「すぐ役立つ本」「話題の本」ばかり読んでいると
気持ちが落ち込む。
「古典」を読んで視野を広げよう!
「いま話題の本」ばかり読んでいると、なんだか疲れません?
「いま話題になっているから
この本、読んでおかないと…!」
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2021/03/book_hon_no_mushi_woman-300x300.png)
「いま話題となっている本」を
仕事のために読んでおかなければならないことって
ないでしょうか?
私も大学院進学のアドバイスや
読書会・動画撮影のために
日夜「いま話題の本」を読み込んでいます。
これ、1冊や2冊ならいいんですけど、
5冊くらいを一気に読まないといけないときは
けっこう「苦痛」になります。
特に「自己啓発書」や「ノウハウ本」だと
この傾向は強まりますね。
1冊いっさつはいい本なのですけど、
なんだかどの本も同じようなことを言っていたり、
「この内容も、
すぐ古くなるんだろうな…」
と思うとなんだか
やりきれない気持ちになったりしてしまいます。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2021/04/gogatsubyou_man-233x300.png)
あなたもこういうこと、
ないでしょうか?
仕事のために「いま話題の本」を読んだり、
いま流行っているだけの理由で
「いま話題の動画」を観たり。
別に1つひとつは楽しいし面白いところもありますが、
似たようなものを大量に目にしていると
なんだか「食傷」気味になるのです。
流行本に疲れたら「古典」を読む!
そんなとき、オススメなことがあります。
それは
「古典」を読むこと、です。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2021/02/pexels-leah-kelley-373465-300x200.jpg)
「古典」と言っても
別に「古文」を読むわけではありません。
100年以上も昔に書かれた本で、
いまだに読みつがれている本を
読んでみたほうがいいのです。
J.S.ミル『大学教育について』を読む
いま、私はJ.S.ミルの
『大学教育について』を
読んでいます。
発行されたのが1867年と
明治初年にあたります。
『自由論』などで有名な研究者であるJ.S.ミルが
セント・アンドルーズ大学名誉学長就任時の
講演を記録したものが『大学教育について』です。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2021/05/Stuart_Mill_G_F_Watts-241x300.jpg)
(写真はwikiより)
〈人間にとって勉強することに
どんな意義があるか〉
〈大学教育の目的はなにか〉
こういったテーマについて
ミルが明快に意見を述べていきます。
これ、読んでみると面白いですね〜!
いま立場上「大学教育」「大学院教育」についても
考える機会が多いのですが、
さいきん書かれた本ばかりをみていると
「そもそも大学教育は何を目的とするべきか」
などの根本的問いが見えなくなってしまうのです。
その点、ミルの『大学教育について』は実に明快です。
ちょっと引用してみましょう↓
「大学は職業教育の場では
ありません。
大学は、生計を得るためのある特定の手段に
人々を適応させるのに
必要な知識を教えることを目的とはしていないのです。大学の目的は、
熟練した法律家、医師、または技術者を養成することではなく、
有能で教養ある人間を育成することにあります」
(ミル,『大学教育について』岩波文庫 2013 竹内一誠訳
Kindle版No.87/2575)
大学の目的は
「有能で教養ある人間を育成することにある」という指摘。
ある意味「当たり前」に見えるかもしれない一文ですが、
「大学でどのような教育を行うか」
「大学で何を学ぶべきか」を考える上で
たいへん役立つように思うのです。
先程の内容の「前提」として次のものがあります。
「人間は、弁護士、医師、商人、製造業者である以前に、
何よりも人間なのです。有能で賢明な人間に育て上げれば、
後は自分自身の力で有能で賢明な
弁護士や医師になることでしょう。専門職に就こうとする人々が大学から
学び取るべきものは専門的知識そのものではなく、
その正しい利用法を指示し、
専門分野の技術的知識に光を当てて
正しい方向に導く一般教養の光名を
もたらす類のものです」
(Kindle版No.97-106/2575)
大学の目的はなにか?
ミルがここで述べる「大学」は
現在の「大学」とはちょっと違います。
この当時、大学には
それこそお金がある家・エリート層しか
進学することはできませんでした。
大学への進学率が数%もない頃です。
そういう時代であることは差し引いても、
ここでは「大学の目的はなにか」ということが
明快に書かれています。
それは単に「仕事に就くための勉強」だけではなく、
「人間として生きていく上での教養」を学ぶことが
重要である、と指摘されています。
これ、ミルが生きていたとき以上に、
いま社会において重要な指摘なのではないかと思います。
大学の勉強だけでは「逃げ切れない」時代。
ミルの頃は大学で学ぶだけで
「逃げ切る」ことができました。
学問の発展がいまほど早くはないので、
一度大学で学んだ知識だけで
一生困らなかったわけです。
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…ところが、現在だと
大学で学んだことはすぐ古くなります。
特に「技術系」の内容は
あっという間に古びてしまいます。
だからこそ、大学では
「すぐ役立つ」こと以上に
卒業後も自分で学んでいくのに必要な
「一般教養」を学ぶことに意味があるのですね。
例えば、テレビではコロナについて報道が
毎日行われていますけど、
「ウイルス」と「細菌」の違いを知らないでいては
こういった報道は正直なところ
何を言っているか、わかりません。
こういう基礎的な部分・一般教養とも言える部分の理解があれば
社会に出てからも自分で
学びを深めていくことが可能であると
思うのです。
今回のポイント
今回のポイントです。
気持ちが落ち込む。
「古典」を読んで視野を広げよう!
「いま流行っている本」はすぐ賞味期限が切れる…。
いま流行っている本を読むのもいいんですけど、
こういう本ってすぐ
「賞味期限」が切れてしまいます。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2021/05/text_syoumikigen-300x98.png)
その点、古典というのは
十分「古く」なっているからこそ、
今よりも古くはならないのです。
大学・大学院では「古典」を読むべき理由。
それに「いま話題の本」については
正直読んでいなくても誰かに聞けば教えてもらえますが、
「古典」を読んでいない場合、
専門家からはバカにされることも多いです。
大学や大学院での学習も、
「いま話題の本」を読むよりも
「古典」を読んでいたほうが
議論についていけますし、
教授・仲間からも一目を置いてもらえるように
なるものです。
「恥ずかしくて言えないようなこと」を古典は大真面目に論じている。
「大学は、すべての知識を
人生を価値あるものにする
主要な手段として与えねばなりません。すなわち、われわれ各人が人類のために
実際に役立つ人間になることと、
人類そのものの品性を高める、
つまり人間性を高貴にすることという
二重の目的を達成するために与えねば
なりません。(…)今までにも、多くの学生たちは、
一教授の強い影響を受けて、
卑俗で利己的な目的を軽蔑し、
この世界を自分が生まれたときよりも
少しでも良いものにしてこの世を去りたいという
高貴な大望を抱くようになり、
そしてそのような気持を生涯持ち続けたのであります」
(Kindle版No.1137-1142/2575)「大学は、人類が蓄積してきた思想の宝庫を、
事情の許す限り次の世代へと
最大限に開放するという目的のために存在しているのです」
(Kindle版No.1147-1142/2575)
ミルのこの「古典」のいいところは、
現代だと「恥ずかしくてもう言えないような内容」を
大真面目に論じている点です(ミルに失礼…)。
古典って、こういう
「いまなら恥ずかしくて言えないようなこと」が
たくさん出てくる点もいいところですね!
いまから150年近く前の
本ですが、
だからこそ「本質」的な内容が書かれていて
たいへん役立つのです。
なので、「いま話題の本」「流行っている本」に
食傷気味なときは
「古典」を読んでみることをオススメします!
(岩波文庫に入っているような本だと
周囲からのウケもいいですね!)
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ではまた!
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