研究によって「どんないいこと」がありますか?「劇的ビフォーアフターの型」で研究計画書を書くコツ〜社会人が大学院進学をめざすなら?⑤〜

今回のポイント

研究計画書の「アフター」部分では
研究の意義を書く!
その意義は多少大げさなレベルで丁度いい!

どう書く?どう進める?研究計画書!

「大学院進学に使う研究計画書、
 書き方がよくわからない…」

そういったことでお悩みの方、
いらっしゃいませんか?

 

そんなお悩みにお応えするべく
【研究計画書の書き方】をお伝えするブログ企画。

今回もお届けしていきます!

 

【劇的ビフォーアフターの型】で研究計画書をスラスラ書く方法!

前々回・前回と2回に渡り、
研究計画書の書き方のポイントをお伝えしてきました。

 

そのポイントとは
あるテレビ番組を思い出すこと。 

そう、テレビ番組【大改造!!劇的ビフォーアフター】のように、

  研究計画書は
  【ビフォー→匠の技→アフター】という
  3つに分けて考えると書きやすい、

…ということを説明してきたわけです。

 

前々回・前回で
「ビフォー」と「匠の技」を見てきましたので、
今回は最後の「アフター」の部分を見てきます。

「アフター」は「仮説」「研究の意義」を書く!

【劇的ビフォーアフターの型】の
最後に当たる「アフター」の部分。

【大改造!!劇的ビフォーアフター】の番組ですと
「なんということでしょう!」
というアナウンスがある辺りです。

 

ボロボロだったり
問題大アリだったりした家が、
匠(たくみ)によって
まったく新しい家に生まれ変わる。

 

まさに番組のハイライトです。

「なんということでしょう!
 狭かったリビングが1.5倍の大きさになりました。
 家族に笑顔が戻りました!」

こういったアナウンスが
流れる部分ですね。

たいへん感動的な
クライマックスの部分です。

研究計画書でも、
「アフター」の部分はクライマックスとなります。

研究計画書において「アフター」に当たるのは
研究の「予想される結果」や「仮説」を示す部分です。

「匠の技」で提示した
研究手法を用いることで
どんな結果が得られるか。
それがどう役立つか。

このことを提示する部分です。

まずは
研究を行うことによる
「予想される結果」や「仮説」を書くことが
必要です。

その上で、この「予想される結果」や「仮説」によって
「どんないいことがあるか」
「この研究はどういう役に立つか」
を示していく必要があります。

いうならば、
「研究の意義」についても書く必要があるのです。

「研究の意義」を書く際の2つのポイント

「研究の意義」。

ここには2つの種類の意義があります。

 

それが「数値上の価値」と
「言語表現上の価値」の2つです。

 

さきほど【大改造!!劇的ビフォーアフター】の
番組アナウンスを例にしましたが、
このアナウンスの中にも
「数値上の価値」と「言語表現上の価値」の2つが現れています。
 

「なんということでしょう!
 狭かったリビングが1.5倍の大きさになりました(数値上の価値)。
 家族に笑顔が戻りました!(言語表現上の価値)」

 

研究をすると
「どんないいことがあるか」。 

それを数値上の価値・言語表現上の価値両方から
示していく必要があるのです。

 

たとえば統計データを使った研究ですと

「○○と△△との間に相関があることを指摘し、
 今後の社会政策を考えていく際の一助とする」

というような書き方が考えられます。  

ただ、たとえ数値として結果が出るようなタイプの
研究でなくても
「言語表現上の価値」で
研究の意義を伝えることは十分可能です。
 

例えば、です。

「本研究の知見は
 今後○○に関する政策を検討する際の
 一助とすることができる」

「今後 高齢化がますます進むわが国において
 医療政策を検討する際の指標を示すことができる」

などと書くこともできるでしょう。 

「研究の意義」は大げさに書く!

この「言語表現上の価値」は
けっこう大げさに書いても問題はありません。 

(読む方も割り引いて読んでくれるものです)

逆に、謙虚に書きすぎると、
「この研究って、
 やる意味がほとんどないんじゃないか」
と思われてしまうこともあります。

それに、研究なんてやってみないとわからないところが
けっこうあるので
多少大げさにいうくらいでもいいのではないかと
私は思っています。

(特に科研費を取るために研究計画書を書く際、
 謙虚に書きすぎると全く評価されないのです…)

今回のポイント

研究計画書の「アフター」部分では
研究の意義を書く!
その意義は多少大げさなレベルで丁度いい! 

意外とややこしい?!「参考文献」の書き方

なお、「アフター」の部分には
もう一つ要素があります。

 

それが「参考文献」という欄です。

 

これは研究計画書の
全体の中で引用・言及した文献を全部載せる欄です。
 

たまに何も文献を引用せず
研究計画を書く人がいらっしゃいますが、
これではダメです。 

研究というのはこれまで先人が築いてきた
学問知識の上で行うものです。

 

参考文献を提示できないということは
「研究ではない」
ことと同じなのです。

 

多くのバリエーション…。どの書き方を使う?

ちなみにこの「参考文献」の部分、
書き方には多くのバリエーションがあります。
 

たとえば著者名の後ろに文献の出版年を書くか、
はたまた一番うしろに出版年を書くかなど、
専門の学会・分野によって書き方はまちまちです。

 

 

…こればっかりは例がないとわかりにくいので
私がかつて書いた論文を元に紹介します。 

以前 私は『早稲田大学教育学会紀要』という雑誌に
論文を書いています。

 

CiNiiの記述です

(いないと思いますけど)この論文を誰かが
研究計画書で引用する場合、
参考文献の欄にはこういう書き方をするかも知れません。

 

 藤本研一,2011,「通信制大学学生会の持つ「居場所」機能に関する一考察」, 
   『早稲田大学教育学会紀要』(13), pp.261-268.

あるいは、こういう書き方をするかも知れません。

 藤本研一: 通信制大学学生会の持つ「居場所」機能に関する一考察.
    早稲田大学教育学会紀要 13: 261-268, 2011.

両者を見ると
まるっきり書き方が違いますね。

下の方なんて斜体まで使っていますし。

 

これ、どちらかが正しくてどちらかが間違っているのではなく、
どちらも正解なのです。

 

どの専門学会に投稿するかで
参考文献の書き方はまるっきり違うのです。
 

困ったら、指導教員の論文を真似て書く!

「じゃあ、参考文献って 
 どのような表記法で書いたらいいのだろう…」

 

そんな時に一番いい方法があります。 

それは大学院で教わりたい
教員の論文を1本用意すること、です。

その論文の「参考文献」の欄に出ている書き方に沿って
まとめてみればいいのです。

参考文献が幾つかある際は
著者名のアイウエオ順、
あるいはアルファベット順に並べ直すといいでしょう。

 

ここまでのまとめ

…さあ、ここまでいかがでしょうか?

 

【劇的ビフォーアフター】の型をもとに
志望理由書の書き方を説明してきました。
 

前回も掲載していますが
再度見てみましょう。

 

 ●ビフォー

  (1)問題の所在と先行研究の分析

 ●匠の技

 (2)研究の方法

 (3)分析方法

 (4)倫理上の配慮

 ●アフター

 (5)仮説/研究の意義

 (6)参考文献

 

「ビフォー→匠の技→アフター」の順で見ていくと
志望理由書に必要な内容をまとめていくことができるのです。
 

次回は【劇的ビフォーアフターの型】を
再度まとめていきますね!

 

なにか参考にしていただければ幸いです!

 

ではまた!

 

たまに研究計画書に全く言及していない
資料も掲載する人がいらっしゃいますが、
そこまでするとキリが無くなってしまいます。
直接言及した文献以外は書かないようにしましょう。