「わかりやすい意見」に騙されるな!大学院で複雑なものを複雑なまま理解する力を身につけよう!

 

summary

ネット上にはわかりやすい極論や善悪構図を述べる人が散見されますが、大学院で学ぶとこういう意見の浅はかさに気付けるようになります。ぜひ、大学院進学で多角的な視点から物事を見る力を高めていきませんか?それが問題の真の解決につながりますよ!

役所手続きの面倒さから考える

「うわ、役所の手続き、マジめんどくさい…」

あなたは引っ越しの際など役所での手続きを面倒だと思ったこと、ないでしょうか?

引っ越したら住所変更、結婚したら婚姻届の提出など、何らかの申請など日常生活の中で「役所の手続きが面倒だ」と感じることは少なくありません。

特に今の時期は引っ越しなどの関係で役所には長蛇の列ができがちです。

ちなみに、私の密かな趣味は「引っ越し」でして、社会人になってからほぼ2年に1回の割合で引っ越しをしています。

「趣味」であるとはいえ、引っ越しの際の住民票の変更などの各種手続きは毎回とても面倒に感じています。

こういうとき、「役所の対応をもっとスムーズにさせるべきだ!」「もっと役所の手続きを楽にできないのか?」と不満を言いたくなる気持ちもよくわかります。

「こういう手続を電子化できないから日本はダメなんだ」

人によってはこういう「日本ダメだ論」をネットなどに投稿する人も多いです。

手続きの面倒くささにも一面の理由がある。

実は私も「電子化できないから日本はダメなんだ」とかつては言っていた側です。

ですが、今は見方が変わってきました。

いま私は北大の公共政策大学院で「政策」や「行政のあり方」などを学んでいます。

公共政策大学院で学ぶ中で、行政側(役所側)の視点も学ぶ機会が増えてきました。

中央官庁や道庁・市役所などで働く公務員の方とも関わる機会も増えました。

その結果わかったのは「手続きを効率化できないこと・電子化できないことにも一定の理由がある」ということ。

例えば、住所変更などをオンラインで手続き可能にすれば確かに利便性は向上しますが、一方で本人確認の厳格化やインターネットを利用できない人々への配慮が必要になります。

また、市町村の数は全国に約1,750ありますので、これらすべてで一気に電子化対応を進めるのもなかなか難しいと言えます。

また、電子化で手続きが楽になっても、それが登録ミスや不正利用に使われてしまうリスクも考慮する必要があります。

さらには、仕組みを整えたとしても、役所の職員が間違いなく対応ができるようにするにはそれなりの準備と教育も必要になります。

だからこそなかなか効率化できないわけですが、そのなかでも行政側でたとえば対応窓口を増やしたり開庁時間を一部延長したりするなど対応しようとはしています。

別に日本の行政が「ダメ」なわけでも「終わっている」わけでもなく、「現段階ではなかなか効率化できない」という現状が存在し、その解決法が模索されている最中だといえるのです。

公共政策を大学院で学んでいて気づくのは、けっしていまの日本が「終わっている」「ダメ」というわけではなく、行政の方でも(それなりに)問題を検討しているという事実です。

だからこそ、役所で窓口の混雑を観た際も「まあ、仕方ないよな」と思えるようになってきました。

このように大学院で学ぶことのメリットは物事の複雑さを知れるということがあります。

拙速的に「だから●●はダメなんだ」と切り捨てられたらカンタンですが、学問をするということは様々な視点から熟考して検討するということでもあります。

こういうふうに思考が深く柔軟になることも大学院進学のメリットであると言えるのではないでしょうか。

単純な善悪構図の危険性

社会問題を考える際、単純な善悪の構図で語ることは分かりやすいです。

実際、YouTubeやテレビでは「極論」ともいえる持論をいう人に人気が集まりやすいです。

特にネガティブな意見ほど人の心に強く突き刺さる特徴があり、多くの人の共感を得やすい傾向があります。

「日本は終わっている」
「日本の公務員は無駄」

こういう意見に賛同が集まりやすいのは「極論」でもある上たいへん「わかりやすい」主張でもあるからです。

例えば、「行政機関は無駄が多いから縮小すべき」「官僚制度は不要だ」といった意見は一見もっともらしく聞こえます。

ですが実際には行政機関にはさまざまな役割があり、一律に削減すれば良いというものではありません。

確かに非効率な部分もありますが、その一方で公共サービスの提供には一定の組織と仕組みが不可欠です。

大事なのはわかりやすい「極論」や「善悪構図」に対し、「本当にそうなのか」と考えていく姿勢です。

こういう考えがあることで、はじめて物事を正確に考えることができますし、適切な対応策を見出すことができるのです。

フジテレビ批判に思うこと

少し前まで、ネットやテレビでは「フジテレビのコンプライアンス問題」が話題となっていました。

いろんな論者が面白おかしくフジテレビの「終わった姿」などを論じていました。

中には「フジテレビの放送免許を剥奪すべきだ」という「極論」を述べる論者もいました。

「フジテレビなんて潰れればいいだ」という意見も散見されました。

確かに、企業のコンプライアンス違反は重要な問題です。

人権意識が軽視していた点については第三者機関などによる調査のほか、経営側の監督責任が問われてしかるべきでしょう。

ですが「放送免許を剥奪すべき」「潰れればいい」という「極論」をいうだけでは問題の真の解決は導くことができません。

多様な視点から検討したうえで慎重に結論を出していく姿勢がないとなんにもならないのです。

問題の本質を理解し、適切な対処方法を考えるには、表面的な感情論に流されるのではなく、背景にある構造的な要因を分析する力が求められています。

こういう「複雑な要素」を認識したうえで適切な解決法を検討していくうえで大学院で学ぶ学問が大いに役立つのです。

学問を学ぶメリットは「極論」に騙されないようになること

学問を学ぶことの良さには、いろんな視点を身につけることで拙速な判断をしなくなるというものがあります。

聞いていてわかりやすい「極論」「善悪構図」を乗り越え、複雑な要因を認識したうえでの現実的な正解を導いていく。

この姿勢、大学院で学んでいると無意識的にできるようになってきます。

そういう意味で、私は無見識なジャーナリストやYouTuber・ポピュリズム政治家はみんな大学院に行ったほうがいいのではないか、と考えているわけです。

(まあ、これも極論ですが…)

なかには大学院で学んでいるだけでなく、大学教授でありながらあえて極論を語る人もいるのが問題だと思うこともありますが…。

学問がもたらす視点の広がり

大学や大学院で学ぶことの意義の一つは、「複雑なものを複雑なまま理解する力」を身につけることにあります。

人間は本能的に単純な答えを求めがちですが、社会の現実は単純化できるものばかりではありません。

例えば、日本の国会議員の選挙やアメリカの大統領選挙において、「●●候補に投票すればすべてが解決する」といった単純な主張が人気を博すことがあります。

ですが、実際の政策決定には多くの利害関係が絡み合っており、一つの決定が必ずしもすべての問題を解決するわけではありません。

学問をすることで、異なる視点を取り入れ、多角的に物事を考えられるようになります。

つまり、簡単な解決策に飛びつくのではなく、「なぜそうなのか?」「他にどのような可能性があるのか?」と深く考える習慣が身につくのです。

政策研究の実例:教育訓練給付制度

私自身、大学院で教育訓練給付制度について研究し、リサーチペーパーを執筆しました。

大学院進学などの自己啓発に対し国から給付金が出るというありがたい制度が教育訓練給付制度です。

この制度に対しては、「公務員も給付の対象にすべき」「フリーランスや個人事業主にも適用すべき」といった意見があります。

ですが、これらを実現するためには財源の確保が必要となります。

また、もともとの制度の根本的な目的との整合性を考慮しなければなりません。

単純に「給付対象を広げるべきだ」と主張するのは簡単ですが、どのように財源を確保し、どの層を優先するのかといった現実的な問題を解決する必要があります。

学問を通じてこうした視点を得ることで、「理想論だけではなく、現実的にどのような施策が可能なのか」を考える力が養われるのです。

こういう複雑な要因を認識し、その上で取りうるべき対応策を考えられるようになった点で「北大大学院に行ってよかった」と思っているところです。

まとめ:学問を通じて得られる力

大学院で学ぶことは、単に専門知識を身につけることにとどまりません。

それ以上に、物事の複雑さを理解し、短絡的な結論に飛びつかない思考力を養うことができるのです。

社会のあらゆる課題には多くの要因が絡み合っており、単純な解決策は存在しません。

だからこそ、学問を通じて多角的に物事を考える力を養うことが、より良い意思決定につながるのです。

大学院で学ぶことは、そのための貴重な機会であり、社会に貢献するための重要なステップであると言えるでしょう。

誰かの「極論」「善悪構図」という「わかりやすい意見」にだまされないためにも、大学院への進学、おすすめします!!!

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