研究テーマは「自分と関わりが深いテーマ」
「自分の身内にとって切実なテーマ」を選ぶ!
すると研究のモチベーションも維持できる!
目次
研究計画書に関する、よくあるご質問
「大学院入試の際、
研究計画書に何を書いたらいいか
分かりません・・・」「研究計画書を書くんですけど、
これって合格してから
変更することってできないのでしょうか・・・?」
ときおり、こういったご相談を
体験授業を受ける方や受講生の方から
お聞きすることがあります。
大学院に進学する場合、
専門職大学院であったとしても
「研究計画書」が求められるケースが多いです。
つまり、
「大学院の修士2年間で何を研究したいか」
「大学院で何を調査・研究するか」を
文章でまとめた書類の提出が求められるのです。
大学院によっては
「A4用紙半分」でいいばあいもありますし、
「A4用紙5-10枚」でまとめることが求められる場合もあります。
このとき、
はたと困ってしまうわけですね。
「何を研究したらいいんだろう・・・」
「そもそも、
そんなに研究したいことがないし・・・」
そう悩んでしまう方も
時折いらっしゃいます。
また、
「研究計画書に書いたことって、
途中で変更できないのかな…」
と疑問に思う方もいらっしゃいます。
最初に結論からお答えします
この2つのお悩み、
最初に結論をお伝えしておきます。
「何を研究したらいいか」がわからないときは
「自分にとって身近なテーマ」か
「自分の身内にとって切実なテーマ」を選ぶと
研究のモチベーションを維持しやすくなります。
また、
「結論計画書は進学後変更できるか否か」については
指導教員との相談の上でなら可能、
と答えることが出来ます。
…さきに結論を書いてしまいましたが、
今回、この2つのお悩みを
私の事例を通してお応えできれば、と思います。
何かの参考にしていただければ幸いです!
フジモトのケース
私は早稲田大学の教育学部に入ったときから
「フリースクールについて
大学院で研究したい」
と漠然と思っていました。
規則で縛られた学校よりも、
「子どもに合わせた教育」を提供している
フリースクールに、
いまの日本の教育を変えるヒントが有るように
感じたからです。
そのため、大学3年生のころから
フリースクールでのボランティアをしたり、
各地のフリースクールの見学をしたりしていきました。
このころ、研究するのも調査するのも
すごく楽しかったですね。
イキイキ取り組んだ調査結果をもとに
卒業論文も執筆したわけです。
修士課程進学後、気付いた現実。
早稲田の修士課程に進学した時も、
最初は
「フリースクールについての
社会学的分析をやりたい」
という思いを持っていました。
そのため、研究計画書にも
この内容を書いて合格していました。
大学生時代からずっと取り組んでいたテーマを
大学院でも研究できる。
修士課程合格が決まった時、
うれしかったのを覚えています。
…ところが。
進学してから「フリースクール」について
改めて調べていくうちに、
読むべき資料や
研究が膨大になることを実感しました。
ざっくりと
「フリースクールについて社会学的に分析したい」
と考えていた私にとって、
【考えが浅はかだった】
ということを痛感する機会となりました。
(それなりの研究計画書を書いていた「つもり」でしたが、
まだまだ調査が甘かったのです…)
そこから
調査対象を絞ったり、
調査技法を洗練させたりすることを盛り込んで
研究計画を練り直していきました。
しかしながら、
やればやるほど
研究方針がよくわからなくなりました。
フリースクールに関する研究は
(いまほどではありませんが)
すでにたくさん存在していたこともあり、
先行研究を読み込む中で、
「これだけいろいろなことが
明らかになっているのに、
自分が研究する意味って
本当にあるんだろうか…」
という根本的な疑問を
感じてきたのです。
私が大学院にいた頃の
フリースクール研究を思い返してみると、
「登校拒否」「不登校」現象について
説明・分析するだけの研究は飽和状態となっていました。
つまり、90年代-2000年代前半までは多く見られた
「不登校の生徒についての社会学的分析」
「学校の問題点を指摘する研究」
は、正直「ありすぎるほどある」状態に
感じていました。
私が大学院に進学していた時期は
その「次」の段階として、
「元・不登校」の研究者や
「フリースクールに通った経験がある」研究者の研究が
多く出ていたのが印象的でした。
私は「元・不登校」でもなければ
「フリースクールに通った経験がある」わけでも
ありませんでした。
そのため、
「研究者が不登校を経験している」タイプの研究を読むと
「ああ、これ、自分ではもう
太刀打ちができなそう…」
という「諦め」の気持ちが湧いてきたのです。
それに、こういった研究を分析してみると
「既存のフリースクールの
悪い側面を社会学的に指摘する」
ことばかりが研究でなされているように感じられ、
フリースクールでスタッフもしていた私にとって
なんだか「嫌な風潮だな…」と思う側面が強かったのです。
「研究のためとはいえ、
いまフリースクールの研究をする場合
【フリースクールの負の側面を指摘する】
ような方向性しか指摘が出来なそう…。でも、そういう研究、
本当に自分はやりたいのだろうか…?」
そういう疑問を抱えるようになったわけです。
それがちょうど修士課程2年生になる
「直前」の時期です。
研究テーマを途中で変える「暴挙」
あれこれ迷いましたが、
大学院に入る以前から調べていた
「フリースクールの研究」というテーマを
一気に変えるという「暴挙」に出たのがそのタイミングです。
あれこれテーマをノートに書きなぐって
考えましたが、
最終的に行き着いたのは
「通信制大学」に関するテーマでした。
ちょうど私の指導教員が大学や大学院制度を
研究なさっていることもあり、相談の上
「フリースクールに関する研究」から
「大学制度に関する研究」に一挙に切り替えることにしました。
父の存在からテーマを変更
「大学」のなかでも
「通信制大学」の研究にしたのは
父の存在が大きいです。
子どもの頃、私の父が
「通信制で大学を卒業するのが
いかに大変だったか」
ひんぱんに話していました。
父は若い頃
仕事をしながら「通信制大学」に通っていました。
兵庫で仕事をしながら、
年に1回東京の大学まで行き
夏季スクーリングを受けていた、といいます。
「仕事しながら
レポート書くだけでも大変やのに、8月に数週間有給休暇取って
スクーリングに行くのが
ホンマにしんどかった・・・」
というセリフは
なんど聞いたか分かりません。
「大変」と言っておきながら、
妙に達成感に満ちた表情を父がしていたのも
印象的でした。
そんなところから
テーマ決めの際、
以前 父がしょっちゅう口にしていた
「通信制大学」について
調べてみることにしたわけですね。
当時 ひとり暮らしをしていたこともあり、
ちょっと疎遠になっていた父のことが
調査によって理解できるような「期待」もあったのです。
結果的に、テーマを変えてよかった!
調べてみると、
私が扱ったテーマは意外と研究されていない点も多く、
研究のしがいがありました。
「研究計画書」を練り直し、
(途中 数ヶ月うつで中断する時期もありましたが)
無事修士2年生の間に修論を書き終え、
修了することができました。
系列校に通信制大学を持っている
「通信制高校」の教員になったのも、
もともとはこの「研究テーマの変更」が
根本的な理由となっています。
結果論ですが、
修士論文のために研究するうちに
父との疎遠さも改善されました。
今から思うと、
大学院進学時から持っていた「研究テーマ」を
「アッサリ」と切り替えたことが
いまにつながっているようにも感じています。
変えたときに
「自分に関わりが深いテーマ」
「自分の身内にとって切実なテーマ」に立て直したことで
研究のモチベーションもあげられたように感じられます。
私は自分の父親と関わりがある
テーマにしました。
もし全く自分に無関係なテーマを選んでいたら、
「モチベーション」を失っていたかもしれません。
「もし無関係なテーマを定めていたら、
大学院をやめていたかもな…」
といまも時折思うことがあります。
(修士2年のときに うつ だったことを考えると、
この可能性はかなり強いです)
今回のポイント
今回のポイントです。
「自分の身内にとって切実なテーマ」を選ぶ!
すると研究のモチベーションも維持できる!
大学院入試で研究計画を出す必要がある理由。
大学院入試では
「この受験生は
きちんと大学院で研究できるだけの
技能を持っているか」
を見るために「研究計画書」を書かせている側面も強いです。
(あとは「なぜ○○教授のゼミに入りたいのか」
という証拠としても使われます)
なので、指導教員と相談した上で
進学後 研究テーマを変える人も多いです。
ただし、途中でテーマを変える場合、
またイチから先行研究を調べ直すことにもなり
その点が大変ですね。
そんなとき、
「自分に関わりが深いテーマ」
「自分の身内にとって切実なテーマ」を選ぶと
モチベーションを維持して研究ができることが
多いように感じます。
研究計画書で悩んだ際・
研究テーマに悩んだ際、
参考にしてみてくださいね!
ではまた!
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