社会人大学院生インタビュー6 勉強が趣味、卒業後も勉強を続けたい。小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻(OBS)修了・田邉勇樹さん 前編

社会人として大学院で学んだ経験を持つ方々へのインタビューシリーズ
第6弾は、中小企業診断士の資格を持った状態で小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻(OBS)に入学し、今年3月にMBAを取得した田邉勇樹さんのお話を伺います。

OBSでの学業をテーマにしたインビュー。今回は前編をお届けします!
(インタビュー実施日:2024年4月30日@弊社事務所)

田邉勇樹さん

ヒト・トレーナーとしてこれまで5,000名以上の人材育成に関わる。2022年4月に小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻(OBS)に入学し、2024年3月修了(卒業生総代)。
2023年11月には経営コンサルタントとして独立し、中小企業診断士・1級販売士の資格を活かしたコンサルティングを実施している。公式サイトはこちら

卒業生代表として賞状を受け取りました。

ーー今回は社会人大学院生インタビュー企画でこの春に小樽商科大学大学院のアントレプレナーシップ専攻(OBS)を修了された田邉勇樹さんのお話を伺っていきます。

田邉:よろしくお願いします。

ーー田邉さんは私と同じく札幌商工会議所での研修等もしていらっしゃる方です。
また本業としては中小企業診断士として企業の経営コンサルもやっていらっしゃいます。

こうやって忙しく仕事をしながらもOBSを2年間で修了されただけでなく、なんと卒業式では卒業生代表として賞状を受け取られたそうですね

これ、要は成績が一番だった、ということですよね?

田邉:そうですね。
OBSでクラスメートにも恵まれ、最高の二年間を過ごすことができました。

中小企業診断士の資格があるのにMBAを目指す?!

ーー田邉さんは進学前、販売士の資格を取っている他、中小企業診断士など経営に関する資格を取得なさっていましたよね。
その状態でなぜOBSに行ってMBA取得を目指されたのでしょうか?

田邉:けっこう資格を取るのが趣味なんです(笑)

ーー何となくなんですけど、中小企業診断士とMBAとほぼ同じような資格ですよね?
そのなかでわざわざ何かMBAを取りたいなと思われたはなぜでしょうか?

田邉:一番大きいのは、やっぱり自分だけでの学びではなくて、クラスメイト他の方々との交流ですとか、意見交換を通じて学びを得たかったというのが一番大きな理由です

ーー割と資格試験って一人だけになってしまいますよね。

田邉:そうなんですよ。実際に私も中小企業診断士の資格を取ったときも、基本的に独学でした。
講習で中小企業診断士を取ったわけじゃないんです。

中小企業診断士の資格取得において一次試験(筆記試験)合格後に二次試験を独学で対策する方法と中小企業診断士養成課程に参加して資格取得をする方法の2種類の方法があります。

この養成課程には商工会議所などが主催するプログラムもあれば大学院のMBAコースで学ぶことによって卒業時に中小企業診断士が取れるプログラムもあります。

通常、中小企業診断士を目指している人がMBAコースに入ることで中小企業診断士合格を目指すケースが多いので、田邉さんはその意味で逆の取り方となっています。

田邉:まさに独学というのが長くやってきた学習スタイルなんですよ。
独学で中小企業診断士を取ったんですが、自分一人ですと視点が偏ってしまったり、
どうしても教科書的になってしまったりするところがあるんです

それで小樽商科大学大学院に行ってMBAも取得したいなと思った次第です。

ーー多くの場合、田邉さんと逆のやり方、つまり中小企業診断士の1次試験に受かったあと大学院に進学し、MBAコースを卒業すると同時に中小企業診断士が取れるコースもありますよね。

なので中小企業診断士を取ってからMBA進学をするというのは結構珍しいパターンだなって思っていたんです。

田邉:確かに学問の範囲としては重複はしてると思います。
実際、入学時の面接試験においても面接を担当された先生から「中小企業診断士を持っているのになぜMBAコースに進学するんですか」というようなことを聞かれました(笑)

OBSを目指したのは小樽商科大学が北海道に根づいているところも理由です。
大学院の科目に関してもかなり北海道を対象にしたような科目があります。
そういった地域にかかわるような科目が多くありますので、そこにすごく魅力を感じました。

ーー具体的にはどんな授業があるんですか?

田邉:実際に北海道経済の統計を出したりですとか、北海道の町おこしイベントを対象に分析したりアイデア出しをしたりするような授業もありました。

私は新潟県の長岡市出身であり北海道の人間ではないので、北海道について詳しく勉強したいなと考えたのがOBS進学の一つ大きな理由ですね。

独学にはないメリット

ーー独学ではなく誰かと学ぶという学ぶ経験をしたいということで進学したと聞いたのですが、実際に学んでみていかがでしたか?

田邉:OBSにはすごく多様な方々がいらっしゃいましたし、そこによる意見のぶつかり合いを経験できました。
その点で本当に来て良かったなと思います。

コロナ禍の時期ですとオンラインでしか学習ができなかったので、教室で勉強できて良かったとも思っています。

ーー意見のぶつかり合いというと、ディスカッションが白熱したということでしょうか?

田邉:はい、そうなんです。
OBSは授業の中でのディスカッションを重視しています。
学校の授業もだいたいは半分講義で半分ディスカッションみたいな授業が非常に多いんですよ。

年齢も20代前半から上は60代以上まですごく色んな方がいらっしゃいましたし、業種も本当にばらばらなんですよね。
そういう中で一つの課題に対して意見をぶつけ合うなかで自分にない視点を多く得られたなとに思ってます。

入学前に思っていた以上に満喫させていただいたなと思っています。

(イメージ画像)

ーー独学とみんなで学ぶことの違いってどの辺にあると思いますか?

田邉:独学というのは結局のところ、自分のフィルターを介してでしか学びが得られないものだと思います。

多くの場合は自分の見方でしか世の中を見れないと思うんですけど、多様な人がいると自分と異なる考えの方を知ることができます。
当然反対の意見の方もいらっしゃるんですけど、そういう多様な視点をリアルの場でお話しできたことが良かったですね。

何と言いますか、自分以外の脳みその力も借りながら勉強できる良さがありますね。
独学だと自分の脳みそでしか勉強できないんですけど、ある種他の方の学びみたいなところも取り入れられる良さがありますね。

「我ながら、2年間よくやったな、って思います」

ーー田邉さんと同期に当たる山田さんのインタビューのときにも聞いたんですが、OBSの場合平日の18時30分から始まり、授業が終わると22時近くになるそうですよね。

そうやって平日を過ごした後に土曜日は土曜日で丸1日授業があると。

これ、仕事をしながらどうやってこれ乗り越えられたんですか?

田邉:もう言ってしまうと、根性ですね(笑)
OBSに行っていても当然仕事もしてますし、結構土日も予定が入っていますので、そうなるともう空き時間でやるしかない。

他の方に聞くと仕事の量を調整したり、有給休暇をうまく使ったりして仕事と勉強を両立したという工夫を聞くことがあります。
ですが、僕はあんまり上手にそれができなくてですね…。
結構大変でした。

ーー特にどの辺が大変でしたか?

田邉:とにかく休みがないことですね。
平日も土日も仕事と勉強で追われているので…。

ーーでは今年の3月にOBSを卒業なさって、今どんな気持ちですか?

田邉:よくやってたなって、我ながら思います。
すごいなと思います。今考えたら、結構な量の勉強をやっていたと思いますよ。

OBSでは読み込む資料も多いですし、作るべき課題レポートや論文がたくさんあります。
経営の学部なので、経営分析の課題にもすごいものがあります。

なのでインプットとアウトプットも量としては非常に多いと思います。

ーーずいぶん大変そうですね…!
田邉さんは中小企業診断士を持っていらっしゃいますが、この中小企業診断士の学びがOBSの学習に役立ったところはありますか?

田邉:それはすごくあったと思います。
基本的な経営学の知識にに関しては中小企業診断士試験で学んでいましたので、MBAコースでの学びについて、他の方と比べるとすごく入って行きやすかったと思いますね。

大会のためにわざわざ愛媛へ!

ーーちょうど田邉さんはOBSの学びだけではなくて、何か学外での何かのコンテストにも挑戦されたと聞いたのですが?

田邉:はい、全国のMBAの現役学生が集まって経営分析をしプレゼンテーションを行う大会があるんです。
日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)という大会ですね

こちらにも出場させていただきました。

JBCCサイト。出場した田邉さんも現在 実行委員を務めている)

ーーすごいですね! これはどういう大会なんですか?

田邉:JBCCは企業のケース分析の仕方を競う大会なんです
ケース分析というのは例えば中小企業とか有名企業の過去の業績データを見たうえで次にどういう戦略を取るべきか考えることをいいます。

MBAコースではこのケース分析を積極的に行っていく授業が多く行われています。

JBCCでは架空の企業の業績データが示されまして、その内容をもとにケース分析を行うことになるんです。

私が出た大会の時ですと、愛媛県にある会社をどう再生するかという問題が出たんです。
そのため実際に愛媛県に出張というか視察にいって現地調査をしたんです。

ーーえ、これって架空の会社の分析ですよね?

田邉:架空の会社なんですけど、実際の企業を結構モデルにしてるのでケース自体がかなりリアルなんですよね。
だからこそ、愛媛の雰囲気をわかってないとケース分析が作れないなと思ったので視察に行ったんです。

ーーそのためだけに行ったんですか!

田邉:はい、そうです(笑)。

ーーマジですか! そこまで気合いを入れていらっしゃったんですね!

田邉:もうこれ、本当に部活みたいなものなんで。

JBCCには別名がありまして、それが「MBA生の甲子園」と言うんです。

ーー我々の年齢で甲子園ですか…!

田邉:実際、けっこう全国の学校だけではなく海外の学校からも参加があるんです。
もちろん、北海道の我々も。
だから気合いを入れて挑戦しました。

ーーちなみに、結果はどうだったんですか?

田邉:結果はめでたく準優勝でした。

ーー日本で2番目ですか!

田邉:日本で2番目です。
優勝にはあとちょっと届かなかったですが、何とか準優勝することができました。

OBSが全国2位の快挙!

ーー全国のMBAですと早稲田とか慶應とか一橋とか有名どころのMBAがたくさん出ているなかで、OBSがなんと全国第2位だったんですね!

田邉:OBSの歴史の中でも最高位だと思います。

ちょっと残念な言い方なんですけども、小樽商科大学って全国区で見ればそこまで有名ではないんです。
なのでちょっとでもOBSの知名度向上につなげられたのではないかと嬉しく思っています。

ーー愛媛に行ったのが大きかった気がしますね。

田邉:ホントに大きかったですね。
愛媛に行かなければこの結果にはならなかったですね。

ーー田邉さんのフットワークの良さ、本当にすごいと思います。
ちなみに、このJBCCって1チーム何人くらいで出場するんですか?

田邉:1チーム大体5人くらいです。
OBSの同級生でチームを組んで出場しました。
以前インタビューに出ていた山田さんも入れた5人ですね。

「ちょっとやり過ぎた2年間でした」

ーーそれにしても田邉さんはMBA生の甲子園で準優勝、しかも卒業する時に卒業生代表といいますと、もう何も思い残すことはなさそうですね。

田邉:はい、満喫しましたね。
ちょっと思っていたよりやりすぎたというかところがあります(笑)

ーーやりすぎた、といいますと?

田邉:もう勉強しすぎですね。
もうちょっとゆとりを持てたらなと思います。

ーーもう1回OBSに入れと言われたらどういう過ごし方をしますか?

田邉:う〜ん、結局は同じようにやるとは思うんですけど、もうちょっと睡眠時間は確保しようかなと思いますね。

ーーちなみに田邉さんは何時間睡眠くらいでOBSを乗り切ったんですか?

田邉:4時間ぐらいだと思いますね。
慢性的に睡眠不足になっていたので体の調子は悪かったです。

OBSの課題をこだわって仕上げてしまうなど、やり過ぎたところはあったかもしれないですね。
もうちょっとしっかり寝れば良かったなとは思います。

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