チームワークが良いほどミスも多い?『恐れのない組織』に学ぶリーダーの振る舞い方とは?

藤本研一

Digest!
『恐れのない組織』には
チームワークが良い組織ほど
ミスの報告件数が多いという
事実が書かれています。

こう聞くと、チームワークが良いほど
雑な仕事をしているような印象ですが、
実際はチームワークが良いほど
細かなミスもみなで共有するという流れが
存在しているようです。

ミスを隠さず共有できる。
それが後々の重大事故を防ぐ上でも有益ですね!

あなたの職場、チームワークはどうですか?




突然ですが、
あなたの職場、
チームワークはいかがですか?


職場において
メンバー間のチームワークが良いと
仕事もしやすいですよね。

成果も上がりやすいですし、
何より楽しく仕事が出来ます。


ただ、このチームワークについて
興味深い研究が行われています。

有能なチームほどミスが多い事実。

以前もご紹介した
『恐れのない組織』のなかに
次の話が紹介されています。



著者であるエイミー・C・エドモンドソンさんが
病院内において職員のミスに関して調査をしていたときのこと。


病院内での
医療者チームのチームワークの良さ(有能さ)
ミスの報告件数を分析していきました。

その中であることに気づいたのです。


「ミスについてのデータとアンケート調査のデータが
 すべて集まった当初、私は胸を踊らせた。

 統計の分析を始めたところ、
 別個に集められた誤り率(注 ミスの報告率)と
 チームの有能さの程度との間に有意な相関関係のあることが
 すぐにわかったのだ。

 ところがその後、詳しく検討して、
 おかしなことに気がついた。

 相関関係の方向が、予想と全く逆だ。

 どうも、有能なチームほど、
 そうでないチームに比べてミスを多く
 (少なく、ではなく)
 しているように思われる」 

(Kindle版33/346ページ)


病院においてチームワーク能力が高い
有能なチームほどミスを多くしている…!


これ、不思議といえば不思議です。

…この話を聞くと

「チームワークがいいと
 メンバー間で雑談ばかりしているから
 集中力が欠けてミスに繋がるのではないか」

と思われるかも知れません。

あるいは

「チームワークがいいと
 雑な仕事をするようになるのではないか」

と思う人もいるかも知れません。

有能なチームほど正直にミスを報告していた!

このデータを分析していて
著者はあることに気づきます。

「その後、私はハッとひらめいた。
 有能なチームには率直に話す風土があって、
 気軽にミスを報告したり話し合ったりできるのだとしたら
 どうだろう。

 不意に私は思った。

 優秀なチームは、ミスの数が多いのではなく、
 報告する数が多いのだ、と

(Kindle版34/346ページ)


チームワークが良いチームほど
正直にミスを報告していたのではないか…?


逆に、チームワークが良くないチームほど
ミスをほとんど報告しなかったのではないか…?

この仮説を確かめるべく、
別の研究者も交えて
再度検討してみました。

「優秀なチームのメンバーは、
 ミスの可能性について率直に話していた。

 ミスに気づいて回避するための
 新たな方法を見つけようとしているケースも
 多々あった。

 数年後、私はこの風土の違いに、
 「心理的安全性」と名前をつけた」

(Kindle版35/346ページ)
※引用にあたり一部カットした部分があります



チームワークのいいチームほど、
ミスを隠そうとせず
率直に話をしていたのです。

仮説が見事に証明されたわけです。

ということは…。


チームワークが良くないチームでは
ミスを隠す傾向がある、
ということも明らかになりました。



よく考えるとこれ、
すごく怖いことですよね…。

実際、ミスしたことを
ただ叱責されるようなチームだと
よほどの大きなミスでなければ
隠そうとしてしまうことでしょう。


その結果、深刻な医療事故が起きるなど
大きな問題が発生してしまうことになるのです。

ハインリッヒの法則によると。

「ハインリッヒの法則」というものがあります。


これは労働災害の分野においての
事故の発生についての法則です。

1件の重大な事故の背後には
重大事故に至らなかった
29件の軽い事故が隠れているといいます。

さらにその背後には300件の軽いミス、
いわゆる「ヒヤリハット」(ヒヤッとしたりハッとしたりする異常状態)が
隠れている、というものです。


(参考:https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=115

チームワークがいい組織では
軽いミスのレベルから
報告・相談がなされているので
結果的に大きな事故はあまり起きません。

一方、チームワークがよくない組織では
軽いミスや事故は隠されていき、
大きな事故が起きてしまうことになるのです。



さあ、あなたの職場、
ミスを報告しやすい環境に
なっているでしょうか?

大きな事故を防ぐためにも
一度考えてみてくださいね!

今回のポイント


ミスを叱責する組織だと
ミスはどんどん隠される…!

ミスを聞いた時、あなたはどうは反応していますか?

人間、生きて仕事をしていれば
かならずミスをしてしまうものです。

でもそのときに
チーム内で報告・相談しやすい組織か
すぐに隠してしまう組織かで
ミスをした後の結果は大きく異なります。

ミスをしたときに
叱責される組織だと
往々にして人はミスを隠すようになっていきます。



ご自身がリーダーの方は
ミスの報告を聞いた時
どのように対応しているか考えてみると
良いかも知れません。

「何をやっているんだ!」
と叱責していると、
だんだん周りはミスを隠すようになり、
最終的には重大事故が発生してしまうことでしょう。

イヤな報告ほど笑顔で受けよ!

ミスの報告をまずは笑顔で受け止め、
「どうやったら解決できるか」
「どうやったらミスを防げるか」
一緒に考えていけることが
重大事故を防ぐことにもなるわけです。

要するに、
イヤな報告ほど笑顔で受ける度量が
リーダーには求められるわけですね!

リーダーの方もそうでない方も、
仕事の質を高めるため
「イヤな報告ほど笑顔で受ける」習慣、
つけてみてはいかがでしょうか?


(私も身につけたいです…)




ではまた!


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