目次
「研究論文の書き方」シリーズ第10弾!
研究論文の書き方を研究の仕方から解説するシリーズ。
今回もお届けをしていきます!
「研究論文の書き方」シリーズも、いよいよ最終段階に入りました。
これまで「研究テーマの立て方」から始まり、「仮説設定」「文献調査」「調査方法」「分析」「考察」と進んできました。
前回はデータの分析結果を「考察」する際には「理論」を用いる重要性をお伝えしてきました。
今回は研究論文の最後の部分である「結論」(まとめ)部分の書き方を解説していきます。
なぜ「結論」が重要なのか?
論文の結論部分は、これまでの研究過程のすべてを総括する場です。

いわば研究の「着地点」であり、「この研究を通して何を明らかにしたのか」「学術的・社会的にどのような意義があったのか」を明確に示す必要があります。
考察の段階で「自分なりの見解」を示したとしても、それを体系的に整理して提示するのが結論の役割です。
ここで読者に「この研究には意味がある」と感じてもらえるかどうかが、論文全体の印象を左右します。
結論は単なるまとめではありません。
「この論文はこういう内容のものだ」という要約・まとめではなく、「本研究によって得られた知見をもとに、学術的・社会的な貢献を整理し、今後の課題や展望を明示する」ことが求められます。
そのため、結論では以下の3点を意識して書くことが必要です。
結論に書くこと1)研究の成果・知見を明確にする
結論に書くべきことの1つ目は「研究の成果」です。
すなわちこの研究によって何が明らかになったのかという点です。
これは研究全体のゴールであり、論文を通して示してきた主張を簡潔にまとめる部分です。
この研究にはどんな知見があるか、何が明らかになったのか、どういう意味があるかを示していく必要があります。

成果を記述する際には、次のようなポイントを意識しましょう!
①理論的な貢献
研究の中でこれまでの先行研究では十分に扱われてこなかった内容が明らかになることがあります。
先行研究を踏まえ、今回新たな概念を整理したり、理論の可能性を示したり、新しい視点を提示できたりすることがあります。
こういう場合、理論の上で新たな貢献ができたことになります。
その場合は「〇〇理論の枠組みをもとに□□を分析し、△△という新たな構造を明らかにした」など、理論面での位置づけを示すようにしていきましょう!

②実証的な貢献
アンケート調査やインタビュー調査などを行った場合は、データに基づいて新たな事実や成果を得られるケースがあります。
「××に関する実証的データを初めて収集した」「現場の実態を数量的に明らかにした」など、これまでにない具体的知見を提示できるとよいでしょう。
特に「これまで質的調査が行われてこなかった〜〜の分野についてその実態を探ることが出来た」ことなど、研究がもたらした実証的な貢献を示していくといいでしょう。
③社会的な貢献
学術的意義に加え、社会への応用可能性を述べるのも重要です。
例えば、「本研究で得られた結果は、〇〇分野の現場改善に活用できる」「政策立案や教育現場における実践的指針を与える」など、社会的意義を述べることで、研究の価値がより伝わります。
このとき注意したいのは、「自分にとって得だったこと」や「やってよかったこと」を書かないこと。
あくまで「社会的・学術的意義」を中心に据えるのが学術論文のルールです。
これら①〜③のように、「どういうことが明らかなになったのか」「どんな貢献があったのか」を明確に示していくようにしましょう!
特に、論文の読者には「結論」部分だけを読んでその論文の内容を把握する人もいます。
「この論文では何が明らかになったのか」「どんな意味があるのか」を結論部分にまとめておくことは読み手のためにもなるのです。

結論に書くこと2)研究の限界を正直に指摘する
結論に書くことの2点目は行った研究の限界を示すことです。
要するには「この研究にはどんな穴があるか」「どういう課題があるか」を自分で示しておくのが必要なのです。
多くの大学院生が最も書きづらく感じる部分ですが、自分の研究の弱点をあえて示すことこそ、研究者としての誠実さを示す場でもあります。
研究発表や審査の場では、よく「この研究には限界がある」「データが十分ではない」などの指摘を受けがちです。
ですが、事前に自分でその点を指摘しておけば、批判を受けにくくなるだけでなく、むしろ論理的で客観的な姿勢として評価されます。
具体的には次のような説明の仕方を行うことがあります。
【限界を指摘する例】
- 本研究はアンケート回答者の数が50件程度であり、一般化には限界がある可能性がある
- インタビュー調査が特定の地域・組織に偏っているため、全国的傾向を示すものではない可能性がある
- 使用した理論モデルが一面的となっている可能性があり、今後他の理論的枠組みからの検討が求められる
こうした指摘は「弱点の暴露」ではなく、「今後の研究をより良くするための前提」を整える作業にもなります。
とても重要な取り組みなのです(研究への批判を減らせる、という意味もありますし)。

限界と意義のバランス
研究限界を述べた後は、必ずそれでもなお意義がある理由を補足しましょう。
例えば、「本研究は対象数は少ないが、先行研究が少ない分野で初の実証的検討であり、基礎的な知見として重要な意味を持つ」など、限界を認めつつも貢献を肯定的に示す構成が理想です。
結論に書くこと3)今後の展望を示す
結論に書くことの3点目は今後の研究への展望です。
これは自分の研究を起点として、どのように学問分野が発展していく可能性があるか、
自分は今後どのように研究を進めていくつもりかを示す部分です。
「本研究で得られた知見を踏まえ、今後は〇〇の視点からの分析が求められる」
「今後はより大規模な調査を行うことで、□□の傾向を明確にできる」など、
今後どんな研究科を示してくことが必要です。
また、新しい問いを提示することも求められます。
「本研究によって明らかになった△△は、今後□□の観点から再検討する必要がある」
といった形で、次なる研究課題を提示するのもいいでしょう。
他にも学術的発展だけでなく「社会への応用」も展望の一部として
触れておく事もできます。
「この知見をもとに今後の現場の政策立案に活かしていくことが望まれる」など、
研究成果の社会実装や社会での応用などを示していくのもいいですね!

「結論」は単なる「まとめ」ではない
人によっては「結論」を単なる「まとめ」と考えてしまうケースがあります。
内容をただ短くした要約としてしか考えていないケースもありますがこれはもったいないです。
そうではなく、「結論」では研究の成果や限界、今後の展望を示し、論文の持つ意味を説明することが求められています。
なかでも「研究の限界」をキチッと書いておくことは今後あなたの研究を元に研究する人の役にも立ちます。
ぜひ、意識しながら結論を書いていきましょう!

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研究論文の「結論」は単なるまとめではなく研究全体を総括する重要な部分です。成果・知見を明確に示し、理論的・実証的・社会的貢献を整理することが求められます。また、自ら研究の限界を指摘しつつも意義を示すことで、誠実さと客観性が伝わります。今後の展望として研究の発展方向や新たな問い、社会への応用可能性を提示することも求められます。