77.6% 社会人なら専門職大学院に注目を!数字で読む大学院進学⑥

藤本研一

Digest!
2人に1人が社会人である【専門職大学院】。

令和4年度の進学者の割合を見てみますと、
MBAやMOT、法科大学院・会計大学院など
「社会科学」分野への進学者が77.6%を占めています。

その後は教職大学院などが続きます。

専門職大学院は社会人をサポートする
いろんな制度があるので要チェックですね!


専門職大学院の学生比率はどれくらい?

「社会人の大学院進学を
 数字の面から見ていく!」

そんな
「数字で読む大学院進学」シリーズの第6回。

今回もお届けします!

前回は大学院修士課程の
学生数について見てきました。



データとして
令和4年度の学校基本調査から
昨年度の「大学院修士課程入学者」に
絞ってみてきたわけです。

すると圧倒的多数(35.3%)が
工学系の院生だというのが見えてきました。


ただ、前回のものは
あくまで修士課程であり、
博士後期課程や専門職課程のデータは
入っていません。

今回は社会人の方が
多く進学している
【専門職課程】のデータを見ていきます!


専門職課程(専門職大学院)とは?


大学院の専門職課程とは
一般的には

MBA(経営管理修士)のコースや
法科大学院(ロースクール)、
会計大学院(アカウンティングスクール)、
教職大学院など、

仕事の専門性を高めるための
大学院の課程のことをいいます。

堅くいいますと、

「特定の高度専門職業人の養成に特化して,
 国際的に通用する
 高度で専門的な知識・能力を涵養する課程」
 (文科省)

ということになります。

通常の修士課程が
その学問の研究者育成をメインとしているのに対し、
専門職大学院はあくまで
社会人が「高度専門職業人」として活躍するための
知識・能力を高める場所となっています。

修了時に修士号という学位が取れるのは同じですが、
専門職の場合は
「〇〇修士(専門職)」と
後ろに「(専門職)」が
つくという特徴があります。

なお、
専門職課程は通っている人の
2人に1人は社会人
というデータがありますので

社会人比率がかなり高い、
といえるでしょう。


そのため、
社会人の方が進学しやすい工夫もなされています。

たとえば授業時間が
就業後18:00以降であったり、
また土曜などでの通学が可能であったりします。

それでは専門職課程の分野別での
入学者数を見ていきましょう!

●1位 社会科学 17,402人

堂々の1位は社会科学です。

ここには法科大学院(ロースクール)
存在が大きいです。

法科大学院だけで10,142人
入学者がいるからです。

さらには、
社会科学のカテゴリー内には
経営管理修士(MBA)
技術経営修士(MOT)も含まれます。

会計の大学院(アカウンティングスクール)も
入ります。



(税理士試験や公認会計士試験の
 一部科目免除を得られるのも
 アカウンティングスクールに通うメリットです)


私が今通っている
公共政策大学院もこのくくりです。

…なので専門職大学院においては
社会科学分野が
「美味しい部分のほとんど」を
占めている、と言えるかもしれません。

(文科省調査の項目立てが
 あまりうまくいっていない…?)


●2位 教育 2,699人


2位は教育です。

このうちの大部分は
教職大学院の院生となっています。
(2,672人)

教職大学院が
教育カテゴリーの99%を占めています。


教職大学院は
現職教員の方が
自己の教員としてのスキルを高めたり

また教頭・校長などの
管理職になるにあたっての研鑽を積んだりするのに
進学するケースが多いです。

また、教員免許がない人であっても
一部の教職大学院では3年間で
教員免許取得が取得できるコースが設けられています。


教職大学院を出ると
教員免許の格が1つあがるのもメリットですね。

通常、大卒で取れる教員免許は
「1種免許」ですが、
大学院で所定の単位を取ると
「専修免許状」が
取得できるのです。


(ちなみに私も
 専修免許状を持っています。
 なお、専修免許状自体は教職大学院でも
 取得できますので念のため

●3位 その他 1,648人


3位は「その他」です。

…と言ってもイマイチ分かりにくいのですが
緑環境景観マネジメント修士」(兵庫県立大学)や
情報システム修士」(神戸情報大学院大学)など
大学院が独自に取り組んでいるものがここに入るようです。

(専門職大学院にはたくさんの種類があり、
 「日本全国のこの学校でしか出していない」
 という専門職の修士号がいくつもあります。
 そういう大学院がここに入っています。

 また、項目にはない「理学」や「家政」分野も
 ここに入っているようです)

●4位 人文科学 327人


4位は人文科学です。


具体的にどれを指しているのかは
明確ではないのですが、

臨床心理修士を出している大学院が
入っているようです。


(臨床心理士の資格自体は
 専門職ではない通常の大学院でも
 取得できますので念のため


●5位 保健 294人

5位は保健です。

医療・薬学などの分野が当てはまっています。

基本的には「公衆衛生学修士」の課程が
ここに入るほか、

一部「助産修士」(天使大学大学院)を
出している大学院があるので
こういったものの合計が
保健に含まれるようです。

●6位 工学 57人

6位は工学です。


前回見た「修士課程」の分野では
圧倒的多数(1位)だった反面、
専門職課程は

あまり設置されていないようです。

原子力修士」(東京大学大学院)などが
入っています。

なんと!77.6%は社会科学系の専門職大学院!

…さあ、ここまで見てきましたが、
令和4年度の専門職大学院の入学者は
全国で22,427人となっています。

日本全国に22,427人しかいない、
と考えるとずいぶん少ないですね。

(ちなみに、北海道の
 富良野市留萌市紋別市の人口くらいです)



その内の
77.6%が社会科学系、
と極端な偏りがあるのが気になるところです。

今回のポイント


社会人の大学院進学の味方・専門職大学院。
その77.6%は
ロースクールやMBAなど社会科学系!

1年制修士に注目!

なお、専門職大学院の場合
大学院によっては
「1年修了」も可能な場合があります。

これは何かというと、
本来2年間で学ぶ内容を
1年でまとめて行う、
という制度です。


神戸大学MBAコースのほか、
私の今通っている
北大公共政策大学院にも
同制度を使う方が時折います。


これ、たとえば企業や学校・行政機関に
「1年であれば
 現職の給与を得ながら
 大学院で学習ができる」

制度があると活用しやすいと言えるでしょう。

他にも、
「1年間休職し、
 その間で大学院に通う」
ケースでも使用できます。

私の知人にも
学校教員を1年休職して
教職大学院に進学した人が実際にいます。

あるいは仕事を辞めて
1年間のあいだ大学院に集中し、
修了するタイミングで転職活動を行う、
という使い方をしている人もいます。



場合によっては
「1年制修士」の制度を活用するのも
キャリア形成に役立ちますね!


(当然ですが、
 2年間で学ぶ内容を1年で終えるので
 やることはめちゃくちゃ多いですが…

専門職大学院こそ
社会人が入りやすく、

また今後のキャリア形成にも
直結する大学院となっています。


(大学院によっては
 試験が比較的カンタンなところもあります。
 また、「出願書類と面接だけ」で
 合格できる場所もあります)



長い人生、
あなたの進路を考える上で
活用してみてくださいね!

ではまた!


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