今日は文章の名脇役「 」(カギカッコ)のお話をします。
「 」、ふだんどう使っていますか?
(1)会話文
「昨日、こんなことがあってね・・・」
「へー、そうなんだ!」
これは普通の使い方ですね。
(2)何かの強調
私は昨日から「あの人物」のあとを追いかけていた。
「あの人物」とはつまり、◯◯市長のことである。
通常では目立たない言葉を目立たせる役割があります。
(3)引用
チャップリンの名言に「人生に必要なのは勇気と想像力と、それと少しのお金だ」という言葉がある。私が好きな名言だ。
さて、ここで「 」に『 』が追加されるパターンを見ていきましょう。
これは(1)と(2)、あるいは(1)の中にさらに(1)の時に使われます。
「 」のなかにさらに「 」を使うとき、『 』 になるのでした(小学校の復習です)。
「え、君は『あの人物』と昨日会っていたのかい?」
「ええ。彼は『今日会ったことは2人の秘密だな』といっていましたけどね」
大変なのは(3)でさらに(2)や(1)を使うとき。
例を見てみましょう。
「ある人の名言に、『ニーチェは「神は死んだ」と言っているけど、結局ニーチェは死んだよね』っていうのがあったんだけど、これって誰の言葉だっけ?」
「うーん、僕もどっかで聞いたんだけど、『あの人』なら知ってるんじゃないかな?」
こういう会話、社会学を学び始めた大学院生がよくしているタイプのものです。
会話の「 」内に、引用の文章が続き、その引用がさらに引用・・・という入れ子の会話。
学者・研究者の文章によくあるものです。
私もこのタイプの文章を書かざるをえないことがあります。
そんなときどうするか、ずっと迷っていました。
そんなとき、出会ったのが竹中労の方式です。
ジャーナリスト・竹中労は引用文を「 」でなく〈 〉で書きます。
よく「 」でなく【 】を使います。
これだけで、さきほどの問題は解決するのです!
やってみましょう。
「ある人の名言に、〈ニーチェは【神は死んだ】と言っているけど、結局ニーチェは死んだよね〉っていうのがあったんだけど、これって誰の言葉だっけ?」
「うーん、僕もどっかで聞いたんだけど、【あの人】なら知ってるんじゃないかな?」
私もいろんな方式を試しましたが、一番しっくり来る書き方は、この引用を〈〉で書く、という方法です。
ぜひやってみると、スッキリするはず!
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