「世の中はどんどん変化している」というのは本当か?『Slowdown 減速する素晴らしき世界』を読んでみて。

今回のポイント

よりマクロな変化に注目を。
ときにはマクロな視点の本を読もう!

「社会の変化はどんどん加速している」のは嘘である!


『Slowdown 減速する素晴らしき世界』(スローダウン)
という本を読んでいます。

これ、私たちの考え方の
「誤解」を指摘した本です。

世の中はどんどん変化し、
この変化はどんどん加速している。

私たちは現代社会を捉える際、
そう考えてしまいがちです。

「世の中はどんどん変化している。
 だからこそ、その変化に追いついていかなければ…!」

こう考えている人も多いと思いますし、
私自身もそう思っています。

変化スピードはしだいに落ちてきている!

…実際はこの「逆」が起きているというのが
『Slowdown』の結論です。

世の中にはたしかに変化が起きています。


ですが、
変化のペースって、
実は落ちてきているのです。

いま世界の変化スピードはどんどん減速し、
低変化社会にかわりつつあるのです。

たとえば人口の増加量も
一気に増えているように見える半面、
増加傾向は収まってきています。

世界経済の成長率も、
実は全体的にみれば
収まってきているのです。

ほかにもCO2排出量や
エネルギー使用量など
あらゆる分野で増加傾向の低減が見られています。

本書の解説を担当している山口周さんは
冒頭でこう書いています。

「本書『Slowdown 減速する素晴らしき世界』は、
 現代を生きる私たちを絡め取っている代表的な迷信の1つを
 丁寧に解きほぐしてくれます。

 その迷信とはすなわち

 あらゆるものが加速している。
 そして加速はとてもよいことである。

 というものです。

 400ページ以上にわって、著者は、
 さまざまな統計データを用いながら、
 ごく少数の例外を除いて、
 世界におけるありとあらゆるものはむしろ減速していることを
 示しています。

 しかし、全体として本書が主張しているのは、
 先述した迷信の真逆、すなわち

 あらゆることがスローダウンしている。
 そしてスローダウンはとてもよいことである。

 というものです」
 (Kindle版4ページ/653ページ) 

たしかに、
いま世の中は変化が激しいとはいっても
職場にPCが入ってきたり、
Webでの買い物が当たり前になったりした以上の変化って
ここしばらくは起きていないように思います。

(Zoomを用いて授業が可能になったり
 オンラインミーティングが普通になったりしたのは 
 ここ数年の変化ですが、
 この技術自体は10年以上前から存在しています)。

電話こそが最大の発明?

ある本で読みましたが、
コミュニケーションや情報収集の仕方など
仕事や生活の仕方を根本的に変えた発明って
「電話」の働きが最大らしいです。

電話ができるまでは
何日もかけて手紙を運んだり
直接会いに行ったりしていました。

その状況を電話が根本的に変えたのです。

電話(および電報)の発明により、
仕事の仕方や政治の仕方も大きく変わりました。

離れた場所にいる人と
同じ時間に交流することが可能となったのです。

電子メールやSNSで
私たちはやりとりをしていますが、
やろうと思えば電話でも同じことが出来ます。

(同時に何人にも連絡するのは難しいので
 手間はかかりますが)

それを考えると、
かつて電話でやっていたことが
FAXに置き換わり、
電子メールに置き換わり、
Webサイトに置き換わり、
そしてSNSやYouTubeに置き換わっているだけなのです。

そういう点から
電話の発明以上に
インパクトのある情報機器は
まだ発明されていない、と言われているわけなのです。

(そういえば、スマートフォンも
 「フォン」(電話)を名乗っていますので
 電話の進化系にほかなりません)

こう考えると、
本書の指摘にあるように、
私たちの社会の変化は今後収まっていき、
変化の幅も抑えられていくことが想定されます。

社会がどんどん変化していく前提ではなく、
むしろ低変化社会になっていく前提で
物事を考えるべきではないか。

本書が指摘している視点、
たいへん面白いなあ、と思うのです。

  

今回のポイント


よりマクロな変化に注目を。
ときにはマクロな視点の本を読もう!

専門の勉強に「マクロ視点」を追加しよう!

専門性を高めるため、
大学院で勉強したり
ふだんから本・研修で学んだりしている方も
多くいらっしゃることと思います。

専門性を高める学習というのは
基本的にはミクロな視点で
範囲を絞って学んでいく要素が強いです。

たとえば経営学なら経営学、
看護学なら看護学に絞って
普段学習していることが多いはずです。

これも大事な半面、
ミクロな視点だけだと
現在という時代の特徴や変化を
掴みきれないこともあります。

なのでときには本書のような本を読み、
大きな視点を学んでいくのもいいな、と思うのです。

専門+マクロ視点で鬼に金棒!

専門の視点に
『Slowdown』のような書籍によるマクロな視点が合わさると、
研究や普段の業務において
あなたの説得力が高まっていくのです。

なので
ときにはマクロな視点を学ぶための読書、
やってみるのがおすすめですよ!

ではまた!


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