博士課程生・研究者の生活を支える学振(日本学術振興会 特別研究員)制度の徹底解説!

Summary

博士課程生や若手研究者に向けた学振制度。この制度は研究活動を支える資金源として重要で、DC1/DC2/PD/RPD/CPDなどのプログラムがあり、研究奨励金が支給されます。採択率は20〜30%程度。研究キャリアの形成に役立てたい方は、ぜひチャレンジを!

大学教授の平均年収は約1,100万円!研究者になりたいという方へ。

「大学院に行って研究者になりたい…。
 でも本当に生活できるのだろうか…?」

大学教授などの研究者になりたいと考え、大学院進学をする方も多くいらっしゃいます。

大学教授の平均年収は約1,100万円となっています。

2019年度版の賃金構造基本統計調査によると、准教授の平均年収は約872万円、大学教授の平均年収は約1,100万円です。日本のサラリーマンの平均年収は441万円程度となっているので、かなり高い水準である事が分かります。

アカリクサイト 「大学教授の年収はどのくらい?仕事内容や、ライフスタイルも解説」https://acaric.jp/articles/1255

世間一般の年収平均よりも高い大学教授の給料

自分の好きな研究に専念できるだけでなく、世間的にも評価されることから人気の仕事です

実際、大学教授に憧れを持っている人も多いです。

なにより私自身が1回目の大学院在学中 大学教授になることを夢見ていました。

大学教授になるためには、論文投稿や学会発表などの研究業績が必要となります。

また、それ以前に大学院博士後期課程(修士課程の上です)を経た上で、非常勤講師や助手・助教(助教)、専任講師、准教授などとキャリアを重ねていくことが求められます。

研究者として実績を作るためにも博士後期課程への進学は必要不可欠です。

(研究者になるだけなら修士課程修了でも問題ないのですが、大学の研究職に就くためには博士後期課への進学がほぼほぼ必要不可欠となっています

ただ、博士後期課程に進学して研究を続ける際、気になるのは生活費をどう捻出するか、です。

仕事をしながら博士後期課程に進学することも不可能ではないですが、博士論文につながる研究実績をつくるのには研究だけに専念できる環境があるほうがいいでしょう。

実は日本には博士後期課程生の生活や研究者の生活を支える制度があります。
それが学振こと日本学術振興会の特別研究員の制度です

今回、この制度を紹介していきますのであなたのキャリア形成に役立ててください!

博士課程生・研究者の生活を支える学振(日本学術振興会 特別研究員)制度の徹底解説!

日本学術振興会(JSPS)には特別研究員という制度があります。

これは大学院博士後期課程生や若手研究者の生活を支えるための助成・科研費制度となっています。

研究に専念するための資金が提供されるので資料を購入する研究資金や生活費に充てることができます。

厳密には研究奨励金が生活費、研究費が研究資金というような扱いになります。

これらの制度を使うことで博士後期課程やその後の研究や生活に役立てることができます。

まずは各制度の全体像を観ていきましょう。

(出典:ホライゾン

DC1とは:大学院博士後期課程進学に申請する制度

DC1(特別研究員DC1)は、博士課程に進学する前に応募する制度です。

採用されれば博士課程1年次から最大3年間、月額約20万円の研究奨励金や毎年150万円以内の研究費を受け取れる制度です。

修士課程からそのまま博士後期課程への進学を検討している方の場合、修士課程2年の4月頃にのときに申請をする形となります。

採択率は約20%となっています

1回目の大学院在学中の私(当時 早稲田大学大学院在学)もDC1への申請をするか悩んでいました(途中から博士後期課程の進学ではなく高校教員への就職に進路変更したことから申請はしませんでした)。

私の周囲でも多くの仲間が申請し、実際に採択された人もけっこういます。

採択スケジュール

ここでDC1のほか後述のDC2・PDの採択スケジュールを観てみきましょう。

大学院在学中の場合、修士1年の終わりから準備を始め修士2年の4〜6月に申請。

8〜9月に1回目の書類審査、8〜9月頃に2回目の書類審査が行われ、10月以降に結果が発表されるという流れとなります。

ただ、ぼーっとしていてこの期限を忘れている人が時折います(笑)。

必ずしも誰かが指摘してくれるわけではないので手帳に書いて忘れないようにしましょう!

2024年度におけるDC1・DC2・PDの募集から採用までのスケジュール
(出典 https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_nittei.html )

研究者としての適性検査ツールとして活用することも!

人によっては「一度DC1に申請し、採択されれば大学院博士課程に進学する」などと研究者としての適性を判断するツールとして活用する人もいらっしゃいます。

採択されればそのまま進学、そうでなければ就職などと自らの適性を見る機会に活用するのもいいかも知れません。
(採択時期的にはDC1の申請と就職活動を並行して進め、DC1採択後には内定を辞退する形で進めることになります)

バイト禁止?!

DC1やDC2、PDでの研究奨励金は約20万円です。
1人であればおそらく生活ができる金額ですが、家族がいるとちょっとつらい金額かも知れません。

「ちょっと仕事をしてしようかな…」
そう考える人もいるかも知れませんが、原則として給料が発生する形での勤務ができないという規定があります。

TA(ティーチングアシスタント)程度のアルバイトはできますが、研究に専念することが求められる制度となっています。

このあたり注意が必要ですね…!

DC2とは:大学院博士後期課程進学に申請する制度

DC2は、博士課程2年次以降に応募する制度です。
DC1が大学院博士後期課程に進学【】、DC2は大学院博士後期課程に進学【】に申請するという流れとなります。

採用されれば残りの年限で同様の支援を受けられます。

金額・採択率などはDC1と同じです。

PD(ポストドクトラル研究員)とは:博士号取得後の支援制度

PDは、博士号取得の若手研究者を対象としたプログラムです。
博士号を取った後なので「ポストドクトラル」という名称になっています。


最大3年間、月額約36万円の研究奨励金と150万円以内の研究費が支給されます。


PDは研究キャリアの初期段階での重要な資金源となり、多くの研究者が利用しています。

RPD(リターンポストドクトラル研究員)とは:出産・育児からの復帰者への制度

RPDは、博士号取得後に出産・育児などで研究活動を一時中断した研究者を対象としたプログラムです

研究活動への復帰を支援するため、月額約36万円の研究奨励金が最大3年間支給されます

RPDは、研究者のキャリア継続をサポートする制度となっています。

CPD(カレントポストドクトラル研究員)とは:PD・RPDの後の制度

CPDは、PDやRPDの延長線上にある制度です。
特定の条件下で研究活動を続ける研究者を対象としています。

CPDでは引き続き研究奨励金が支給され、研究活動の継続と発展を支援する制度となっています。

月額約44万円の研究奨励金が支給されます。

学振(日本学術振興会 特別研究員)制度の申請と採用率

学振(日本学術振興会 特別研究員)制度は競争率が高く、DC1・DC2・PD・RPD・CPDの採用率は20〜30%程度です

そのため、応募には十分な準備と戦略が必要です

具体的な申請方法や採用基準については、日本学術振興会の公式サイトや各種ガイドブックを参考にしてください。

なお、『学振申請書の書き方とコツ』という本も出ていますので読んでみるのをおすすめします。

また、私ども1対1大学院合格塾でも作成のサポートを行っております
お気軽にご相談ください。

申請を通して研究ノウハウを身につける!

「学振の申請ってめんどくさい…」

学振制度の申請には申請書を作る必要があります。
この作成、なかなか大変です。

そのため「めんどくさいから出したくない」という感想を抱く人も多いかも知れません。

ですが、学振は今後の研究キャリアで必要とされるスキルを身につけるまたとない機会もであります。

というのは、研究者として活躍するには科学研究費(科研費)など各種研究資金の獲得のため研究計画書や申請書の提出を何度となく行うことが求められるからです

研究者として必要なスキルを身につける機会として学振の申請が役立つわけですね。

ぜひ今後のためにも果敢にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

まとめ 学振制度を使って研究者としてのキャリア形成を!

学振制度は、博士課程生や若手研究者のキャリア形成において非常に重要な役割を果たしています。

DC1、DC2、PD、RPD、CPDというさまざまなプログラムが用意されていますので自分に適した制度を活用するのがおすすめです。

学振制度を活用して、研究活動を充実させキャリアアップを目指しましょう!

【参考リンク】

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