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社会人でも大学教員になれる?
「大学で教員になりたいんですけれども、どうやったらなれるんでしょうか?」
うちの塾には時折このような質問をいただくことがよくあります。
社会人として長年実務を経験してきた方の中には、「自分の経験を次世代に伝えたい」と考え、大学教員の道を目指す方も少なくありません。
現在 少子化も進み大学も「倒産」がありうるなか、大学教員になるのは年々難しくなってきています。
特に「正規雇用」での採用を目指す場合はかなりの茨の道を覚悟する必要があります。
ですが、「非常勤講師」でよければ話は別。
大学の非常勤講師はある程度の実績と研究成果があれば比較的狙いやすいのです。
(大学教員のポストのうち、非常勤講師などの非正規雇用の割合は約5割、正規雇用でも期限付きでの雇用が実に1/4となっています)
この記事では、大学教員を目指す際の現実的なルートと具体的な方法について解説します。
大学教員の現状
現在、日本には約800の大学がありますが、大学教員のポストは減少傾向にあります。
少子化の影響で大学の定員が縮小し、新規採用の機会が限られているためです。
特に、終身雇用の正規職を目指す場合は非常に競争が激しいです。
博士号を取得しても安定した職に就けないケースも少なくありません。
ただ、その一方で非常勤講師のポストは増加傾向にあります。
現在、大学教員の約5割は非常勤で採用されています。
そのため、「正規雇用の大学教員になりたい」「大学教授になりたい」という目標は厳しいかもしれませんが、「非常勤講師として大学教育に関わる」道は比較的現実的です。

実務家教員を目指すという方法も!
近年、大学では実務家教員の採用が増えています。
これは、学術研究を専門とする従来の研究者だけでなく、現場での経験を持つビジネスパーソンや専門職の方を大学教員として採用されるケースを指します。
たとえば大手企業で役員をしていた方や税理士・弁理士や教員など専門職である程度の実績を挙げた方ですと実務家教員の枠で採用されるケースもあります。
この場合は論文投稿や学会発表などの学術成果よりもビジネス上の成果を見た上で採用されるケースもあります。

ですが実務家教員には独自の課題もあります。
例えば、自分の経験は大きいものの、学術的な知識や理論的な考察が不足しがちであるという点です。
実際、MBAコースで教えている実務家教員であっても、自分のビジネス上の経験だけを講義するあまり、経営理論への言及が少なく、学生からの評価が低くなることもあります。
大事なのは、たとえ実務家教員になったとしても「自分の経験だけ」を講義するのではなく、専門知識や専門理論をきちんと勉強した上で講義をしていくこと。
なかには「大学教員として好き勝手話したい」という思いが強くて学生満足度の低い講義しかしていない教員もいます。
学生さんのことを考えて、きちんと学びになる講義をすることが求められています。
実務家教員に限らず、現在の大学教員の世界では学生への適切な対応や教育力も求められています。
「面倒見の良さ」がなければ今の時代 大学教員の仕事はうまく行えない時代にもなっているのです。
非常勤講師として大学で教えるには?
さて、ここからは社会人が非常勤講師として大学で教えるためにはいまから何をできるかを具体的に見ていきましょう。

ステップ1. 大学の公募情報をチェックする
大学教員の公募情報は、JREC-IN(ジェイレック)というサイトに集約されています。
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop
JREC-INは科学技術振興機構が運営をする公募情報サイトです。
このサイトでは、全国の大学や大学院・研究機関・専門学校などでの教員/研究員の募集情報を検索できます。
JREC-INでの求人検索では、以下のような条件で検索できます。
- 非常勤か常勤か
- 教授・准教授・講師などの職位
- 専門分野
- 勤務地 など
まずはご自分の専門分野でどのような募集があるかを確認し、応募条件をチェックしましょう。

今の段階で調べてみてどういう募集があるかを知ってみるとモチベーションも上がることでしょう。
博士号が必須のポストもありますが、修士号で応募できるポストも少なくありません。
特に非常勤講師の場合は「修士号」のみで応募できるケースがほとんどです。
JREC-INでは給料などの記載もありますが、大学非常勤講師の場合、給料はそれほど高くありません。
週1コマ(月4-5コマ)担当して1ヶ月数万円という世界ですので、お金儲けを目的に非常勤講師を目指すのはあまりおすすめできません。
「大学非常勤講師として教育をしたい」という教育意欲を持って取り組まれるのをおすすめします。
2. ダメ元でいいから応募してみる
まずは気軽に調べてみた上で条件を満たしていそうなら「とりあえずダメ元で応募してみる」のをおすすめします!
大学教員の募集って、いろんな大学に応募してみることで採用されやすくなります。
まずはダメ元でいいのであちこち応募してみましょう!

たまに誤解している方もいらっしゃるのですが、小学校・中学校・高校と違い大学教員には「教員免許」なるものは存在しません。
いちおう修士号などの学位が必要とされることもありますが、文科省の法令上はそれすらも不要です。
芸能人などの有名人が学位など関係なく「客員教授」となっているケースがあるのもこういうことが理由です。
(ガッツ石松さんと川島なお美さんは2008年に広島国際学院大学の客員教授となっています。なお、この大学は2023年に閉校となりました…)
3. 学会や研究会で人脈を広げる
非常勤講師のポストは公募だけでなく、学会や研究会での人脈を通じて紹介されることも多いです。
例えば、ある全国学会で知り合った教授から「うちの大学で講義を担当しませんか?」と声をかけられるケースもあります。そのため、
- 学会に参加して研究発表をする
- 関連分野の研究会に参加する
- 研究論文を発表する
といった活動を積極的に行い、アカデミックなネットワークを築くことが重要です。

実際、うちの塾の受講生の方にも学会発表で出会った先生から「こんどうちで非常勤講師をやってもらえませんか?」という依頼があったと教えてもらいました。
研究学会への参加も積極的に行いましょう!
4. 学術業績を積み上げる
この部分、とても大事です。
大学教員として採用されるには、学術業績が求められます。
特に、
- 査読付き論文の執筆
- 学会発表
- 研究プロジェクトへの参加
などが評価されます。
あくまで大学は研究機関ですので、研究上の実績がどれだけあるかで評価が変わってくるのです。

社会人の場合、論文執筆はハードルが高く感じられるかもしれません。
ですが、社会人としての経験を活かした研究発表も可能です。
例えば、
- 「現場でのデータを活用したケーススタディ」
- 「業界の動向を踏まえた実務の変化」
といったテーマで学会発表を行い、論文としてまとめることもできます。
もし著書を出版している場合、内容によっては採用時に評価されるケースがあります。
学術論文などがない場合などは著書を出版していることを適切にアピールしてみましょう!
5. 修士号・博士号を取得する
大学の教員公募では「博士号必須」とされるケースもありますが、修士号で応募できるポストも存在します。
特に実務家教員枠では、修士号のみでも応募可能なことがあります。
さらには修士号がなくても非常勤講師として採用されるケースもあります。
もし大学教員としてのキャリアを本格的に考えるのであれば、修士課程に進学し修士号を取得するだけでなく、さらに博士後期課程に進学し博士号取得を目指すのも一つの道です。
特に、大学での正規雇用を目指す場合、大学教授・大学准教授などを目指す場合 博士後期課程への進学は必須となります。

まとめ!まずはJREC-INでのリサーチから始めよう!
大学教員を目指す道は決して平坦ではありませんが、非常勤講師としてなら社会人でも比較的挑戦しやすいと言えます。
今回お伝えした内容をまとめると次のようになります↓
非常勤講師になるためのポイント
(1)JREC-INで公募情報をチェックする
(2)ダメ元でいいから応募してみる
(3)学会や研究会で人脈を築く
(4)学術業績(論文・学会発表)を作る
(5)修士号・博士号の取得を検討する
現在の仕事を続けながら大学で教えたい場合は、非常勤講師としてスタートするのが現実的です。
まずはJREC-INをチェックし、どんな募集があるかを確認してみてはいかがでしょうか?
ちなみに、私も現在 非常勤講師のポストを探しており、JREC-INでの情報収集を続けています。
興味のある方、ぜひ一歩踏み出してみましょう!

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