キャリアアップが重荷になっていませんか?強迫観念を捨て自分らしいキャリア形成を実現するには?カウンセラー歴20年を越す向裕加さんにインタビューしました キャリアアップを科学する32

Summary

キャリアアップが強迫観念になることがありますが、重要なのは自分の軸を定めることです。他人の価値観に左右されず、自分の目標を設定することで自然な成長が期待できます。起き上がりこぼしのように何があっても自分軸に戻ることが大切です。自分らしく生きるためのキャリア形成を目指しましょう!

キャリアアップが強迫観念になっていませんか?

「キャリアアップしなきゃと思うんですが、やろうとするほど心がキツくなります・・・」

現代社会では、多くの人がキャリアアップを目指して努力しています。

1対1大学院合格塾のブログでもキャリアアップを科学する」というテーマでこれまで記事を連載してきました。

ですがこれらの記事への感想として次のようなコメントを個人的に頂きました。

「キャリアアップしようとすればするほど、今できていない自分を実感してしまい、心がツラくなります…。やらないといけないのはわかるんですけど…」

キャリアアップしようとはするけれど、それが重荷になっている。

こういうコメントです。

キャリアアップの大事さはわかっている。
キャリアアップをしたい。


でもそれが「やらなければならない」という強迫観念や重荷につながっていることもあるかも知れません。

心の専門家にインタビューしてみました!

キャリアアップに対する強迫観念をどう乗り越えるか。

これをテーマに今回インタビューを実施しました。
インタビューしたのは、札幌の大通駅前で「カウンセリングオフィス プログレス」を運営なさっている向裕加(むかい・ゆか)さんです。

向さんは「自分らしく生きる」をテーマに365日まいにちのブログ連続更新を実に5年以上行っていらっしゃいます。

向 裕加

カウンセリングオフィス プログレス代表。公認心理師/臨床心理士。
「海外のようにセラピーやカウンセリングが当たり前になって欲しい」という希望を胸に、札幌市中心部に長年の夢であったカウンセリングオフィスを2016年にオープンさせる。

20年の多岐の領域にわたる臨床経験を活かして、個人のセッションはもちろんのこと、札幌テレビ放送(STV)をはじめとする札幌市内の企業の働く人のメンタルヘルスのサポートにも従事している。

公式サイト:https://yuka-mukai.com/

インタビュー実施:2024年8月26日(聞き手:藤本研一)

キャリアアップにおける強迫観念とは?

――キャリアアップにおける強迫観念について伺えますか。

向:多くの人がキャリアアップを目指す際、社会的な地位や他人の価値観に基づいた目標を設定しがちです。

これは自分の基準ではないため、達成に向けて努力する過程で無理を感じることがあります

他人が成功の証とするものに向かって無理に進もうとするのではなく、自分自身がどこに向かいたいのかを考えることが重要です。

ーーキャリアアップの過程で感じるしんどさは、どこから来るのでしょうか?

向:多くの場合、他人の価値観に基づいた目標に向かって進むと、自分自身の基準ではないため、つらくなることが多いです。

自分が本当に大切にしているものや、自分にとっての幸せを再確認し、それと繋がることで自然とキャリアアップしていったクライアントさんもいます。

キャリアアップを目指していると、どうしてもいまの自分に満足できなくなります。

そもそも大学院などの学歴も他人が定めた価値観です。
学歴という価値観がスタンダードだと思っているといつまでも自分に満足できなんです。

たとえば大学院で修士号を取ったら満足できるかというとそうではありません。
修士号をとっても博士号があります。

博士号を仮に取ったとしても、もっと上があるんです。

そのため、他人の価値観だけで生きているといつまで経っても上を追うサイクルになってしまいます。

――では、強迫観念に囚われずにキャリアアップを目指すためにはどうすれば良いのでしょうか?

向:まず、自分の軸を定めることが大切です。

キャリアアップというと、「これをやらなければならない」といった強迫観念に捉われることがありますが、それは本来の自分の価値観や目標とは関係ないことが多いです。

大切なのは、自分が本当にやりたいことや、大切にしている価値観に基づいて目標を設定することです。

「自分はこれで十分」「自分には価値がある」という自己肯定感は外側からではなく自分の内側から作られていくものです。

他人軸ではなく自分軸なのです。

今の社会では生きていると必ずと比較されます。
だけれど「あの人はこうだけど私は私なりに頑張っているから十分」と思えるのが大事なんですね。

良くも悪くも「今の自分で十分なんだ」と思えることが自己肯定感です。

この自己肯定感は成功したり褒められたりしてできるものではなく自分の弱点も含めて自分だと認められるかどうかがポイントとなります。

生物は本来自然に成長しようとしている。

向:これはよくクライアントさんにもお話することなんですが、生きているものは自然に成長する力を持っています。

カウンセリングの父といわれるカール・ロジャーズのエピソードが面白いんです。

ロジャーズは家の地下室にじゃがいもを保管していたんですね。
この地下室には窓があり、光がほんの少し差し込んでいました。

地下室に保管していたじゃがいもであっても、この僅かな光に反応して芽が出てきたんです。

じゃがいもという生き物はちゃんとあたたかな光が当てられさえすれば、そちらの方向に自然と向かっていけるんです。

これは人間も同じです。

暖かく肯定して受け止めていくのは太陽の光を当てるようなものです。
冬に春の暖かな日差しで雪が溶けて花が咲くように、暖かな光があるとその人の内側の促進力が反応し自然と伸びていけます。

あとは必要な栄養・水分があれば自然と育っていくのです。

いまの世の中、暖かさというよりはスピードや根性論・厳しさが求められています。
ある意味で暖かさが「甘え」と考えられるようになっていますが、これはあまり良くないことです。

太陽の光は全然急速ではありません。

じんわり・ゆっくり、相手を包みこんでいきます。
そうすることで芽が出てくるわけです。

私たちカウンセラーがやっているのはそんな太陽のような下地を作ること。
暖かく受け入れた上でその人の力が出てくるようにすることです。

そうなれば他人から言われて取り組むのではなく、自分らしく自然に取り組めるようになります。

――そうなのですね!

:「これからどうしたらいいかわからない…」と悩んでいる方にも、その人の中に自然と伸びていける要素が必ずあります。

そこに気づければ「キャリアアップしないと・・・」と強迫観念に駆られることなく、自然に行動につながっていきます。

私たちカウンセラーはその人のポジティブな部分が出てきたらそれを根付かせていくのが仕事です。

結論 起き上がりこぼしのような自分軸を定める

:私たちが目指すべきなのは「起き上がりこぼし」のような自分軸を持つことです。

――起き上がりこぼしですか?

向:起き上がりこぼしって、どんなに揺れ動いても元の状態に戻りますよね。
ぶれてもまた起き上がりますし、強い衝撃があっても戻ってくることができます。


起き上がりこぼしのように、なにかあったとしても自分の軸に立ち戻ることができる状態を作るのが重要なんです。

キャリアアップの過程でつらさを感じることがあっても、自分の中心を持っていれば自然と立ち直り、さらに前に進むことができるでしょう。

自分軸が定まることで、他人の価値観に振り回されることなく、自分の道を進んでいける力が生まれます。

起き上がりこぼしのように戻ってくれる感覚を持てると不安が少なくなります。

ゆらいでも戻ってこれるという安心感があるのでちょっと自分のレベルよりも高いことにチャレンジできるんです。

価値観は変わっていっていい。

向:ただ、起き上がりこぼしのような自分軸を持つと言っても、これは絶対に変わらない価値観を定めるということではありません。

自分の価値観は生きているなかで変わってくるものです。
例えば、結婚する前の価値観と結婚した20年後の価値観は違ってきます。

ところが、みんな同じ価値観を一貫させないといけないと思い、苦しくなってしまうんです。

その人自身も変わっていく上に社会も変わっていっています。
自分の価値観を変化させていってもいいんです。

今の自分の価値観とフィットしていないものを無理やり当てはめようとして苦しくなっている人もいます。

今の自分に合っていないものを手放し、今の自分に大事なものを見出していく。
これをやらないで苦しくなっていることが多いんです。

なので、今の自分に大事なものを時折見直していくのがいいですね。

――キャリア形成おいても、「自分の棚卸し」という形で自分の価値観を確認することが重要とされています。

向:そうやって価値観を見直すのがとても大事ですね!

どの決断をするにしても、「これは自分が本当にしたいことだ」と思った決断かどうかが大事です。

どこかで妥協していたり諦めたり犠牲にしていたりすることがあります。
他人の決めた価値観だけで動いてしまったり、自分が頭のなかだけで決めてしまったりするとあとで後悔することがあるんです。

ぜひ自分軸をしっかりと持ち自分自身の成長を信じていく。
そうすると自然に自分らしく生きていけるようになります。

――向さん、インタビューへのありがとうございます!

自分の成長力を引き出すキャリア形成を!

向さんのインタビューにもありましたが、「キャリアアップをしないといけない」と強迫観念に駆られるのは、まさに他人の価値観だけで考えているところに原因があります。

他人の価値観で動いているからこそ、「やる気がしない…」「モチベーションが湧かない…」ということで悩んでしまいがちです。

でも、そうではなく「自分はどういう生き方をしたいのか」「これまでどういう価値観を大事にしてきたのか」という自分軸を定めていくことが今後の自分につながっていきます。

起き上がりこぼしのように何があっても自分の軸に立ち戻れるようにしていく
そんな自分軸を持つことが自分らしく生きることに繋がるのですね。

そうやって「キャリアアップしないと…」という強迫観念からではなく、「自分らしく生きる」ためのキャリア形成を行っていってくださいね!

ではまた!


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