるからこそ、文献一つひとつに「自分の問い」との関係性が生まれるのです。

なので仮説を持って先行研究を探す意識を持ってみてくださいね!

次回はこれらの文献を管理する際に役立つ文献管理ソフト活用についてを解説します!

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