社会人として大学院で学んだ経験を持つ方々へのインタビューシリーズ。
第9弾は、大学中退後ボクサーに挑戦後 復学してロースクールを経て弁護士になった土田史さんのお話を伺います。(前編)
(インタビュー実施日:2024年5月30日)
☆動画でもお届けしています。
目次
大学中退から復学、そして大学院進学!
ーー今回、好評の社会人大学院でインタビューを伺っていくシリーズを行ってまいります。
今回は札幌で弁護士として活躍なさっている土田史さんに来ていただきました。
お忙しいところありがとうございます。
土田:いえいえ。
ーー土田さんは早稲田大学の教育学部を出られた後、中央大学のロースクールに行かれています。
ただその間にですね、ちょっと紆余曲折があって進学をなさっていますよね。
現在はロースクールを出て弁護士なられる方って、学生からそのまま進学する方が多いことを思うと、異質なキャリアを積んでいらっしゃる方です。
どういうところが異質かというのは、お話を伺う中でより明確になっていくと思います。
今回は社会人として大学院(ロースクール)を出られた土田さんに、社会人大学院に行く意義と大変なところを伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
土田:はーい、よろしく!
実は大学のゼミの先輩です。
ーー実は土田さんと私は大学のゼミが一緒だったという繋がりがあります(笑)
面白いですよね。
土田:フジケンは優秀だったもんな〜。
ーーいえいえ(笑)
土田さんは1度大学に入られた後に1度そこを辞めていろんなことをやってからもう一回大学に戻られてきています。
そのため年齢の違うという頼りがいのある先輩だと当時から思っていました。
土田:そうなんだね〜。
ボクシングへの挑戦!
ーー土田さんは高校からストレートに大学に行かれた後、途中で中退なさっていましたよね。どういうことをなさっていたんでしょうか?
土田:珍しいんだけども、ボクシングの世界なんだね。

ーー一度、土田さんの試合の様子を動画で観せてもらいましたよね。
真剣に取り組まれているのが伝わってきました!
土田:そうね。で、ボクサーをしようと思って一度大学を辞めることになりました。
入学したのは1999年で中退したのが2002年なんだよね。
ーーそうなんですね。
土田:うん、それでボクサー生活をして、2004年までがボクサー人生だね。
その後は不動産屋をやったり、あるいはバイク便の仕事をしたりしていたね。
ーーそういう社会人経験を経たあとにロースクールに入ろう・弁護士になろうということで大学に戻られたと聞いたんですけど、そのきっかけって何だったんですか。
土田:プロボクサーとしての生活なんだけど途中で故障しちゃって強制的に戦えなくなっちゃったもんだから飲んだくれ生活を2年間送っていたんだ。
「このままじゃいけない」と思っても、ボクサーをやっちゃうとね、この凄く感動的な感覚になれる仕事ってそんなに見つからないのよ。
こういう感動とか緊張感を味わえる仕事じゃないと選びたくないって思って。
そう考えたとき、ふつうにサラリーマンをするのももう年齢的にちょっと無理。
そもそも退学してるので高卒だし。
でも、ボクサーを辞めて不動産屋をやってた時に宅建とか取ってたので法律を使えると凄く役立つことがわかってきて。
「じゃあ、法律資格を勉強しよう」と思って一番むずかしい資格として弁護士になろうと色々考えて決めたんだよね。
ボクシングでは「世界チャンピオンになりたい」って本気で考えていたから、法律の世界でもそれをやろうと挑戦することにしたんだ。
法律の世界のチャンピオンを目指して。
ーー凄いですね〜! 私、時折「弁護士になりたい!」っていう人を見るんですけど、初志貫徹できる人をあまり見たことがないんです。
だから土田さんが実践しているのが本当にすごいなと思います。
土田:そうかね。まあ、でも確かにロースクールだと結構メンタルやられて途中で辞める人もいる世界ではあったかな。

ーー大学にもう一回戻られたのはいつでしたか。
土田:大学に戻ったのは2007年。
ーーその時からなんですね!
2007年に復学して、それで岡村ゼミというゼミで私が土田さんに出会うわけですね。
復学なさったのは教育学部ですよね。
たとえば法学部に入り直すという計画はなかったのですか?
土田:もともと大学に戻ったのは大学卒業資格が欲しくて戻っただけなんだよね。
途中で中退しているから3年生から戻れたし。
実は早稲田大学って復学する場合、面接だけで戻れるんだよ。
復学後は単位あんま取れてなかった卒業するまでに留年して、卒業したのが2010年の3月なんですよ。
ーー卒業、同じタイミングでしたね〜!
卒業のとき、一緒にタイへ卒業旅行に行きましたね!
一緒に行けて楽しかったです!
土田:あれはホント楽しかったね。
早稲田大学卒業後、中央大学ロースクールへ!
ーータイに行ってあれから東南アジア大好きになりました(笑)。
土田さんは卒業のタイミングで中央大学のロースクールにそのまま入られたわけですね。
土田:そう、卒業してそのまま中央大。
ーーなぜ中大のロースクールに行かれたんですか?
土田:その時はね、ロースクールのなかで司法試験合格率が中央大学が一番高かったんだよ。
いまは少し順位を落としているかも知れないけど。
ーーそうだったのですね。
あの頃はロースクール、いっぱいありましたよね。
今、だいぶ減ってきましたね。
ある意味土田さんの頃っていうのはロースクールバブルみたいなところがまだギリギリ残っていたタイミングだと思います。
土田:ああそうだわ。
ーー結構、土田さんの世代ってロースクール制度に振り回された世代じゃないかなと思っているんですけど。
当時はロースクールを出て3年以内じゃないと司法試験を受けれませんでしたね。
でもいまでは予備試験も始まっちゃいましたもんね。
土田:そうだね、予備試験は俺が入学した時にまだなかったね。
法律を独学して既習の2年コースで。
ーー土田さんはロースクール、未習の3年コースですか?それとも既習の2年コースでしたか?
法律学を大学で学んでいない場合は未習の3年コース、法学部などですでに学んでいる場合は既習の2年コースを選択することになります。
土田:既習コースだね。
ーーそうなんですね! 既習コースということは早稲田に行きながらロースクール予備校などに通われていたんですか?
土田:ロースクール予備校、通っていたね。
俺が通っていたのが辰巳法律研究所という予備校。
だからフジケンと同じ場所に居ながら俺は夜予備校行ってたんだよ。
ーーそうだったんですね!
日中 早稲田に行きながらダブルスクールで予備校に通われていたんですね!
「12時間しか勉強していない日はありませんでした」
ーーロースクールというと結構厳しいとイメージがあるんですけど、入ってみて実際どうでしたか?
土田:やっぱり厳しかったよね。朝から授業があって4時ぐらいまで続いて。
で、その後よる11時ぐらいまで残ってみんな勉強してたもんな。
ーーそんな時間まで勉強なさっていたんですね!
土田:1日12時間勉強ってことはないよね。
12時間で終わるってことってないから。

ーーなるほど・・・。
土田:結構きつかったな〜。もう戻りたくない。
ーーどのあたりが大変でしたか?
土田:単純に授業についていくのもキツかったし、試験のたびに落ち込んでもいたしね。
やっぱりキツかったな〜。
ーー同級生って何人くらいいらっしゃいました?
土田:中央大学のロースクール、その時は50人1クラスで6クラス。
ーーあっ、そんなにいるんですか。
土田:そう、1学年300人だったね。
ーーめっちゃ多いですね!
ロースクールは2年でみっちり勉強をすることになりますね。
ロースクールを出たら博士号がもらえる!
ーーロースクール学習って一般の大学院とちょっと違う印象がありまして、修士論文を書くのではなく普通に授業を受けて成績を取得したら修了、みたいな形ですよね。
土田:あ、そうだね。
基本的にロースクールっていうのは、目的は司法試験の合格1本なんだよ。
司法試験を受けない人は行く場所ではないんでね。
ーー出たら法学博士号がもらえると聞いたんですけど。
土田:博士号はもらえます。
ーーいいですね。
土田:でも別に博士号に価値はあるわけではないんで。
ーーいやでも、博士号って文系の研究者でも取得するのが大変なんですよ。
だからそれを2年で取れるというのがすごいなって思うんですよね。
ロースクールが面白いのは修士2年で博士号を出す大盤振る舞いをしているところなんです。
土田:そういう側面もあるんだね。
3回目の挑戦で司法試験合格!
ーー1日12時間以上は絶対勉強している生活を2年間繰り返しているだけでもすごいんですが、卒業したら今度は司法試験合格への挑戦が始まるわけですね。
当時はロースクール修了後司法試験が3回まで受けられるという制度だったと思うんですが。
土田:厳しかったよね〜。
ーー土田さんは何回目で合格なさったんですか?
土田:3回目で滑り込み合格。
これで落ちてたらいまはなかったね。

ーーその場合、予備試験制度を使って受験する形だったと思います。
土田:でももしそうなら、もう気力がなくなってたんじゃないかな。
まさにやりきった感じだね。
執念での合格!戻りたくない受験生活。
ーーロースクール進学中、お仕事はどうなさっていたんですか?
土田:母親に仕送りをもらいながら勉強させてもらってたね。
ーーそうだったのですね!
ロースクール修了後、土田さんが司法試験に合格なさったのは何歳のときですか?
土田:合格したのは34歳の時だね。
ーー本当に執念の戦いですね…!
やっぱりボクサー時代に培った執念が生きているように思います。
土田:ただ、正直あの時期に二度と戻りたくないもんね。
ーー私も聞いていて、ロースクールに行きたいという思いが全くしなくなりました(笑)。
でも、司法試験どうこうではなく博士号を取るためだけに行くのはアリかなって思っています。
土田:司法修習生時代なんだけど、なんと親子同時に受かった人がいたんだよね。
定年退職後に受かった人とその娘さん。
ーーこういう人がいるんですね!
ロースクールってけっこう年齢が幅広い感じなんですか?
土田:そうだね、年齢は全く関係はないから。
でも現役学生で来ている人のほうが多かったね。
今はどうかちょっと分からないんだけれども、その時のロースクールは多種多様な社会人も混じっていたね。
ちょうど司法制度改革の中で社会人経験がある人もロースクールに行けるようにっていうコンセプトがあったからね。
今はちょっと少ないのかもしれないけども、それでも社会人経験者が結構いるよ。
(後編に続きます)
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北海道出身。早稲田大学教育学部を中退してプロボクサーに挑戦。怪我による引退後、世界一周の旅や不動産事業を営んだ後 大学へ復学。卒業後は中央大学ロースクールに進学。司法試験合格後、弁護士に。現在、札幌第一法律事務所・リーガライト法律事務所(リーガライト行政書士法人など)の代表を務める。