ドラッカー『明日を支配するもの』第4章 読書会のために。

こんにちは、
文章アドバイザーの
藤本研一です。

作文教室ゆうでは
経営学者・ドラッカーの読書会を
毎月定期的に開催しています。

 

現在読んでいるのは、
『明日を支配するもの』という、
ドラッカーが21世紀の経済について
予言をしている書です。

これまでに、
3回開催しました。

 

おかげさまで、
毎回参加人数が増えています。

次回は12/15(金)13:00-15:00に開催します。

希望する方、
ぜひお気軽にご参加ください。

 

ドラッカー『明日を支配するもの』読書会vol.4

【日時】平成29年12月15日(金)13:00-15:00

【場所】作文教室ゆう札幌駅前校

〒060-0807
北海道札幌市北区北7条西5丁目6-1
ストーク札幌201

JR札幌駅北口徒歩1分。
☆ヨドバシカメラ様 道向かい。
ミアボッカ札幌駅北口店様 上。

【内容】
ドラッカー『明日を支配するもの』第4章を元にした読書会
・内容の解説
・意見・感想・ディスカッション

お申込み・お問い合わせはこちら
またはFacebookイベントからどうぞ!

 

『明日を支配するもの』読書会で
今回は第4章に入ります。

 

以下はこの4章のレジュメとなります。

 

1章のレジュメはこちら。

2章のレジュメはこちら。

3章のレジュメはこちら。

 

本文中の「☆」マーク部分は
私・藤本のコメントです。

第4章 情報が仕事を変える 新情報革命(110-157)

情報革命が起こる。
これまで重視されてこなかった「会計主導」で行われる。

「個々の人間にとっての情報についても
起こっている」(110)

これまで:ITのT(技術)が中心
これから:ITのI(情報)が中心になる

1 技術(T)から情報(I)へ(111-)

・コンピュータは想像と反し、
現場仕事を一変させた。

■ 新情報革命のきっかけ(112-)

・トップ経営陣はまだ
ITを新しい問題解決・経営戦略を
与えるものとは考えていない。
それは「彼らの仕事に必要な情報が
まだ出てこないからにすぎない」(113)

・「資産の管理やコストの管理は、
トップ経営陣の仕事ではない。
現場の仕事である」(113)

・「事業を成功させるものは、
コストではなく、価値の想像である。
そして、そのために必要とされるものが、
事業の定義、経営戦略、体系的廃棄、
イノベーション、利益とシェアのバランスなど、
リスクを伴う意思決定である。
新しい現実に基づく経営戦略である」(113-114)

☆ドラッカーは「定義」を大事にする。

・新情報革命の口火を切ったのは
「ITの与えるデータに対する
トップ経営陣の不満」(114)であった。

■ トップが必要とする情報(115-)

・「トップ経営陣に欠けていたものは、情報についての新しい定義だった」(115)

・今日の情報革命は
「データではなく情報を提供しようとしている。
そして、トップ経営陣の仕事と
意思決定のための情報を提供する」(115)

「技術の進歩が、
教育なるものの定義まで変えることになることは、
日々明らかである。
その結果、かなりの確率をもって、
高等教育の重心が、
成人に対する専門的な継続教育へと
移行することになる。

すなわち、学ぶことが教室を離れ、
家庭、自動車、通勤電車、仕事場、
教会の地下室、学校の講堂の一隅など
多様な場所に移る」(116)

「教育や医療においても、
起業においてと同じように、
重心は、
ITのTからIへと移行していく」(116)

■ 歴史の教訓(116-)

「今日の情報革命は、
人類史上、四度目のものである」(116)

一度目:文字の発明。5000~6000年前

二度目:書物の発明:BC1300年頃

三度目:活版印刷・彫版の発明:1450年~1455年
→この三度目の情報革命から我々の教訓とすべきものを見ていく。

■ 中世の情報産業(117-)

「まず初めに学ぶべきことは、
若干の謙虚さである」(117)

・活版印刷・彫版の発明
→書写の必要がなくなった
→「書物の価格は急激に下がった」
「この三度目の情報革命がもたらしたコストと
価格の低下は、今日の四度目の情報革命のそれに
優るとも劣らなかった。
普及の速さと範囲の広さもそうだった」(118)

■ 印刷革命の影響力(119-)

・中世の新しい印刷技術は
コストと時間を大幅に削減しただけでなく、
情報の内容も変えた
→ヨーロッパ各言語のもの・チェスの本など
今まで無いものが出てくる

・「印刷革命は教育制度その他の制度を変えた」(119)
→「一般普通教育を生み、今日の学校を生み出した」(120)

☆情報革命により教育制度も変化した。
いまの情報革命に教育制度は対応していかざるをえない。
(反転授業? ハイブリッド?

・印刷革命の直接的な影響は教会にも起こった
→ウィクリフやフスの宗教改革は容易に抑圧されたが、
ルターの宗教改革は大々的なものになった(2017年で500周年)。
「ルターの印刷された小冊子が、
宗教改革に本当の火をつけた」(120)

大航海時代も印刷技術を抜きにして考えられなかった。
新しい地図を産んでいったものも印刷だった。

☆中世は「終わった」時代のようだが、
これからの変化を見るためにまだまだ調べてみる価値があると思う。

■ 情報テクノロジストのための教訓(121-)

・新情報革命は
情報テクノロジスト(高度技能者)を不要にはしないが、
「支援スタッフ」に変わる。

→仕事のあり方や地位も変わってしまう。

■ 情報革命の本質(122-)

・戦後最も休息に成長した起業は
IBMやマイクロソフトなどのハイテク企業だったと
考えられている。

しかし、この両者に劣らす休息に成長した企業が
印刷媒体の世界のリーダー2社である

ベルテルスマン・グループ:
ランダムハウスなどの出版社・有力雑誌など

ルパート・マードックの王国:
新聞・雑誌・映画会社

・「これら書籍出版社二社よりもさらに急成長したのが、
もう一つの印刷メディア、専門誌だった」(123)
→小さいもので5万部、大きなもので100万部。
→『ビジネス・ウィーク』などの経済誌はその最たるもの。
→あらゆる分野で専門誌が発行されている。

・「娯楽性と教育性を兼ね備えた情報提供」(125)をする
「解説本」が増えた

■ 情報のための市場(125-)

・「現在最大の出版人はアマゾン・コムである」(125)

☆Amazonは99年からあったのか!

・「情報のための市場があるということである」(126)

・「組織としても、個人としても、
あらゆる者が、自らの必要とする情報が何であり、
いかにしてそれを手に入れるべきかを
考えなければならなくなる。

情報を主たる武器として
使いこなすことができなければ
ならなくなる」(26)

2 組織が必要とする情報(126-)

■ コストの計算から成果の管理へ(126-)

・「われわれは、ようやく道具としての情報を
理解できるようになったばかりである」(127)

・情報革命により「ABC原価計算」のような
新たな計算処理も可能になった
→「製造コストを大幅に、時には三分の一以上引き下げる」(128)

■ サービス業における成果(128-)

・ABC原価計算という
「新しいコスト管理の導入によって、
われわれははじめてサービス業においても、
コストにかかわる情報を手に入れ、
成果を管理することができるようになった」(129)

■ 経済連鎖全体のコスト管理(131-)

・「まずます激化する市場になって競争に勝つためには、
経済活動の連鎖全体のコストを把握し、
その連鎖を構成する他の組織との連携のもとに
コストを管理し、成果を最大化しなければならない」(131)

産業史においていきなりリーダー的な地位を奪う礼がある
→「それらの例につねに共通することは、
新規参入者のコスト条の優位である。
通常三〇%のコスト格差が見られる」
「新規参入者は、自社の事業活動のコストではなく、
経済連鎖全体のコストを把握し、管理している」(132)ためである。

→「個別の企業の法的な枠組みを越えて、
事業のプロセス全体を組織し、
管理することが必要になる」(133)

■ 価格主導のコスト管理(133-)

・これまで:コスト主導の価格管理を行っていた
☆現状からみる形。

・こんご:価格主導のコスト管理に切り替わる
→「顧客が進んで支払う価格を設定し、
商品の設計段階から許容されるコストを明らかにしている」(133)

☆まさに目標を定義するところからの製品開発である。

・しかし「ほとんどの企業にとって、
経済連鎖全体のコスト管理は容易ではない」
→「それぞれの企業が、
それぞれの会計システムをもち、
それぞれが自らのシステムを最善のものとしている」(134)ためである。

→「いかなる障害があるにせよ、
この経済連鎖全体のコスト管理を行わなけれればならない」(135)

☆自社内だけで考えず、
関連企業の連携についても考える必要がある。

■ 富の創造のための情報(135-)

・「企業が収入を得るのは、
コストの管理ではなく、富の創造によってである。
この当たり前のことが、
これまでの会計には反映されていない」(135)

・富の創造には自社に関する4つの情報が不可欠である。
(事業の現況を知るために必要とされる情報)

①基礎情報
②生産性情報
③強み情報
④資金情報と人材情報

① 基礎情報(135-)

・キャッシュフローや資金繰り・
在庫台数と販売台数の比、
社債の金利支払いと収益の比、
売掛金と売上高の比など。

→情報が異常であれば健康診断情報
処置すべき場所がわかる。

② 生産性情報(136-)

・仕事の生産性についての情報。

③ 強み情報(138-)

・「リーダー的な地位を得るためには、
他のものにできないこと」に焦点を当てること。

・「市場や顧客価値と、
自らの特別の能力を結合するための
中核的卓越性(コア・コンピタンス)が必要とされる」

☆自分の強みは意外に知らないものだ。

・強みを知るには?
「そのための第一歩は、
自社および競争相手の仕事ぶりを
丁寧にフォローし、
予期せぬ成功を見つけ、
さらには、成功すべき領域における
予期せぬ失敗を見つけることである」(139a])

☆第三章にもあったように、
「反省」のみではなく
「成功例」を考える機会を会社として定期的に持つことが
必要だ。

☆自分自身の「強み」はどこにあるか。
考えてみることが必要である。

「あらゆる種類の組織がもたなければならない強みがある。
イノベーションの能力である。
あらゆる組織が、イノベーションにかかわる
自らの業績について記録し、
評価するためのシステムを必要とする」(140)

☆創造性である「イノベーション」も、
組織風土によって起きやすかったり起きにくかったりする。
組織での「イノベーション」を起こしやすくする環境設計が
必要だ。
(そのためにはファシリテーション?)

④ 資金情報と人材情報(141-)

・いかなる情報といえども、
資金の配分と人材の配置についての情報を含まなければ、
行動に結びつくことはない。

・投資案の評価には
①収益率 ②回収期間 ③キャッシュフロー ④現在価値
という4つの基準すべてを調べなければならない。

・ほとんどの組織が顧みない、2つの極めて重要な情報

(1)投資が約束した成果をもたらさなかったとき、
何が起こるか。
そもそも投資案件の六割は、約束した成果をもたらさない。
投資が約束した成果をもたらさなかったときには、
重大な損失が生じるのか、
それとも、さしたる損失は生じないのか。

(2)投資が成功し、
あるいは約束以上の成果をもたらしたときには、
何をしなければならないことになるのか。

☆株式投資をする際も、
「いくらの収益を見越すか」という
「結果」から考えていないと結局失敗してしまう。
(どのタイミングで株を売るか、など)

・この発想は資金投資だけでなく、
人材の配置についても検討する必要がある。

■ 成果が生まれるところ(143-)

・これら4つの情報:現在の状況について教えるにすぎない

・戦略を考えるには?
「戦略については、
外部環境についての組織的な情報が必要である」(143)

☆自社の「外」の外部環境について
情報収集を怠らないことが必要だ!
→情報はもともと「敵情報告」から来ている。
生き残るための手段が情報である。

・組織の中にはコストしかない。
利益(プロフィット)を生むものは顧客である。
「変化は、つねに組織の外からやってくる」(144)

・どの企業も「少なくとも可能性としては、
世界の聞いたこともないようなところからの
グローバルなスケールでの競争に直面している」(144)

☆街の本屋がアマゾンに負けるという状況が
すでに起きている。

・生き残るために情報が必要になっているにも関わらず
「起業の多くは、簡単に手に入る情報についてさえ、
十分な注意を払っていない」(145)

→たとえば海外進出の失敗は、
自分たちの発想と同じだろう、という
前提に立つことにある。

「したがって、そのような前提に疑問を投げかける
情報を手に入れるシステムが必要である。
期待する情報を提供するだけでなく、
正しい疑問を提起する情報システムが
必要である」(145)

「だがそのためには、そもそも自らが必要とする情報が
何であるかを知らなければならない」(145)

→☆このためにはまず勉強が必要だ。

3 仕事に必要な情報(146-)

■ データを情報に変える者(146-)

・「知識労働者のための情報はさらに重要である。
なぜならば、知識労働者にとっては、
情報こそ主たる武器だからである。
情報が、彼らを共に働く人たちに結びつけ、
組織に結びつけ、ネットワークを可能とする。

言い換えるならば、
情報のおかげで、
知識労働者は仕事ができる」(146)

「だが、今日にいたるも、
いかなる情報を必要とするかを
知るための努力をしている者は
ほとんどいない」(146)

☆少なくとも、
まいにち定期的に情報を手に入れるシステムを
個人としても構築することが必要ということ。

私のやっている「新聞ノート」作りのような
「習慣」形成が必要なのだろう。

・仕事に必要な情報を手にするためには
次の2つの視点から取り組むことが必要。

(1)共に働く者や部下に対し、提供すべき情報は何か。
それは、いかなるかたちで提供すべきか。
いつまでに提供すべきか。

(2)自分が必要とすべき情報は何か。
それは、誰からか。いかなるかたちでか。
いつまでにか。

・情報においては
「自分が何を提供するかが最初である。
そこからコミュニケーションが可能となるからである。
コミュニケーションが成立しなければ、
情報は入ってこない」(147)

☆つまり、自分から積極的に
情報発信し、他者に情報提供することで
自分も有益な情報を手に入れられる、ということだ。

■ 人は自分に何を求めるか(148-)

・「コミュニケーションがその本来果たすべき機能を
仕事の場で果たすためには、
個人的な要素抜きで成立しなければならない。
あくまでも共通の課題に焦点が合わされなければならない」(148)

☆仕事では〈その人と合うか合わないか〉で
判断しがちなため、
「共通の課題」に焦点を当てることがより必要となる。

・「したがって、まず考えるべきことは、
自分が何を必要とするかではない。
人は自分に何を求めるかであり、それは誰かである。
自分はいかなる情報を必要とするか、
それは誰からか、
いかなるかたちでか、いつまではか、その後の問題である」(148)

☆何を貢献できるか、から考えていく。

・「仕事に必要な情報のかなりのものは、
すでに述べたように、組織の外に求めなければならない」(148)

・「自分にはいかなる情報を提供する必要があるか、
誰に対してか、
いかなるかたちでかという問題に
本当に答えられるのは、自分以外のものである」(148)

☆強み同様、自分が何を提供できるかは周りに聞いてみるしかない。

・このことは「およそ一年半に一度は聞き直さなければならない」(149)

■ 情報の体系化(150-)

・「整理して体系化しないかぎり、
データは情報とならず、データにとどまる」(150)

・体系の仕方はいろいろな方法がある。
目的によって変わってくる。

■ 不意打ちをなくす(153-)

・「情報システムの適切さについての試金石となるものが、
不意打ちがなくなるかどうかである。
つまるところ、事態が大きくなる前に、
用意し、分析し、理解し、行動できなければならない」(153)

→「危機に対する備え」を用意する。

→☆不意打ちになる「前」に、情報を入手し
対応する方法を考えておくこと!
たとえば自動運転がはじまる「前」に、
タクシー業界は方針を検討しておく必要がある。

「情報の目的は知識ではない。正しい行動である」(154)

☆情報は「行動」のために手に入れるもの!
単にコレクションすることに意味はない!

■ 外へ出かける(154-)

・「外の世界の情報を手にするためには、
自分で外へ出かけて行くしかない」
「直接出かけて、自分の目で観察することに
かなうはずがない」(154)

・ボランティア活動や継続教育が今後も有効なのは、
「外の世界の人たち、他の職業の人たち、
違う種類の人たち、別の知識、価値観、視点の人たちが、
どのように世界を見、行動し、反応し、意思決定をするかを
知ることができるからである」(156)

・外の世界の情報は
「正しい行動のための基盤となるだけではない。
生産性を上げることや、
自らをマネジメントすることの基盤ともなる」(157)

「データの洪水を、
仕事のための情報に体系化することなくしては
不可能である」(157)

☆目的・意義・ミッションを再度意識しつつ、
意味あるデータを集め、体系化していくことが必要。

 

藤本の「まとめ」

いずれにしても、
ドラッカーは情報収集の「システム」づくりを
提唱していた。

個人においては「気の向いたときだけ」
本・新聞を読んだり、セミナーに出たりするというのは
「システム」とは言えないだろう。

「未来のための予算」を組み、
たとえば「まいにち新聞ノートを作る」
「週に3冊ビジネス書を読む」など、
習慣化(=システム化)することが必要であろう。

その際には、「自分にはどのような情報が必要か」
問いかけていくことが重要だ。
やみくもに情報を集めても「データの洪水」となってしまう。

積極的に自社の「外」の人たちと会い、
その人たちに「自分が提供できる情報」を
提供する(貢献)。

それが今後必要となっていくだろう。


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