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社会人の学び直しを支える仕組み──土佐フードビジネスクリエーター事業に注目!
社会人になっても「もう一度学びたい」と思うこと、ありませんか?
私自身、北海道大学のCo-STEP(サイエンスコミュニケーター養成プログラム)を履修した経験があります。
仕事をしながら2022年度に参加、そこから「働きながら学ぶのってやっぱりいい!」と実感し翌2023年度から北海道大学院の修士課程に再度入学したという経緯を持っています。
こういう経験を持っているからこそ、大学が実施する社会人向けの教育プログラムに強い関心があります。
そんな私が最近注目したのが高知大学が実施している「土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業」です。
このプログラム、内容のユニークさはもちろん、地域や大学の新しい役割を感じさせるものとしてとてもいいものなんです。

※画像の出典:乾(2023:61)
なんでも「受講生は専門家のコンサルが一生無料で続く!」という興味深いキャッチコピーがあることが面白いです。
今回はこの「土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業」についてご紹介します!
地域と大学が一体で動く教育プログラム
土佐フードビジネスクリエーター(FBC)プログラムは、地元・高知県の農水産物に付加価値を与えるために誕生しました。
高知大学が行っているこの土佐フードビジネスクリエータープログラム。
農林水産業だけでなく、加工、流通、販売などを一体的に学び、「商品を売れるものにする力」を地域内で育てるという取り組みです。
よく「6次産業化」という言い回しを聞きますが、単にこの言葉を言っているだけで6次産業化ができるわけではありません。
このプログラムの面白いところは実際に1年間(厳密には6月から翌年1月)に渡って学習を進めながら座学・実習・実際の商品開発を進めていくというところ。
学び実践しながら進める効果的なプログラムとなっているようです。
一般の学生だけでなく、食料品関係の仕事をしている社会人がともに学ぶこの土佐フードビジネスクリエータープログラム。

※画像は公式サイトより
2008年のスタートから15年が経ち、これまでに714名が修了(2023年現在)し、関わった商品群の売上累計は100億円以上というから驚きです。

※画像は乾(2023:61)
地域密着型で実際に経済効果が見える「本物の学び直し」支援と言えるでしょう。
※土佐フードビジネスクリエーター創出事業はこちらの説明もご覧ください↓

※画像の出典はこちら。
修了後も「無料コンサル」が続く!?
このプログラムで特に面白いと感じたのが、修了生と教員の関係が“コンサル的”に一生続くという点です。
実際、乾(2023)は次のように書いています。
修了者は自らの事業課題について教員に相談ができる。
「無料で、コンサルが一生続くんですよ、すごくお得ですよね。
相談件数は年々増えていて、内容も多岐にわたります。
近年は商品企画の相談が多くなっていますね」(松田氏)
注 松田氏とは高知大学次世代地域創造センター特任講師の松田高政氏
もちろん「実際どこまで本当なのか」は気になるところですが(笑)、それくらい本気で受講生を支援する姿勢があることは間違いありません。
受講料は十数万円程度とのことですが、それでこれだけの支援が受けられるなら、まさに「使い倒す」価値があるプログラムだと言えるでしょう。
(専門家に本格的にコンサルをお願いしたら学費の数倍〜数十倍は軽くかかります)
受講生のなかにはフードビジネス分野での起業を考えている人や実際にフードビジネスの会社を経営している人もいます。
そういった人たちの今後のアクションを、本プログラムが強力に後押ししてくれる。
そして実際に結果が出ている。
この姿勢、非常に面白いと思います。
MBA教員をコンサルとして使う!
なお、この土佐フードビジネスクリエータープログラム同様に、大学院の教員を経営コンサルとして活用することは他の学校でも可能なケースがあります。

特にMBAコースですと、実際に経営コンサルをお願いすると数十万〜数百万円かかるような教員から直接経営アドバイスを貰えることがあります。
学費だけを考えても相当トクだといえるでしょう。
【参考記事】経営者こそMBAを行くべき理由4 教員を経営コンサルタントとして使い倒す!
大学院との接続もある「学術研究コース」も設置
さらに近年では、この土佐フードビジネスクリエータープログラムに大学院進学につながる「学術研究コース」が追加されたとのこと。
社会人が大学で学び直し、さらには修士課程へと進むステップとしても非常に魅力的だといえるでしょう。
土佐フードビジネスクリエーターのような教育プログラムを「入口」として、大学院という「本丸」へ進む。

このようなキャリアパスは、これからますます注目されていくはずです。
はからずも私自身が北大の社会人向けのプログラムでもあるCo-STEPに参加したことが縁で北大大学院に進学していますので余計にそう思います。
私も探して見つけた「学び直しのきっかけ」
私が2022年度に履修したCo-STEPは、科学技術に関わる知識をわかりやすく社会に伝えるサイエンスコミュニケーターを育てるプログラムです。
このときの経験が、「もう一度、大学院で本格的に学んでみたい」と思うきっかけになりました。
だからこそ、土佐フードビジネスクリエーターのように地域と産業と大学がつながっている教育プログラムには強く共感します。
こうした“学びの場”を各地の大学で整えていくことが、社会人にとっての「次の一歩」を後押しすると思うのです。
「大学院はちょっとハードルが高い」と思ったら、まずはプログラムから!
「大学院には興味があるけど、いきなり大学院に進学するのは不安がある…」
こういう方も多いと思います。
でも、土佐フードビジネスクリエーターのようなプログラムであれば、実務と結びつけながら徐々に学術的思考も身につけられることができます。
大学院進学より安く、それでいて本格的に学問も学ぶことができるので大学院の雰囲気を知るのにも役立ちます。
他の大学でも土佐フードビジネスクリエーターに近い取り組みは多く行われています。
実際、私の地元にある北海道大学や小樽商科大学などでも、土佐フードビジネスクリエーターに似た実務直結型の履修証明プログラムが開講されています。
(私が学んだCo-STEPもその1つです)
なので、まずは「地域+大学+ビジネス」が連携しているこういったプログラムを探してみることをおすすめします。
まとめ!大学のプログラムに注目を!
「社会人の学び直し」は、今や珍しいことではなくなってきました。
けれど、その学びが地域の産業を動かし、新しいビジネスを生み出すほどの力になる事例はまだまだ限られています。
土佐フードビジネスクリエイターの取り組みは、その可能性を大きく広げる実例のひとつだと感じます。
大学が社会の変化に対応しながら、新しい学びの形を提示する。
こういう大学のあり方、とてもおもしろいと思っています。
ぜひあなたも自分の地元にある大学・大学院の一般社会人向けプログラム、探してみてくださいね!
参考文献
今回の記事執筆にあたり、こちらを参考にしました。
土佐フードビジネスクリエーター公式サイト https://tosa-fbc.jp/
乾喜一郎, 2023, 「シリーズ リカレント教育最前線③高知大学 土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業」, 『カレッジマネジメント』7-9月号, リクルート進学総研, pp.60-61.
https://shingakunet.com/ebook/cm/237/index.html?openpage=1#page=61

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「無料コンサルが一生続く?!」「土佐フードビジネスクリエーター事業」は食品関係の仕事をしている社会人や学生を対象とした高知大学のプログラム。地域の6次産業化を進める主体者育成をすでに700名以上に実施、累計100億円以上の成果を出しているそうです。こういう地域のプログラムに参加すると大学・大学院の雰囲気を知ることもできますのでオススメですよ!