社会人大学院生インタビュー11 死ぬまでに1度は大学院へ!北大公共政策大学院&小樽商大大学院アントレプレナーシップ専攻在学ホクダイショウダイさん(仮名)インタビュー後編

社会人として大学院で学んだ経験を持つ方々へのインタビューシリーズ
第11弾は、自衛官の経験を経て北海道大学公共政策大学院(通称HOPS)に通い、修了後は小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻(通称OBS)に通っているホクダイショウダイさん(仮名)のお話を伺います。

2回にわたってお届けします!(後編)。
(インタビュー実施日:2024年6月5日)

ホクダイショウダイさん(仮名)

中学卒業後、自衛官として16年勤務の後、航空業界で勤務。2022年に北海道大学公共政策大学院に入学し2024年3月に修了。そのまま2024年4月から小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻でMBA取得に向け学習中。

☆前編はこちら↓

大学院に入って良かった点・悪かった点

ーー社会人として大学院に入ってみて良かった点・悪かった点を伺えますか?

良かった点

ホクダイ:良かった点というのは現場で働いている方といっしょに学べることですね。非常に刺激的ですし、面白いです。いろんな話も聞けますし。

また、OBSでは当初「講義は小樽まで行かなきゃいけないのかな」と思っていたのですが、平日は札幌のサテライトでいいので通いやすいのも良かったことです。

小樽商科大学大学院の札幌サテライト。JR札幌駅隣の紀伊國屋書店3Fに位置する

それも、夜の講義なので昼の時間が基本的にフリーになるんですね。

定職を持っている人には厳しいと思うんですけど、私みたいにプラプラしてる人間はバイトを入れることもできるんです。

私もいまは北大大学院で身につけたプログラミングやデータサイエンスを活かしてコンサルのバイトをしています。

仕事をしているとどうしても大学院の授業が大変だと思いますけど、OBSなら夜からの講義なのでなんとか仕事とも両立できるのがいいところですね。

ただ、仕事の後の通学だと時間の余裕がないのですが…。

良くない点

ーー逆に良くなかった点って何かありますか。

OBSの対面メインなのは通学がキツい…。

ホクダイ:OBSの授業は現在、原則対面なんですよ。
社会人相手なのに原則対面。

OBSは欧米のビジネススクールを参考にしている大学院なので、ディスカッションとかディベートとかもすごく力が入っています。

このディスカッション力やディベート力を磨くため、授業は基本的に対面メインなんですよ。

だから逆に言うと、オンライン受講ができる方が社会人にはプラスなところもあるなと思うんです。

OBSは出張が絡むと単位がキツい…!

ホクダイ:たとえば平日講義に出張がからんでくると履修が厳しくなるんです。

OBSは同じ授業が2コマ連続で平日夜に組まれています。
もし1日休むと2コマ休んだことになるわけですね。

大学院の成績評価においてもこの出席状況が大きいんです。
出張が多いとそれが成績に響いてくるわけです。

OBSでは3回休むと単位が取れない?!

前期・後期それぞれ15コマ分の授業が想定されていることを考えると、1/3分以上の欠席で当該科目が不可となります。

2コマ連続であることを考えると、3回休むとアウトになるわけなんですね。

なので、出張が多いなど学習が難しそうな場合は長期履修制度を使ったほうがいいですね。

長期履修制度の場合は2年分の学費を払えば、4年まで通えるという制度です。
こうやって学習するほうがいいですね。

事前課題・事後課題がキツい件。

あと、OBSでは授業の度に毎回その事前課題と事後課題があるんです。
この事前課題を基にディスカッションをやって終わったら事後課題を出していきます。

これに赤ペン先生式に添削されて返ってきます。小学校みたいですよ。

けっこう細かいところまで添削されてきます。
OBSはビジネスの専門家になるところなんで、言葉遣いの細かいところを厳しく見られます。

OBSはみんなで頑張れる雰囲気がいい!

…こういう感じで、OBSの授業はけっこうたいへんですけど、みんなが頑張ってるので、競争というよりはもう「みんなで何とか乗り越えましょう」という雰囲気があるのがいいですね。

ーー北大の公共政策大学院はそれぞれ興味ある分野で研究を進めていくので、OBSの「みんなで頑張ろう」という雰囲気はいいですね。

ホクダイ:たしかに北大の公共政策大学院は同じ授業がほぼなかったですね。
OBSでは毎回同じメンバーで授業を受けますので「お疲れ様でした」いう話をしたりとか、グループラインとかも物凄い盛り上がったりしています。

「この講義のこの部分、どう解釈したらいいですか」などとラインをしたりする反面、これにクレームつける人もいるみたいです。

この情報交換をどうするかも今後の重要なところですね。

情報交換が苦手な人もいますし、率先して取り組む人もいますし。
まさにビジネス界の縮図みたいになってるとも面白いなと思っています。

ーーたしかに面白いですね!

ホクダイ:さっきOBSは対面が原則という話をしましたが、今だとSNSが発展したりとか、テレビ会議をやっててたりすることを考えるとオンラインもいいと思うんですよね。

社会人って、やっぱりみんな疲れているんで。
フルタイムで働いた後で22時までの授業が週3回ぐらいありますから。

その上レポート。

ルールがけっこう厳しくて、事前に準備しておく必要があります。

そうでないとみんなの前で発表したときガンガン先生に突っ込まれちゃうんで予習が必須ですね。

ーー確かに北大には予習しなくても問題ない授業がけっこうありますよね。

ホクダイ:ですよね。
事前課題があるので予習をしないといけないんですが、教科書をチェックしいっぱい買わなきゃいけないってところが大変だと言えますね。

北大ではほとんど図書館で借りて対応できましたが、OBSはサテライトに置いてある資料が少ししかないんです。

なので家に買い揃えなきゃいけなくなっちゃうんですよね。

余談ですけど、北大からもし小樽商大に行ったときに北大の図書館を使いたいときは「小樽商大の学生」というのではなく「北大の卒業生」と言って使ったほうがいいですよ。
北大って卒業生であれば資料の借り貸し出しのほかいろんなサービスが使えるんです。

でも、利用登録の際、用紙の欄に「小樽商科大学在学」って書いちゃうと他大学生の扱いになります。


なのでその場合、もう北大図書館をフルサービスで使えないんです。
「自分の図書館を使ってください」ってなってたんですよ。

これを実際に経験したのがショックでした。

北大でのPC設定が小樽商大でもそのまま使えた!

ーーそんなことがあるんですね…。

ホクダイ:他にも面白かったのは北大構内の無線LANシステムって全国統一のシステムだったということですね。
なので小樽商大に行っても北大の設定のままで無線LANが通じました(笑)

これは小樽商大に行って初めて知りました。
でも、図書館だけはそういう冷たい制度があるんです。

社会人が大学院で学ぶ意義は?

ーーホクダイさんが2つの大学院に挑戦されていること、ホントにすごいなと思うのですが、社会人が大学院で学ぶ意義はどういうところにあるとお考えですか。

ホクダイ:これ、よく現役の学生さんと話すんですけど、昔 自衛隊にいたとき、米海軍と訓練をする機会がよくあったんです。

米軍の指揮官はみんな大学院へ行っている。

ホクダイ:向こうの海軍の軍人さんは階級が上がっていってだいたい20代・30代・40代・50代っていう年齢の変わり目の時に必ず大学院とかに行くんですよね。

ーーそうなんですね。

ホクダイ:40代や50代とかで指揮官として日本に赴任した人のバイオグラフィーを見ると、博士号を持っていたり修士号を2つも3つ持っていることがあるんですよね。

学歴よりも個人としての能力が高められているから、軍隊を辞めても就職先に困らない。

軍人だから当然防衛学だったり、軍事学だったり、そういう学位ももちろんあるんですけど、それ以外に芸術だったり、美術だったり、音楽だったり、当然MBAを取っていたりする人がいるんですよね。

私は外国の軍人の世界でも大学院でそういう風に学ぶキャリアパスがあるというのが面白いなと思ったんですよね。

それでずっと「大学院に行きたいな」と思ってやってきました。

ちなみに欧米の大学院の場合はもうほとんどその専門学校みたいなもんなんですよね。
スキルを身につけてやって、自分をブラッシュアップしてくという世界なんです。


一方、北大など日本の大学院は研究するのが中心なんですよね。
それこそ、論文を書かなきゃいけない。これは思っていたより大変でした。

ただ北大も小樽商大もそうですけど、やりようによっては欧米の大学院に近い学び方ができるところもあるんです。

なので「何か資格を取ろう」とか考えるぐらいだったら、大学院修士課程に行くっていうのは一つの大きな選択肢であるとおもいます。

学べる幅が広いのでメリットも大きいと思います。

「OBSで起業観が変わりました」

ーーいろいろお話を聞いて大変興味深いなと思います。
ホクダイさんがこの後目指されているもの、例えば修了後に大学院の学びをどう使っていくとか、何か考えられてるとこありますか?

ホクダイ:とりあえずちゃんと再就職をしたいなっていうのが一つあります。
現時点ではアルバイトですけども、大学院で学んだデータ分析やプレゼンテーション技術を使える仕事をしています。

バイトなので時給も安いですけど、キャリアを積む場としてはいいかなと思っています。

OBSを出た後の就職についても考えているところです。

ちなみにOBSの同期の中にも会社の社長さんなんかも既にいらっしゃっているんですね。

一般的に起業をイメージすると、「俺は八百屋やるぞ」みたいに、妙にこう肩に力を張って、お金集めているイメージがあるじゃないですか。

でも、「本当はそうじゃないよね」って話をその社長さんと最近したんです。

OBSで勉強したり、そういう場に行っていたりすると、どこかかしらから情報が入ってくるらしいんですよね。

卒業生や同窓会の繋がりがあって、「こういうことやりませんか」とか情報が入ってきます。
大学院に行くことで、こういう取っ掛かりを掴むことができるようになるんですよね。

なので、あんまり気負っていく必要もないし、行けば行ったで色んなことが入ってくると思うのでそれでいいかなと思っています。

大学院に入ったら人生が変わった!

ーー他にありますか?

ホクダイ:北大でもそうでしたが、大学院って入ってみるまではこんなにいいもんだとは思わなかったですね。

大学院に入る前は、まさか自分が大学院でプログラミングを教えてもらってニューラルネットワークを学び、画像識別のプログラムを自分で組んだりする日が来るとは思っていませんでした

他にも北大公共政策大学院ですと、仲間はみんな東京に行っちゃいましたけど、「今度東京で飲もう」とか学生同士のコミュニケーションがいまだに続いていますね。

専門学校などだとここまでのつながりや学びの広がりはなかったと思うので行ってよかったなと思っています。

「死ぬ前に一度は大学院へ!」

ーーありがとうございます。
最後になりますが、いま大学院を目指している方に何かアドバイスやメッセージをお願いします。

ホクダイ:やっぱりもう死ぬ前に一回は大学院に行った方がいいですね。
行かないと多分そのままで終わってしまうし、行くと人生が変わりますよ

今だったら仕事しながらでも何とかなりますし。

「アイデアの暴走」に気をつける!

あと、働く社会人なら絶対にMBAで学んだ方が良いと思います。

MBAって、理屈っぽかったり、カッコつけているイメージが強いのですが、現実は「学ばないよりは、学んだ方が良かった」「知らなかったよりは、知った方が良かった」ということばかりの地道な学習がひたすら続きます

北大公共政策大学院の講義で、社会問題解決の課題に対し、学生同士であれこれアイデアを出し合っていたことがあります。

そのとき、公共政策学の先生から「君たちがやっているのは、政策ではなく、アイデアの暴走だ」と指摘されたことがあります。

それを受けて北大大学院在学中に「アイデアの暴走」から脱却するにはどうしたら良いかを必死に考えましたが、結論を得ず修了しました。

OBSでは財務やマーケティング、経営戦略の基礎を学んだ上で経営戦略を立案する訓練を積んでいきます。
レポート作成においても、様々な理論から様々な分析を行い、最終的に自分の考えを戦略としてまとめることが求められます。

一方で、「アイデアの暴走」を羅列しただけのレポートに対しては、教員からかなり厳しい評価とコメントが与えられます

OBSでの学習を通じ、北大で指摘された「アイデアの暴走」とは何かが、少しずつわかってきたような気がします。

今後、「ビジネスプランニング」や「ケーススタディ」と言った実践科目でさらに鍛えられると思うので、2年後のOBS修了時には「アイデアの暴走」ではなく、「戦略(政策)の創造」ができるようになりたいと考えています。


最後になりますが、私自身の経験から言っても仮に最後まで通えなくても、とりあえず大学院へ入って講義を受けてみることに価値があると思います。

ーー今回貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございます!

インタビューを終えて

働きながら通信制で高校・大学を修了したあと、今度は北大公共政策大学院を終えていまは小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻でMBA修得に向けて取り組んでいるホクダイショウダイさん。

ホクダイショウダイさんから勉強に対するストイックさが伝わってきます

日本だけを見ますと社会人で大学院に行く人はまだまだ少ないですし、まして大学院に2つ行く人(ダブルマスター)は非常に珍しいです。

ですが、ホクダイショウダイさんのお話にもあったように海外、特にアメリカですとそれほど珍しい話ではありません。

こちらにもまとめていますが、ダブルマスター人材がもっと増えていくと日本がもっと元気になるのでは、と思っています。

また北大公共政策大学院在学中に感じていた「アイデアの暴走」というモヤモヤに対し、小樽商科大学大学院での学びの中で少しずつ解決の糸口を見つけていらっしゃるというお話も印象的でした。

まさに学びというのは深めれば深めるほど多くの発見があるものなのだと実感します。

「大学院に入るまではまさかPythonなどプログラミングを自分がやるようになるとは思わなかった」とおっしゃっていたことからも、学びの奥深さを感じます。

学びによって人生を変えていらっしゃるホクダイショウダイさん、お忙しい中でのインタビュー、大変にありがとうございます!

今後も応援しています!

☆これまでのインタビューはこちら↓


☆メルマガ登録後1通目が届かない場合はこちらをご確認ください。
メールが届かない場合

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください