「一書の人」になることの力: 徹底的な読書が生み出す深い学びと自己成長

藤本研一

Digest!
1冊の本だけを徹底的に学びぬく。
1冊の本が自分の生き方にもつながっている。

そういう人を「一書の人」といいます。
1冊の本の描写や背景知識を徹して読み解いていくと
理解が恐ろしく進み、
それが自分自身のオリジナリティにもつながっていきますよ!

やみくも・大量に本を読んでいませんか?

本を読む時、
ついつい「やみくも」「大量に」
読むことって多くないでしょうか?


試験勉強においても
参考書やテキストを読み終えたら
「もっと別のものも読まないといけない…」
と焦るあまり、似たような本を買ってきて
どんどん読んでいく。


結果、頭の中に
いろんな知識が入り乱れて
ゴチャゴチャになっていく…。



こういうこともありますよね。

別の教材に次々手を出す愚行。


また、参考書やテキストをやっている途中に
別の教材が気になりだし、
途中で投げ出して別の教材に手を付けることもあります。

この場合、
本棚にはやりかけの参考書やテキストが
どんどん増えるのに、
最後まで読んだ教材は一つもない。

そういう状態に陥ります。

これ、けっきょく何にも身につかないので
あまり意味がないかも知れませんね。


本として形になっているものには
少なくとも一定の品質が確保されています。



なので多少教材の質が悪くても
最後まで取り組めば得られるものはあります。

でも、最後までやらず
次々教材を変えていくと
けっきょく何も得られません。

本代の支出は増えるのに、
得られるものはなにもない状態が
続いてしまうのです。

これ、ホントもったいないことだと
思うのです。

フジモトの失敗談

かくいう私も大学受験の頃、
似たようなことをしていました。

私、数学の授業がニガテであったこともあり、
参考書をもとにイヤイヤ勉強していました。

途中までやると難しすぎて
「これは自分にあっていないのではないか…」
と投げ出してしまう。


これが何度も続いたのです。



いまから思うと
非常に失敗していたな、
と思う次第です。

大量に・あれこれやるのではなく「1冊」を決める!

本をただやみくも・大量に読み解いても
頭がゴチャゴチャになりますし、

途中で本を投げ出し新たな本に取り組んでいても
全く身につかないのであれば
どうやって勉強すればいいのでしょうか?

私の好きな言葉に
「一書の人」という言い回しがあります。


これは1冊の本を徹底的に読み抜いた人のことを
いいます。


その本のことなら誰よりも詳しい。
その本が自分の生き方にもつながっている。

そういう人を「一書の人」というのです。

私が思い描く「一書の人」に
マンガ『ナニワ金融道』の著者・
青木雄二さんがいます。

 ☆青木雄二さん
  

ナニワ金融道』は
日常生活でのお金のトラブルを
ナマナマしく描くという実にクセのあるマンガとなっています。



(私、関西出身なので
 ガラの悪い関西弁が大量に出てくる
 『ナニワ金融道』はとても身近でした)

『ナニワ金融道』の背後にドストエフスキー『罪と罰』があった



青木雄二さんは漫画家を目指す際、
ドストエフスキーの『罪と罰』を
徹底的に読み解くことから始めたそうです。


ストーリー展開の仕方、
会話や表現の工夫など
『罪と罰』を徹して研究したのです。


その成果がリアリズムあふれる
『ナニワ金融道』に結実しているのだと
実感します。



1冊の本を徹底的に読み解く挑戦の中に
自分の個性やオリジナリティが出てくる。


これを青木さんの事例から私は学びました。



「一書の人」になることの意義を
実感しています。




今回のポイント


1冊の本を決めて徹底的に読み解く!
「一書の人」になりませんか?

灘高校で50年!橋本武先生の『銀の匙』の授業

「一書の人」になる実践、
学校教育でもやっている方がいます。

少し前に話題にもなった、
灘高校の橋本武(はしもと・たけし)先生の実践です。

橋本先生の国語の授業では
中勘助(なか・かんすけ)の『銀の匙(さじ)』という作品を
中学校の3年間をかけて学んでいきます。

(なお、『銀の匙』とは
 荒川弘のマンガ『銀の匙 Silber Spoon』とは違いますので
 念のため…)


 ☆橋本先生の授業の様子は
 『奇跡の教室』に詳しいです。

橋本先生の実践では
文科省の認可教科書を用いず
授業を行っていくのです。


1冊の本をじっくり読み解くだけでなく、
作品に出てくる描写の意味を読み解くほか
作品の時代状況を調べていくなど
『銀の匙』の本の背景知識も身につけていきます。

じっくり学ぶ中で生徒一人ひとりが
『銀の匙』をまさに自分の作品として
受け止められるようになっていくといいます。

橋本先生は灘高校において
この国語の実践を実に50年にわたって
続けてきました。

橋本先生のような実践をスローリーディングといいますが、
1冊の本を決めてそれを徹底的に学ぶ姿勢は
自分の生き方にもつながっていくのです。

これも「一書の人」になるための実践ですね。



「一緒の人」になりませんか?

「一書の人」になるためには
なにか1冊本を決め、
何度も読み抜くだけでなく

「この描写にはどんな意味があるか」と
思考を深めたり、

「この本はなにを参考にして書かれているのだろうか」と
作家に影響を与えた作品を調べたりと
知識を増やしていくのがオススメです。


そうやって研究することが
自分の深みを作ってくれることになります。




こういう1冊を徹底的に学ぶ姿勢、
オススメですよ!


小説だけでなく、
自分が決めたテキスト・専門書も

「1冊の本を徹底的に読み解く」

思いで進めていくと専門性を磨いていけるのです。


かくいう私も
「一書の人」になりたいな、
と思い研究している本があります。

(これが「何冊もある」時点で
 「一書の人」ではないのですが…)

1つの本を徹底的に読み解くことが
あらゆる方面に広がっていくことを
実践しながら実感しているところです。

ぜひあなたも「一書の人」、
目指してみませんか?

ではまた!


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