小論文の上級テクニック「代案提示」で一歩差のつく答案を!〜小論文試験必勝シリーズ7

今回のポイント

本論の最後に「代案提示」。
自説を盛り込むことで小論文がグッと良くなる!

「小論文、どう書けばいいの?」 と悩んでいませんか?

「小論文って、
 どう書けばいいかわからない…!」

そんな声にお答えするシリーズの
第7弾、今回もお届けします!


小論文に入れると引き立つ具材

これまで、小論文の
「本論」に入れると内容が引き立つ
「具材」を2つ紹介してきました。

 
 ▼具材1)譲歩構文
 「確かに〜〜。しかし〜〜」
 「もちろん〜〜。しかし〜〜」


 ▼具材2)背景提示
 「そもそも〜〜」
 「〜〜の背景には〜〜がある」

 


今回はその最後の具材である
「代案提示」をご紹介します!

小論文の具材3)代案提示

代案提示
「思うに」

理由やエピソードなどを書いた後、

「自分ならこうする」

という考えを書きたくなることがあります。


「単なる賛成・反対を言うだけでなく、
 こういうふうに変えたら
 もっといい意見になるのではないか?」

そう気づけることもあるかもしれません。

そんな時に
ぜひとも使っていただきたいのが
「代案提示」です。

これまで小論文で述べてきた議論をいかし、
「自分ならどうするか」を書くときに
大いに役立つのが「代案提示」。

さっそく、「代案提示」の使い方を見てみましょう。

賛成・反対を書いた後、
次のように「代案提示」を使うことができます。

代案提示 基本のパターン
「思うに、単に〜〜を行うだけではなく
 〜〜の視点を忘れずに行う必要があるのではないか」
(〜〜の視点を忘れてはならないのではないか)

実例 看護師の待遇改善をさらにすすめるべきか否か

このパターンで
実際の小論文を書いてみましょう。


「看護師の待遇改善をさらにすすめるべきか否か」
というテーマが小論文で出題されたとします。

この問題を
「待遇改善をさらにすすめるべき」(賛成)という
立場で書いていくとします。


このときまずは「序論」で
「待遇改善をすべきだ」と書いた後、
理由や具体例を書いいくことになります。


(もちろん、賛成-反対を問う問題なので
 「譲歩構文」を使うとより良くなりますね!)

これらの要素の後、
次の書き方でまとめることができるかもしれません。


「ここまで待遇改善をすすめるべきか否かを
 検討してきた。

 最も重要なことは単なる待遇改善を
 行うか否かを考えることではなく、
 看護師として目の前の患者のために
 どれだけ尽力できるかということに
 あるのではないだろうか。

 待遇が良くなければ
 持続的に患者のために尽力することはできない。

 反対に、待遇が良くなったとしても
 患者に尽くす思いが弱まってしまうなら
 本末転倒である。

 思うに
 看護師の待遇改善を行うことは当然であるが、
 それはあくまでも看護師としての本職を
 全うするためであるという視点を
 忘れてはならないのではないか」

 (注 あくまで回答例であり
  模範解答ではありませんのでご了承ください)

いかがでしょうか?

「思うに」を入れることで
単なる賛成・反対を超え
「何のための待遇改善なのか」
という論を立てることができました。

早稲田大学スポーツ科学部の過去問の事例

ちなみに。

この「代案提示」を使う小論文で、
私が忘れられない答案があります。

それは数年前、
早稲田大学スポーツ科学部の
小論文試験対策をしていたときのことです。


高校3年生のAさんに
「代案提示」の講義をしていました。


その次の回の講義の中で
Aさんが早稲田の過去問を
解いてきていました。

スポーツ科学部の過去問で、
テーマは次のようなものでした。


〈現在、男子スポーツ選手に比べ
 女子スポーツ選手の待遇が悪いことが
 問題となっている。

 サッカーの日本代表を例にすると
 男子の移動は飛行機のビジネスクラスであるが、
 女子の移動はエコノミークラスでの移動となっている。

 このような現状について
 あなたはどう思うかを論じなさい


通常のパターンですと
今回の「看護師の待遇改善」のように
以下の流れで論述することになります。

《序論》
 女子スポーツの待遇改善を図るべきだ。

 《本論》
 なぜなら不平等を是正しなければ
 優秀なアスリートが
 女子スポーツの世界から去ってしまう可能性があるからだ。
 
 確かに男子スポーツに比べ
 女子スポーツのほうがスポンサー料を集めにくい
 側面がある。
 しかしながら、だからといって待遇に差を設けることは
 今後の女子スポーツの発展にもつながらないだろう。

 《結論》
 このような理由から私は女子スポーツの
 待遇改善を図るべきであると考える。


通常の答案は
だいたいこのような流れとなります。


(あくまで骨子だけですので
 実際はもっと文字量が多いです)

Aさんの答案も、
途中まではこのパターンでした。


ですが、最後のほうが違ったのですね。

Aさんは先程の例でいうところの
《結論》の直前にこういう内容を追加していたのです。


「思うに、今後女子アスリートの待遇を改善するには
 男子・女子それぞれでスポーツを分ける考え方自体を
 考え直す必要があるのではないか。

 たとえばフィギュアスケートには
 男子・女子のペアで行う競技がある。
 他の競技もこのようなルールで実施することは
 可能なのではないだろうか。

 具体的にはサッカーや野球などにおいて
 男性・女性混合で競技を行い、
 試合に出場する選手を
 男子◯名以上・女子◯名以上などと
 ルールで定めていくことが考えられる。

 ラディカルな考え方と思えるかもしれないが、
 男女同権が叫ばれる昨今では
 このようなルール改正も可能ではないかと考える。

 そうすれば単純な男子スポーツ界・女子スポーツ界という
 くくりを乗り越え、
 新たなスポーツの可能性が開かれるのではないだろうか」

こういった内容でした。



読んでいて衝撃を受けました。

単なる女子スポーツの待遇改善を超え、
より深い視点から議論をなさっているのが
伝わってきたからです。

Aさんの斬新な視点と、
「代案提示」を使いこなしている様子を見て
とても感銘を受けました。

改めて
「小論文の指導をしていて
 良かったなあ…」
と実感した事例となりました。

もちろん、Aさんは
早稲田のスポーツ科学部に
見事合格なさっています。

今回のポイント

本論の最後に「代案提示」。
自説を盛り込むことで小論文がグッと良くなる!


使うと差のつく「代案提示」!



なお、小論文の答案って
制限時間内で書けることでいいので、
「机上の空論」のような内容になっても別に構いません。

(かといって過度な「理想論」だけで
 いいというわけでは有りませんが…)

今回のAさんのような斬新な回答を
制限時間内で思いついたなら
思い切って書いてみるのも
採点者へのアピールに繋がるはずです。


ただ、この「代案提示」って
小論文のテーマによって
使えるケース・使えないケースが
はっきり別れます。


毎回使えるわけではありません。



でも
使えたら
小論文がピリッとしまります。

マンネリな議論であっても
より深い回答を示すことができるようになります。


他の人とは
一味違う答案を作成することが出来るのです。

なのでチャンスが有れば
「代案提示」、ぜひ使ってみてくださいね!


ではまた!


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