社会人として大学院で学んだ経験を持つ方々へのインタビューシリーズ。
記念すべき第10弾は定年退職直前に大学院に挑戦し定年退職と同時にMBAを取得なさった平川亮さんお話を伺います。(前編)
(インタビュー実施:2024年6月17日)
目次
すべてはオープンクラスから始まった。
ーー今回お忙しいところありがとうございます。
平川さんがOBSを目指された理由はなんですか?
平川:目指そうと思ったのはOBSのオープンクラス(体験授業)に出たのがきっかけなんです。
オープンクラスで李教授と玉井教授に質問したんですね。
授業後に「質問が良かった」と先生から言ってもらったんです。
その流れで「ではOBS、受けてみませんか」と言われたんです。
ーーそうなんですね!どんな質問をなさったんですか?
平川:トヨタの北米戦略について質問した形です。
ーー質問したことが進学につながったんですね。
OBSのオープンクラスに行ってみようと思われたきっかけは何ですか?
平川:札幌駅前の紀伊国屋書店に行った際、偶然OBSのパンフレットが目に入ったんです。
そこにオープンクラスの開講が書かれていたんで参加することにしました。
OBSは札幌駅前の紀伊國屋書店の入っているビルに札幌サテライトの形で存在しています。

「藤本先生の塾にすぐ相談しました」。残り2ヶ月での挑戦。
ーー本当に偶然なんですね!
紀伊国屋で運命的な出会いを果たされたとのことですが、そこからOBSを受験をしようと思われたというのがすごいですね。

平川:教授から「受けてみなよ」と言われて「じゃあ受けてみよう」と思ったんです。
ーーそうだったんですね!
平川:その後すぐ藤本先生に相談しました。
ーーそんな流れでのうちの塾への相談だったんですね。
ありがとうございます!
懐かしいですねー!
うちの塾での学習を経て無事合格なさりましたね!

平川:あのときは試験まで残り2か月でした。
「多分受からないだろう」と思っていたら無事合格できました(笑)。
ーー合格、本当におめでとうございます!
平川さんが努力なさった成果ですね!
「OBSに入ると景色が変わった!」
ーーOBS、実際に入ってみていかがでしたか?
平川:今から思っても、入ってホント良かったと思います。
まず何が良かったかというと、景色が変わったことです。

ーー景色が変わったというと、どんな感じですか?
平川:今までだったら、会社内だけの知識しかなかったんですがOBSに入っていろんな考え方の人がたくさんいるんだと気づきました。
一つの対象を色んな視点が見れるようになったことが大きいですね。
それがやっぱり良かったですね。
ーーなるほど、そうなんですね!
OBSではいろんな人が学習しているので、そういう人たちとの関わりの中で景色が変わったっていうことでしょうか。
平川:そうですね。
やっぱりOBSって、課題が大変なんですよ。

グループに分かれ、グループで答えを出す形なんです。
OBSではディスカッションをたくさんやるんですね。
そのディスカッションの中でいろんなものの見方をすることを実感しました。

やっぱりその人の職業のバックグラウンドによって見え方が出てきているんですね。
例えば銀行員の方は、財務寄りの見方になっていきます。
ーーそうなのですね!
定年退職直前のOBS挑戦
ーーここで平川さんの職務経歴を伺っていきます。
平川さんは定年退職の数年前のタイミングでOBSを受験なさっていますね。
それまでの略歴をお教えください。
平川:別に大した経歴というわけではないんですけど、大学を卒業して情報処理の会社に入った形です。
最初のうち、東京勤務だったんです。
札幌の会社だったんですけど、ちょうど東京に支店ができたタイミングだったんです。
で、東京支店に私がいくことになったんです。
ちょうどその勤務時代、土曜日にJTBの方が主催した英会話教室が開催されていたんです。
たまたまそれを目にしまして参加したんです。

そこで出会ったJTB職員の方から突然
「平川さんは今の仕事向いてないんじゃないの」
って言われたんです。
ーー急だったんですね!
平川:そうなんです。
ちょうど私、文字通りいまの仕事が本当に嫌でたまらなかった時期だったんです。
「いつ辞めようか」と思っていたところだったんです。
そのJTBの方は
「もし今の仕事が向いていないんなら大学院に進学した方がいいんじゃないの」
と言ったんです。
その時は
「いや、大学院なんてとても私ではそんなのムリですよ」
と言いました。
私が出た大学はそれこそFランクの大学でしたから。
「ムリですよ」といったんですけど、
「いや、平川さんは大学院が向いていると思う」
と何度も言われたんです。
ーーそんなアドバイスがあったんですね!
平川:ええ。で、その時はそれで話も終わっちゃったんです。
ちなみに、私は昔 英語が全然分からなかったんですけど、そのJTBの人の説明で英語の品詞について知ったんです。
つまり英語には動詞や名詞という品詞があるとようやく知ったんです。
そうやって英語を勉強していたとき、「本社がある札幌に戻れ」と言われたんです。
東京に行ってちょうど10年のときでした。
ーーそうなんですね。
「札幌に戻ってきたら刺激がない…」
平川:東京で10年過ごして札幌へ戻ってきたらもう全然東京と違っていたんです。
東京と違って、そういう学びに対する刺激がゼロだったんです。
それで「しょうがないな」と思って、行き当たりばったりで市販の色んな書物を読んだり、雑誌を見たりしていました。
そうやってパラパラやる程度で、刺激もない。
会社も何も面白くない。
そんな状況で過ごしてきたんです。
でも、定年間際になって、たまたまOBSのオープンクラスに行って、玉井教授と李教授から「OBSを受けてみないか」って言われて心が踊ったんです。
ーーそうだったんですね! 運命的ですね!
平川さんはその流れで実際にOBSを受験されていますね。
平川:ちょうど入学したのが定年の2年前ですね。
私、定年と同時に大学院修了だったんですよ。

ーーそのタイミングなのですね〜。
平川:実は定年退職の際、会社の方から「もうちょっと残ってくれないか」と言われたんです。
これはもう笑い話なんですけど、会社には私と同じ年齢の人が全部で15人ほどいたんですね。
私を除いて全員が「定年後も会社に残りたい」と言っていたんです。
私だけが「残りたくない」って言っていたんです。
でも、蓋を開けてみたら定年後会社に残ることになったのは私一人だけだったんですよ。
ーーそんな事があったんですね…!会社から必要とされているんですね〜!
平川:嘘みたいな話です。
でも「会社から残ってくれ」と言われても、私としたら毎日行きたくはない。
なのでそう言ったところ「繁忙期だけでいいから週に何回か来てくれ」っていうんで、2〜3年行ったのかな。

ーーそうだったんですね!
その時も役職をお持ちだったから定年後も残るというのはわかるような気がしますが。
平川:いえいえ、役職定年なので定年後は役職は降りているんです。
それでもそのまま勤務することになったので会社というのはよくわからないところですね。
ーーやっぱりOBSに通っていた熱心さが評価されたんでしょうか?
平川:それはないですね。
だって、私が大学院に受かったということは直属の上司にしか言っていませんので、周りの人間は誰ひとり知っていませんから。
「仕事との両立が大変でした…」
ーーそうだったんですね!
では、定年2年前からOBSに通う際、仕事との両立が大変だったのではないでしょうか?
平川:大変でした。
直属の上司に言っておかないと残業させられるのは分かっていたので合格してすぐ「私はOBSに行くので残業できません。土曜日出勤できません」って最初に言っといたんです。
反応は「あっそう」というものでした。
「もしダメなら会社を辞めます」といったところ「それは困る」と。
なのでOKをもらえたわけです。
だからOBSに通っていたことは直属の上司しか知らないわけですね。
OBSで大変だったこと。締切がいくつも重なる…!
ーーさきほど、OBSのグループワークでいろんな視点を学ばれたとおっしゃっていたかと思います。
OBSに入ってみて、どういうところが大変でしたか?
平川:やっぱり課題ですね。
教授からは簡単に「これやっておいて」と課題が出されるんですが、同じ日にいくつも締め切りが重なるんです。

そうやって課題が溜まっていくのが大変でしたね。
OBSでは授業の前の事前課題、授業の後に事後課題があるんですが、場合によっては事前課題と事後課題の締切が重なる時もあります。
ーーそうなんですね…!
平川:で、事前課題の場合、締切を過ぎた時点でもうアウト。
あとから課題を出しても受け付けてくれないんです。
ーー厳しいですね…。
平川:実際は先生によって違ってきます。
受け付けてくれる先生もいますが、当時はそういう先生もいたので。
ーーなるほど、そうだったんですね。
平川:今もあまり変わらないんじゃないですかね。
必ず事前課題がチェックされ、事後課題も期日までに出さなかったらダメ。
たとえば締切を1日過ぎたら点数が八掛けになると。
ーー八掛ですか。
平川:2日経ったら七掛け、3日以降はダメ。
ーーなかなか大変ですね…。
平川:2年間大変でしたし、あまり寝なかったですね。
ーーいや〜、ほんとにすごいですね…。
他の方からも「OBS時代は寝なかった」という話を聞くんですが、仕事しながらこの状態で寝ないで課題をやるというのはホント大変だったことと思います。
平川:でもだんだん、楽しくなってきましたよ。
ーーそうなのですね!
平川:なのでOBSに行って良くなかったということは私にはなかったですね。
成績も大して良くなかったんです。
課題をやるのは大変だったけど、楽しかったですね。
考えるのって楽しいんですよ。
考えるために文字にすることで考えが深まっていきました。
(後編に続きます)
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北海道出身。情報管理企業で長年勤務する。定年退職2年前に小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻(OBS)に入学。修了と同時に定年退職。英語学習を活かし現在はフリーの立場で英語の翻訳にも取り組んでいる。