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的はずれな研究計画書、書いていませんか?
大学院進学を考える際、多くの人が困るのが「研究計画書」作りです。
うちの塾にも大学院出願時の研究計画書づくりについてのお問い合わせをいただくことが多いです。
この研究計画書ですが、大学院入学時だけでなく大学院で修士論文を書くときにも、それ以降自分で研究をする際にも求められます。
研究計画書を書く際は研究テーマの選定や先行研究の調査に時間を割くのはもちろん重要ですが、その学問分野の歴史を理解することも同様に重要です。
なぜなら、学問の歴史を学ぶことで、その学問がどのような問題意識から発展し、何を目指してきたのかが明らかになり、自分の研究の位置付けが明確になるからです。
今回は「学問史を学ばなければ的はずれな研究計画になる!」をテーマに、学問史を学ぶ重要性をお伝えします。
学問史とは?
世の中にはたくさんの学問があります。
政治学・法学・経済学・経営学・社会学・教育学・文学・人文学・哲学などの文系学問以外にも物理学・化学・生物学・医学・看護学などの理系学問もたくさん存在しています。

これらの学問って、最初から存在したわけではありません。
人間の歴史が進むうちに発展・細分化していったのです。
これらの学問がなぜ研究されるようになったか、どういう研究がなされてきたかをまとめたものが学問史、つまりそれぞれの学問の歴史です。
先程見たそれぞれの学問にはそれぞれの「学問史」があるわけです。
政治学には政治学史、法学には法学史、経済学には経済学史…といった具合に存在しています。
これらの学問史って、多くの場合「本質ではない」といって軽視されがちですがそうではありません。
学問史を一度学んでみることで、この学問がどのような問題意識で研究されてきたか、どのような研究が行われてきたか、これからどのような方向に研究が進んでいくかを見ていくことができるのです。

その例として、『日本政治学史』と『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』を参考にしながら、学問の歴史を学ぶことの意義についてみていきましょう。
日本政治学の発展と学問の位置づけ
『日本政治学史』(酒井大輔)には、日本における政治学の発展の歴史が描かれています。
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戦後の政治学は丸山眞男のような思想家があるべき姿を検討するほか、世論調査を自分たちで行うなど手探りの状態からスタートしました。
その後 戦後75年の間、政治学のなかで「政治に深く関与するべきか」「それとも中立の立場を取るべきか」という論争・模索が続いてきました。
ほかにも政治学者は理念を語るべきか、実証的な研究に徹するべきかという議論も長く続いています。
こういう流れを見ていると、政治学分野で研究する際にも「自分はどういう研究を進めていくべきか」というヒントを得ることが出来ます。
特に、これまで論争されてきたことを無視して研究計画を立てると「この人は何もわかっていない」と思われてしまいがちです。
だからこそ、政治学史のような研究史を知ることに大きな意味があるのです。
なお、この『日本政治学史』は私が友人の沢田石さんと動画解説をしていますのでよければ見てみてください↓
(こういう硬い本はまったく再生数が多くならないのです…涙)
文学研究の本質とアカデミック・ライティング
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(阿部幸大)では、文学研究の本質について詳しく書かれています。
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著者は、もともと村上春樹の作品を反戦文学の流れで読むなど、新たな解釈の可能性を提示することが文学研究の本質であると考えていました。
ですが、実際の文学研究の背景には、フェミニズム文学やジェンダー研究のように、社会的な差別や暴力と戦うという目的があることに気づいた、と述べています。
これは、文学研究に限らず、多くの学問に当てはまる重要な視点です。
例えば、教育社会学では、学歴や所得格差を研究する際に単にデータを示すだけでなく、どのように平等の実現に資するか考えていくことが求められます。
このように、各学問にはそれぞれ学問の根本的な目的があります。
その目的を理解せずに研究を進めると、表面的な議論に終始してしまったり、奇をてらっただけの研究になりさがってしまったりする可能性が高くなるのです。
学問の歴史を知ることでより良い研究計画を立てることも可能に!
大学院に進学する際、研究計画書の作成が重要になります。
その際 研究計画書を魅力的なものにするためには自分が取り組む学問分野の歴史を理解し、その中でどのような問題意識が重要視されてきたのかを把握することが不可欠なのです。

学問の歴史を学ぶことの実践方法
では、実際に学問の歴史を学ぶためにはどうすればよいのでしょうか?
1. 代表的な学問史の本を読む
まずは、自分が専攻する分野の学問史を扱った本を読むことをおすすめします。
今回紹介した『日本政治学史』や『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』のように、学問の歴史や本質を論じた書籍を読むことで、その分野の成り立ちや主要な議論を知ることができます。
2. 先行研究を系統的に整理する
自分が関心のあるテーマについて、これまでの研究がどのように発展してきたのかを整理することも重要です。
特に、研究者がどのような問題意識を持ち、それがどのように発展してきたのかを時系列で追うことで、自分の研究の位置づけが明確になります。
3. 研究計画に反映させる
学問の歴史を学んだ上で、自分の研究計画にどう活かせるかを考えましょう。
例えば、「自分の研究テーマはこれまでどのように扱われてきたか?」「どのような新しい視点を加えることで、学問に貢献できるか?」といった問いを立て、計画書に反映させるとよいでしょう。

結論!1冊でいいから学問史の本を読もう!
学問の歴史を学ぶことは、単に知識を増やすだけでなく、自分の研究の位置づけを明確にし、より説得力のある研究計画を作成するために不可欠です。
特に大学院進学を目指す人にとっては、研究計画を練る上で大きな助けとなるでしょう。
実際、私は2回修士課程に通っていますが、学問史を知らないせいで「どう研究していくべきかわからない・・・」と途方に暮れた経験を持っています。
大学院進学を考えている方、またすでに大学院で学んでいる方も、ぜひ自分の分野の学問の歴史について学び、研究に活かしてみてくださいね!
まずは1冊でいいから学問史の本を読んでみましょう!
また、うちの塾の体験授業では研究計画書の作り方のアドバイスもしていますのでお気軽にお申し込みください。
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大学院進学時の研究計画書作成では、学問分野の歴史を理解することが重要です。学問史を学ぶことで研究の問題意識や進め方が明確になり、説得力のある計画が作れます。なのでまずは1冊でいいから学問史の本を読んでみましょう!