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一冊の本で人生は変わるか?
「あなたの人生を変えた1冊を教えて下さい」
たまにこういう内容を聞かれることってないでしょうか?
新聞・雑誌のインタビューなどにもときおり「人生を変えた1冊」についての記事があります。

私、前からこういう質問、あまり好きではありませんでした。
それはたった本1冊で人生なんて変わらないと考えるからです。
むしろ、ふだんから数多く本を読む努力をすることで自然と人生が良い方向に変わっていくのだと思います。
今回は「1冊に頼るのではなく、読書習慣を継続しよう!」というテーマでお届けします。
読書は有益。でも…
読書は知識を得るのに最適な存在です。
時には人生を変えるきっかけとなることもあります。
ですが「1冊の本だけで人生が変わる」ことがあるかどうかは毎回疑問に思っています。
私は札幌で読書会を10年以上主宰していますし、毎年けっこうな冊数の本を読んでいます。
ですけど、「1冊で人生が変わる」ことなんてないと思います。
そうではなく、あれこれ読んでいるうちに複数の本の内容が頭の中で融合され、気づけば発想や思考が変化していることのほうが多いように思うのです。

一冊の力?それとも読書の積み重ね?
このことを、私と同じく札幌で読書会を長年続けている井田さんと話していました。

(左 井田祥吾さん)
井田さんは「札幌ゼロ読書会」を2017年から開催なさっています。
数年前より月1で井田さんとの動画収録をしているのですが、その中で井田さんとお話したのが「1冊の本で人生が変わるか?」という内容でした。
井田さん自身も読書会をやっていることもあり、本から多くを学んだと言います。
「読書によって救われた経験があるからこそ、読書の大事さを周りに伝えていきたい」という思いをお持ちです。
私自身も、読書が様々な困難を乗り越える助けとなった経験があります。
ですが、「1冊の本で人生が変わるわけではない」点で井田さんと意見が一致しました。
読書は人生を変える力を持っていますが、1冊だけで変わるわけでなく数多く本を読むからこそ人生が変わっていくということで意見が一致したのです。
1冊へのこだわりがもたらす弊害
「人生を変えた1冊」を考える傾向には問題点もあるように思います。
それは「人生を変えそうな本」以外は読まなくなってしまうという傾向です。

これは「人生を変える1冊」を考えるあまり、「意味がない本は読みたくない」「いま必要じゃない本は読まない」ことにつながってしまう可能性があるということです。
私としてはいろんな本を大量にふだんから読むなかで「そういえば以前読んだあの本が役立ったな」と気付けることが出てくるのだと考えています。
なので「人生が変わる1冊」にこだわるのではなく、ふだんから読書習慣を持ち続けることが自分の今後に直結すると言えるわけです。
読書を手段にするのではなく、楽しむ!
哲学者・國分 功一郎(こくぶん・こういちろう)さんの本に『手段からの解放』があります。

本書では哲学者カントの議論をもとに、「楽しむ」ということを掘り下げて分析しています。
本書では「手段」についての考察がなされています。
現代社会ではあらゆることが「手段」として捉えられている現実があり、ともすれば「楽しむ」ことがなくなってしまっているのではないか。
國分 功一郎さんはこう指摘します。
どういうことかというと、例えば読書についても「楽しむ」ために読むのではなく「キャリアアップに役立つから読む」「仕事に必要だから読む」「教養をつけるために読む」と読書が「手段」として捉えられています。
この発想だと、読書自体を楽しむのではなく「役に立つから本を読む」という発想に行き着きがちです。
この発想、究極的には「カネにならない本は読むな」「役に立たない本を読む時間はない」と、すぐ役立ちそうな本以外読まない傾向につながります。
私が冒頭に書いた「人生が変わる1冊」に関する議論も、ともすればこういうものになりがちです。
つまり「人生が変わる本」「役に立ちそうな本」に最短距離で取り組むことで手っ取り早く結果を得たい、という発想につながってしまうのです。

もちろん、どういう目的で読書するかはその人の自由ですし、どう読んでも構わないと言えます。
ですけど、「役に立つ」「人生が変わる」ことだけを求めてしまうと本を楽しめなくなってしまうようにも思うのです。
『手段からの解放』ではこういう目的-手段関係の中でものを捉えるのではなく、その対象を味わうこと・楽しむことの重要性を訴えています。
だからこそ、役に立つ・立たないを超え、読書それ自体を「楽しむ」姿勢こそ大事だと言えるのではないでしょうか?
勉強を楽しめるようになると合格するというジンクス。
私が受験生の方に時折いう話があります。
それは「受験勉強を楽しめるようになると合格する」ということ。

例えば、多くの人は大学や大学院に合格したいから勉強しています。
バラ色のキャンパスライフや学歴取得後のキャリアをイメージして日々受験勉強に取り組むわけです。
ですけど、この発想には「合格できなかったら勉強しても意味がない」「やってもどうせ受からないのではないか」というネガティブな視点がつきまといます。
そうではなく、勉強すること自体を楽しめるようになるとどうでしょうか?
受かる・受からないは関係なく、勉強すること自体が楽しいから勉強し続ける。
そうなると勉強の喜びをじっくり味わうこともできますし、勉強時間も密度の濃いものになるので必然的に合格に近づきます。
だからこそ、「勉強それ自体を楽しむ」ことができるようになったほうが受験勉強は価値的だと言えるのです。
これも先程の話のように、読書それ自体を楽しむ姿勢と同じでしょう。
目的-手段関係を超えて、その行為自体を楽しむ。
この姿勢、結果的にキャリアアップにもつながっていくと言えるのです。
積極的な多読を!
先日の井田さんとの対話を通じて、「一冊の本に過剰な期待を寄せるのではなく、多くの本を読むことで得られる豊かな体験を重視すべき」という結論に至りました。
読書は単なる情報収集の手段に留まらず、人生を形作る多くの要素の一つとして、大いに楽しむべきものです。
あなたも、一冊に人生を変えられるかどうかに囚われず、さまざまな本との出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか?
そうやって楽しむ姿勢を持つと必然的に読書が役立つようになります。
「人生が変わる1冊」も、その先で出会えるかも知れませんよ!

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「人生を変えた1冊はなんですか?」。時折こういう質問が雑誌などに載りますが、私はたった1冊で人生が変わることなんてないと思っています。むしろ、そういうことに関係なく大量に読む中で人生は少しずつ変わっていくと思うのです。読書自体を楽しむことが人生を変える一つのきっかけになるはずですよ!