ドラッカー『明日を支配するもの』読書会、開催!
こんにちは、
文章アドバイザーの
藤本研一です。
9/15(金)、
ピーター・F・ドラッカーの著作
『明日を支配するもの』読書会を行います!
ドラッカー最晩年の名著を、
議論しつつ学んでいこうという読書会です。
毎月1章ずつ、
読んで学んでいきます。
ただ学ぶだけでなく、
「どう活かしていけるか」も
考えていく場にしたいと思っています。
より会を有意義にするため、
レジュメのようなものを
ブログでまとめてみます。
(私の恩師は「レジュメまがい」とよく言っていました)
どうぞよろしくお願いします。
本書に関して
発行は1999年。
(日本版も英語版も同じ)
組織や社会のあり方が変わる中で、
「明日を支配する」ためには何をすべきかをまとめた本。
Amazonの商品説明では次の通り。
21世紀のマネジメントを予測
今世紀を代表する経済学者、ドラッカー教授の最新作で、全世界で同時出版された話題作である。「日本興隆の歴史が20世紀の世界史そのものであり、現在の世界経済を生み出したのも日本である」と主張する著者にとって、我が国が今、直面している危機的状況は、世界経済が一大転換期を迎えたことのあかしであると言う。これから起こる変化は、過去の産業革命や大恐慌、第2次世界大戦後の構造変化よりも大規模で急激であり、その時にリーダーたる者は、諸問題を解決する能力を持っていなければならない。
そこで教授は、従来の常識に基づく経営論をあえて視野から外し、「21世紀型のマネジメント」を大胆に描き出した。第1章では、マネジメントは企業や、法、国境、組織などの制限のもとに成立するといった常識がまず間違いだと指摘する。
さらに、破局的な少子化など人口構成の世界的な変化が、企業の経営戦略の前提そのものを変えてしまうことを強調する。それらをもとに、タイトルでもある「明日を支配するもの」、すなわち変革の担い手である「チェンジ・リーダー」像を定義していく。
(日経ビジネス1999/4/12号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
原題に関して
原題は次の通り。
Management Challenges For The 21st Century
はじめに 明日のための行動(ⅵ-ⅷ)
転換点を迎える社会。
その上で、こかれらどう世界が変わっていくかを
見つめている本である。
本書の読み方について
本書を、どう読むか。
私としては、一度に一章だけ読むことを
おすすめしたい。一章ごとに、そこで取り上げた問題が、
読者自身の組織さらにはご自身にとって、
いかなる意味をもつかを考えて頂きたい。
それらの問題をチャンスとするためには、
いかなる行動をとらなければならないかを
考えていただきたい。そして、実際に行動していただきたい。(ⅷ)
「行動」あるのみ!
ただ「経営学」として学ぶのではなく、
自分の得たい目標に向かって取り組んでいくことが大切!
第1章 マネジメントの常識が変わる パラダイム転換(2-45)
「マネジメントのような社会科学では
前提や仮定がそのままパラダイム(支配的な一般理論)となる。」(2)
「しかるに、それらの前提は、
その重要性にもかかわらず、
分析もされず、
研究もされず、
疑問も抱かれず、
明示もされない。」(2)
マネジメントに対するパラダイムもどんどん変化していく。
▼組織運営上の前提
(1)マネジメントとは企業のためのものである
(2)組織には唯一の正しい構造がある
(あるいはあるはずである)
(3)人のマネジメントには唯一の正しい方法がある
(あるいはあるはずである)
▼事業経営上の前提
(4)技術と市場とニーズはセットである
(5)マネジメントの範囲は法的に規定される
(6)マネジメントの対象は国境で制約される
(7)マネジメントの世界は組織の内部にある
これまでのこの7つの前提が
もはや無効になった。
☆以下の項目では
この前提を一つひとつ批判していく
1 第一の間違い マネジメントとは企業のためのものである(5-9)
これまではマネジメントとは
「企業のためだけ」と思われていた。
しかし、今では病院・教会などの
「非営利組織」にも当てはまるようになった。
「したがって、マネジメントについて当然とすべき第一の前提は、
マネジメントとは、
あらゆる組織のための体系であり、
機関であるということである。」(9)
2 第二の間違い 組織には唯一の正しい構造がある(9-18)
かつては「万能の構造」の組織が想定されていた。
しかし、現在にはもうない。
「もはや万能の構造などというものが
存在しえないことを認識してしかるべきである。
存在しうるものは、
それぞれが、
ある状況のもとで、
ある時点において、
ある仕事に適合するというだけのことである。」(11)
組織のあり方も、
様々なものがある。
「したがって、今日必要とされているものは、
唯一の正しい構造の探求ではなく、
それぞれの仕事に合った
組織構造の探求であり、
発展であり、
評価である。」(18)
3 第三の間違い 人のマネジメントには唯一の正しい方法がある(19-24)
「たとえ従業員であっても、
誰かの部下として働いている者は
ますます少なくなりつつある。
逆に、ますます多くなっているのが
知識労働者である。
知識労働者が誰かの部下ということはありえない。
同僚である。
見習いの段階をすぎれば、
自らの仕事については上司よりも
詳しくなければならない。
さもなければ無用の存在となる。
まさに、組織のなかの
誰よりも詳しいことこそ、
知識労働者の知識労働者たるゆえんである。」(20-21)
「つまるところ、
フルタイムの従業員さえ、
これからはボランティアのように
マネジメントしなければならない。」(23)
「今後、人のマネジメントにおいては、
100年前のフレデリック・テイラー以降において
肉体労働の生産性が中心的な問題であったように、
知識労働者の生産性が中心的な問題となる。
これは、人と仕事についての前提を大幅に
変えなければならないことを意味する。
すなわち、行うべきは、
人をマネジメントすることではなく、
リードすることである。
その目的は、一人ひとりの人間の強みと
知識を生産的たらしめることである。」(24)
☆人の強みに注目した経営が必要となる。
4 第四の間違い 技術と市場とニーズはセットである(25-33)
かつて、
技術と市場とニーズはセットだったが、
今日ではこの前提が通じなくなった。
「聞いたことのない技術が革新を起こす」(26)
ようになった。
その例として、
「非顧客(ノンカスタマー)が、
顧客以上に重要になった」(32)ことがあげられる。
つまり、
今の時点で「顧客」でない人のほうが
圧倒的に多くなったということである。
追加説明
「非顧客についての情報どころか、
非顧客なるものの存在さえ知らない者が
ほとんどである。
自分たちにとっての非顧客が、
なぜ非顧客のままでいるのかを知る者は、
さらに少ない。
しかるに、変化はつねに非顧客の世界で始まる。」(32)
「もはや自らの製品やサービスを中心においては
ならないということである。
自らの製品やサービスの市場、
あるいは使い道さえ中心においてはならない。
中心とすべきは、
顧客にとっての価値である。」(32)
「マネジメントが基盤とすべきは、
顧客にとっての価値であり、
支出配分についての顧客の意思決定である。
経営戦略は、ここから出発しなければならない。」(33)
5 第五の間違い マネジメントの範囲は法的に規定される(34-39)
マネジメントは法人格を持つものが対象、
という認識はもう古い。
これまでは系列会社や「孫請企業」などと
タテの関係だったが、
現在は技術力を持つ小規模なベンチャー企業が
大企業とパートナーシップを組むなど
対等な関係性も見えてきている。
結果的に、
「マネジメントは、あらゆるプロセスを対象としなければならない。
経済連鎖全体における成果と仕事ぶりに焦点を合わせなければならない」(39)
ものとなった。
6 第六の間違い マネジメントの対象は国境で制約される(39-42)
グローバル化も進んでいるため、
自国内だけですべてが完結する必要がなくなった。
「もはやマネジメントの対象を政治的に規定することはできない」
(42)のである。
7 第七の間違い マネジメントの世界は組織の内部にある(42-)
マネジメントと起業家精神を別物、
とみる発想はもう古い。
両方は「コインの裏表」であり、
両方が必要である。
「マネジメントは、組織の仕事ぶりと
成果に焦点を合わせなければならない。」(44)
「マネジメントとは組織に成果を上げさせるためのものであり、
したがって、まず初めにそれらの成果を明らかにし、
次にそれを実現するために、手にする資源を組織しなければならない
ということである。
マネジメントとは、企業、社会、大学、病院、あるいは女性保護協会の
いずれであれ、
自らの外部において成果を上げるための機関である。」(45)
☆組織の「成果」は「外部」にある!
まとめ
「本章は、何らかの結論を出すことを意図したものではない。
問題を提起するためのものである」(45)
今日の社会・経済・コミュニティの中心は
技術でも情報でも生産性でもない。
「それは、成果を上げるための社会的機関としての
組織であるということである。
そして、この組織をして成果を上げさせるための
道具、機能、機関がマネジメントである。
しかし、そのためにはもう一つ、
前提とすべきパラダイムが必要である。
すなわち、
マネジメントが対象とし、責任を負うべきものは、
組織の仕事ぶりと成果にかかわりのあるものすべて
ということである。」(45)
…こんな内容の第1章について、
9/15(金)、読書会にて議論できればと思います。
ではまた!
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