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参議院選挙前!ぜひとも実現してほしい政策が奨学金制度改革です!
いま参議院選挙前。
私が北海道大学の「公共政策大学院」に通っていることもあり、今回は国にぜひとも実現してほしい政策についてをまとめてみます。
それが「給付型奨学金を社会人大学生・大学院生にも支給拡大を!」というもの。

現在、日本の奨学金制度には「日本学生支援機構」の奨学金制度と、学校・各団体が自主的に運営している奨学金制度の2つがあります。
このうち「日本学生支援機構」の奨学金は学生の2人に1人が使用しています。
かくいう私は現役学生・大学院生時代にも使いましたし、社会人として大学院に通ういまも使っています。
その結果、数百万円の借金が私の頭上にあるわけですが…(笑)。
この日本学生支援機構の奨学金制度、所得によらず進学可能性を広げる意味で極めて重要な意義を持ちます。
ですが、日本学生支援機構奨学金最大の特徴は「返済義務がある」ということ(貸与型奨学金)。
要は「借金」ということです。

もっとも、日本学生支援機構の奨学金の「第1種」は無利子となっています。
また「第2種」は利子がつきますが、各種ローンに比べ低利子となっています。
ですが、卒業と同時に返済が開始され、この返済負担の重さが近年問題となっています。
しかも、返済が滞ると督促が激しくなるだけでなく日本学生支援機構から民間金融機関に債権が売り払われ、金融機関の「ブラックリスト」にも載るといわれています…。
☆岩重佳治『「奨学金」地獄』に載っています。
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奨学金地獄を減らすため、取り組みは進められていますが…。
この負担をなくすため、いまは「給付型奨学金」制度が拡充されつつあります。
これは低所得世帯を対象にした「返済不要」の奨学金制度です。

返済不要ということは借金ではないので本来の奨学金のあり方に近い制度、と言えます。
さらには3人以上子どもがいる世帯の学費を免除する制度も2025年から始まっています。
ですので、学費負担を少なくする取り組みは年々広がりつつあると言えます。

ただ。
ここまで言ってきたのは「高校からそのまま進学する大学生・大学院生」を対象とする話です。
実は、社会人の場合は日本学生支援機構の「貸与型」奨学金を使用してお金を「借りる」事はできますが、返済義務のない「給付型」の日本学生支援機構 奨学金制度を使用することはできないのです。
これ、なんとかならないかな、と前から思っているところです。

議員候補の人とお話する機会が。
先日、偶然ながらあるイベントで国会議員候補者の方とお話しする機会がありました。
その時の質疑応答で私も発言させていただきました。
その時にお伝えしたのも、ここまで見てきた奨学金制度についてです。
現在、国としても高等教育の支援策を拡充していく動きが進んでおり、奨学金制度も以前よりは充実してきたと言えます。
もちろん、負債を抱える学生の問題も指摘されていますが、「お金がないから進学できない」という人を減らす意味で日本学生支援機構の奨学金制度の拡充は評価することができます。
ですが、給付型奨学金が社会人大学生・社会人大学院生に拡大されていない点について、今後制度変更をしてもらいたい旨をお話したわけです。

候補者の方も身を乗り出して聞いてくださいました。
「ちょうど政府としてもリスキリング(学び直し)の推進をおこなっていますので、自費で進学する社会人を支援する意味は大きいと思います」
こういう形で前向きに考えてくださる反応を聞けて、私もたいへんうれしくなりました。
「言ってみるもんだな〜」と感じた次第です。
世界との比較から見る日本の課題!社会人の進学が超低い!
社会人に対する給付型奨学金制度の拡充という政策、これは何も私が奨学金を借りている側だから言っている話ではありません。
実は、世界的に見て日本の社会人の高等教育進学率は低いという特徴があります。
たしかに、高校から大学・専門学校などに進学する割合は高く約59.1%にまで高まっています(2024年度)。
ですが、社会人になってから学び直し目的などで進学する人の割合は極めて低いです。
文部科学省,2018,「高等教育の将来構想に関する参考資料」のグラフを見てみましょう。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/042/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401754_07.pdf
このグラフによると、社会人(25歳以上)の者が大学(学士課程)に入学する割合はOECD諸国平均が16.8%なのに対し、日本はわずか2.5%です。
また社会人が大学院修士課程に進学する割合はOECD諸国平均が26.3%なのに対し、日本は12.9%となっています。
※便宜上・25歳・30歳を「社会人」と読み替えて検討しています。

現在、高度な専門知識や能力が求められる国際社会において、社会人が学び直すことが少ないのは日本の競争力を損ねる要因となりえます。
世界的に見ても高い日本の学費
そもそも、日本の高等教育(大学・大学院など)費用は国際的に見ても決して安くはありません。
ヨーロッパ諸国ではドイツなど大学教育がほぼ無償に近い国も多く存在しますが、日本は国公立大学であっても年間の授業料が約53万円。
私立大学ともなればさらに高額になります。
さらに入学金や生活費を含めると、家計に対する負担は相当なものとなります。
「でも、アメリカなどはめちゃくちゃ学費が高いですよね」
そういう意見をいう方もいらっしゃると思います。
たしかに、アメリカでは授業料が高額な大学・大学院もあります。
社会人対象の大学院で数百万円かかるところもザラにあります。

ですが、そんなアメリカでも州立大学やコミュニティカレッジなどを活用すれば比較的安価に学ぶことも可能です。
このように、日本はそもそも社会人の進学者が少ない上に、進学のための経済的ハードルも高い国であるといえます。
だからこそ、ただでさえ低い社会人進学率を高めるために公的な支援がより強く求められているのです。

給付型奨学金の拡充がもたらす社会的効果
もし、社会人にも給付型奨学金が提供されるようになればどうでしょうか?
例えば今後のキャリアアップを見越したり、今働いてる業種から別の業種に移りたくなったりした際などに大学・大学院へ進学することが容易となるでしょう。

学んだ内容をもとに転職に挑戦したり、場合によっては起業・独立したりすることも可能となることでしょう。
現在、社会人が進学する際のネックに経済的要因があります。
「働きながら学ぶのが大変」「休職して大学に通うとお金が続かない」という理由で進学を断念する人も多くいます。
給付型奨学金を社会人に拡充することはこの現状を打破する一手になるでしょう。
さらに、学び直しを通じてスキルを獲得した人材が労働市場に戻ることで、生産性が向上するほか産業自体がさらに発展していきます。

社会人個人がキャリアアップのために進学することは、やがて労働市場にパワーアップした状態で戻ることになり、経済自体が発展することにつながります。
つまり、個人が学び力をつけることは社会全体の力もなるのです。
こう考えるならば、給付型奨学金制度を社会人に拡充するという教育投資は、将来的に税収増やイノベーションの増加という形で社会に還元されるといえます。
無駄な政策どころか、社会全体の役に立つ政策であると言えるわけです。
「学び直し」が当たり前の時代にするために
いまはまさに「リスキリング」や「リカレント教育」(生涯学習)の必要性が叫ばれています。
技術の進展、産業構造の変化、AIの台頭など、変化が加速する社会において、過去の学びだけでは通用しない場面が増えています。
そうした中、社会人が新たな知識やスキルを得るために「学び直す」ことは、当然の行動になっていくはずです。
しかし、それを実現するためには「経済的な安心」が必要です。
その点で、給付型奨学金を社会人に拡充することは社会人の進学を大きく後押しする作用となります。
こうした支援が広がることで、「社会人の大学院進学」や「学び直し」が当たり前の選択肢として社会に根づいていくのです

制度改革への希望
私自身も、これからも社会人が再び学べる環境をつくるために、政治や行政への働きかけを続けていきたいと考えています。
社会人が、経済的な不安を抱えることなく、意欲と志をもって学び直せる社会。
それこそが、「誰もがチャンスを得られる社会」であり、「成長し続けられる社会」なのではないでしょうか?
だからこそ給付型奨学金の社会人への拡充を実現させたいなあ、と思っているところです。
あなたは私の提案、どのように考えますでしょうか?
コメント欄などで教えて下さいね!
ではまた!

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いまや学生の2人に1人が活用している日本学生支援機構の奨学金制度。これ、社会人も大学・大学院進学に使用可能ですが、給付型奨学金は現役学生にしか適用されないという課題があります。学び直しが求められる今、経済的支援が進学の後押しになります。だからこそ給付型奨学金を社会人にも広げていただきたいと思っているところです。