起承転結はもう古い!これからは結結結結!分かりやすい文章のポイント

藤本研一

Digest!
文章を書く基本は「起承転結」とよく言われますが、実用文には「結結結結」が効果的です。最初に結論を提示し、その結論を異なる視点から補強することで、わかりやすい文章が書けます。ぜひ試してみてください。

「文章を書く基本って、やっぱり起承転結ですよね?」という誤解

文章の書き方について
よくご質問を伺うことがあります。


そんなとき、
よく聞くのが

「文章を書く基本って
 やっぱり【起承転結】ですよね?」

というご質問。

多くの人の頭のなかに
【文章=起承転結で書くもの】
と浸透しているようです。

これ、私としては問題だと考えます。

なぜかといいますと、
下手に「起承転結」を意識したせいで
かえって読みにくくなっている文章が
多くあるからです。

起承転結のせいでかえって読みづらくなる?!

この「起承転結」のうち
いちばん曲者(くせもの)なのが
「転」の部分です。

せっかく「起」で始め
「承」で展開してうまくいっていた話を
「転」でめちゃくちゃにしてしまっているケースが
多くあるからです。


その結果、読んでいて

「何を言いたいか、よくわからない」

文章になってしまっていることが
極めて多いのです。

起承転結は漢詩のルール。


「起承転結」というのはもともと
漢詩を書くためのルールでした。

五言絶句や七言絶句など
学校の古典の時間で学んだ方も
多いかも知れません。


「春眠暁を覚えず」で起承転結を観てみると。


起承転結を学ぶために
今回「春眠暁を覚えず」という漢詩を
観てみましょう。

孟浩然(もうこうねん)の作品です。


春眠(しゅうみん)暁(あかつき)を覚えず
処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く
夜来(やらい)風雨の声
花落つること知る多少ぞ


【現代語】春はぐっすり眠れるものだから、
夜が明けたのに気づかず寝過ごしてしまった。
あちらこちらから鳥の鳴き声が聞こえる。
昨晩は、風や雨の音がしていたが、
花はどれくらい落ちてしまっただろう。

(現代語の引用元はこちら


この漢詩に
「起承転結」を当てはめてみましょう。


:春眠(しゅうみん)暁(あかつき)を覚えず

:処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く

:夜来(やらい)風雨の声

:花落つること知る多少ぞ


起と承で春ののんびりした風景の話を広げ、
転で視点を昨夜の雨に移します。

最終的に「花はどれくらいおちてしまっただろう」と
問いかけるという内容になっています。



漢詩は音読することで
言葉のリズム(韻律)を楽しむものです。

こういう漢詩においては
起承転結のルールでまとめるほうが
美しくまとまるのです。


要するに、「起承転結」とは
あくまで漢詩を書くためのルールだと
考えたほうがいいのです。


今回のポイント


起承転結はあくまで漢詩を書くためのルール。
わかりやすい文章を書くには
「結結結結」で書く!!!!

では、報告書やレポートなどの
実用文を書くときはどの型で書くといいのでしょうか?


それは「起承転結」ではなく
結結結結」です。

最初に「結論」を示し、
その結論を少しずつ違う視点・要素から説明をしていき、
最後に改めて結論を示していくのです。


詳しくはこれまで私のブログで
「結論サンドイッチ法(SDS法)」や
「PREP(プレップ)法」について解説してきたとおりです。

 ☆SDS法

 ☆PREP法



「結結結結」で「春眠暁を覚えず」を書きなおす!



では、この「結結結結」で書くと
先程の「春眠暁を覚えず」の漢詩は
どのように書けるのでしょうか?

私なりに書いてみたものがこちらです。


「昨夜の雨で花が落ちていることが予想される。

 まずは現在の状況を説明する。
 現在は春であり鳥の鳴く声も心地よく
 眠気が抜け難い状態である。

 そんな折、昨夜は雨が降っていた。
 よって降雨により春の花がいくばくか
 散ってしまっていることが予想される。

 以上により、昨夜の降雨による落花が予想されるといえる」

いかがでしょうか?


何の味わいもない文章になってしまいました(笑)

ですが、何を言いたいか明確ですよね。

まず1番目の「結」では
「昨夜の雨で花が落ちていることが予想される」
という全体の結論を最初に提示します。

次に2番目の「結」では
最初の「結」につなげるための
現在の状況に話を広げます。

「現在は春であり鳥の鳴く声も心地よく
 眠気が抜け難い状態である」

ここでは元の文章の「起承」をまとめていますが、
これらはあくまでも最初の「結」につなげるため、
違う視点から論じた部分です。

3番目の「結」では
「そんな折、昨夜は雨が降っていた。
 よって降雨により春の花がいくばくか
 散ってしまっていることが予想される」

と、元の文章の「転結」をまとめています。

これも最初の「結」を言うために違う視点からまとめた内容と
なっています。

4番目の「結」では
「以上により、昨夜の降雨による落花が予想されるといえる」
と、1番目の「結」を再度提示して示しています。

「結結結結」と書くことは
読んでいて
「次はどうなるんだろう」と
ワクワクすることは全くありません。


最初に結論が書かれているからです。


ですが、そのおかげで
実用文として極めてわかりやすい内容と
なっています。

なぜかというと、
忙しい人は最初の「結」だけで内容がわかりますし、

もっと詳しく知りたい人も
最初の「結」があるからこそ
どういうふうに話が展開するか
わかりやすいからです。

最初の部分だけ読んでも内容が伝わる。

これが「結結結結」で書くメリットですし、
だからこそ他の方にも読んでもらいやすくなるのです。


ぜひこれから報告書など実用文を書く際は
「起承転結」ではなく「結結結結」を
心がけてみてくださいね!

ではまた!

☆こちらも御覧ください。


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