安易な思いで博士課程に行くと後悔する!『バッタを倒しにアフリカへ』を読んで知った、博士課程に行かないほうがいい人の条件

今回のポイント
博士課程は茨の道!
本当にその道に行きたいか、
真剣な決断を!

『バッタを倒しにアフリカへ』、めっちゃ面白い!

☆本日の内容は動画でもお伝えしています。
動画にしかない内容もありますので
気軽に聞き流してみてください。

  「私の夢はバッタに食べられること!」

『バッタを倒しにアフリカへ』
という本があります。

前野ウルド浩太郎さんの著書。

こういうとハーフの人っぽいですが、
生粋の秋田県民です。

前野さんの別名は
「バッタ博士」。

バッタ研究に情熱をかけ、
「いつかバッタに食べられるのが夢」
というクレイジーな想いを持った人です。

(著書にホントにそう書かれています)

ファーブルに憧れて昆虫学者に!

子どもの頃、
太っていたため
他の子どもと同じようには
走ることができなかったという前野さん。

走るのが遅いことから
遊びから「はぶかれる」ことも
多かったといいます。

そんな前野さんが疲れ果てて校庭に座り込んだ時、
足元を見るとそこには昆虫がいました。

「昆虫って、なんでこんな体なんだろう?
どうしてこんなに種類がたくさんあるんだろう?」

いつしか昆虫への興味が
ふつふつと湧いてきたのですね。

決め手になったのは
市立図書館で母が借りてきた
『ファーブル昆虫記』。

「自分もファーブルのような
昆虫学者になる!」

そう決意し、
そのまま人生をひた走っているというのが
前野さんです。

少年のときの思いのまま、
バッタ研究に明け暮れる生活を
今も送っています。

前野さんの著書
『バッタを倒しにアフリカへ』は
文体も面白く
一気に読んでしまいました。

「ファーブルのような
昆虫学者になる!」

そういう子ども時代の夢を
大人になってからも持ち続ける人って
純粋に尊敬します。

紆余曲折!バッタ博士の半生。

こんな前野さんですが、
人生はそんなに順調にはいきません。

前野さんは大学を出て
修士課程・博士課程を修了し
博士号まで取得します。

ところがそこで直面するのが
「仕事がない」という現実です。

たしかに非常勤の仕事なら
探せばあります。

ですがこういう仕事は
不安定です。

その上、前野さんが専門としているのは
サバクトビバッタという
アフリカにしかいない種類のバッタです。

日本にいても
研究なんてできません。

でも、だからといって
海外にいった場合、
日本人研究者を支援する仕組みもなければ
現地での生活が保証されているわけでもありません。

…それでも

「バッタの大群を研究したい!」
(バッタに食べられたい)

という夢を叶えるため
はるばるアフリカのモーリタニアまで
行ってしまうのが前野さんの行動力。

自分が研究したい事ができるだけでなく、
実はサバクトビバッタの研究は
世の中の役に立つというのが
決め手となりました。

現地ではバッタが大量発生する度に
農作物がことごとくバッタに食べつくされ、
結果これが貧困・飢餓の原因ともなっています。

自分がやりたいこともできるし、
世の中の役にも立つ。

であれば、
リスクも大きいけれど
アフリカに行ってしまおう!

そんな決意でアフリカに行った
前野さんの半生が本書に描かれています。

若手研究者の抱える深刻な現状

この本、現地での体験が綴られ、
面白おかしく読める本です。

ですがその明るさの裏に、
「若手研究者の抱える深刻な現状」が
透けて見えます。

それはつまり、
大学院に5年以上在籍し、
博士課程を修了、

そればかりか「博士号」まで取っても
なかなか仕事にありつけないという問題です。

意欲があって
結果も出している上、
研究成果が世の中の役に立つ。

にもかかわらず
仕事が見つからないという辛さ。

私も大学院にいた身として
良くわかります。

だからこそ、
前野さんの姿から

「博士号を取っても
仕事が見つからないことの問題性」

が痛いほど伝わってくるのです。

今回のポイント

今回のポイントです。

博士課程は茨の道!
本当にその道に行きたいか、
真剣な決断を! 

軽い気持ちで博士課程に行くと100%後悔する!

私は
「学生だけでなく、
社会人こそ大学院に行こう!」
と常々言っています。

ですが、ここでいう大学院とは
「修士課程(博士前期課程)のみ」
を意味します。

なぜかと言うと、
修士課程への進学は
社会人のキャリアアップに役立つと
考えているのですが、

博士課程への進学は
リスクが大きすぎると思っているからです。

修士課程への進学は
仕事の幅を広げたり、
専門スキルを磨いたり、
アカデミックな知を身に着けたりすることで
確実にキャリアアップにつながります。

ですが、博士課程は
「研究者養成」の色が強くなるため、
仕事のキャリアアップにはあまりつながりません。

その上、博士課程は
求められる研究水準も高いだけでなく、
出た後の「就職」も非常に困難です。

そのため、

「この分野をもっと勉強したい!」

「勉強が好きだから、
博士課程でももっと学んでいきたい!」

くらいの「軽い」気持ちで
博士課程に進学してしまうと地獄を見るのです。

(文系の場合は特にあてはまります)

前野さんの本では
研究がいかに楽しいかということが
伝わってきますが、

研究の大部分は地味な作業のため
ちっとも楽しくありません。

論文を読んでは
引用できる箇所を書き写してカードにまとめたり、

手書きアンケートの記述を
何日もかけてエクセルデータに打ち込んだり、

インタビューした内容を
テープレコーダーの再生・停止を繰り返しつつ
パソコンに言語データで入力したり。

研究のほとんどは
退屈かつ単調な作業ばかりなのです。

おまけに研究室にいたら
各種「雑用」もやらされることもあります。

そういう退屈・単調な作業をすることも含めて、
博士課程で研究し続けたいかどうか。

博士号を取ったとしても、
何年も仕事がない状態に
耐えられるかどうか。

ここの部分が曖昧だと
進学して後悔してしまうことが
多いでしょう。

私は大学院修士課程2年時に
うつになりました。

博士課程に行こう、とずっと思っていましたが

「本当に自分は
そこまで研究が好きなのだろうか?

仮に博士号を取っても、
何年も仕事が見つからない状況に
耐えられるだろうか?」

そう考えて
結局 博士進学を断念したのです。

今から思えば、
前野さんくらいのバイタリティと
「想い」がないと、

博士課程に進学しても
うまくやっていけないのだと思います。

…そんなわけで

「博士課程に進学して
博士号を取りたい!」

「博士課程を経て
大学教授になりたい!」

という方は一度現実を見つめ直した方が
いいなあ、と思います。

逆に言えば、

「大変なのは分かっているけれど、
俺はこれを研究したい!」

という思いがある人こそ、
大学院博士課程に進学すべきなのだと
思うのです。

私の周りにも
「なんとなく」博士課程に進学したせいで
苦労している人は何人もいます。

博士課程進学は
ぜひ慎重に考えてみてくださいね!

ではまた!


☆メルマガ登録後1通目が届かない場合はこちらをご確認ください。
メールが届かない場合

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください