ドラッカー『チェンジリーダーの条件』Part5 3章〜4章 読書会レジュメ

本書は『はじめて読むドラッカー』シリーズ
三部作の2冊目です。

「自己実現編」
「マネジメント編」
「社会編」と続く「マネジメント編」が本書です。

 

「企業はマネジメントが大事だ」

とよくいいますが、
そもそも「マネジメント」という概念を
作り出したのがドラッカーなのです。

読書会の中で
ドラッカーのマネジメント理論を
一緒に学んでいければ幸いです!

 

ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』読書会vol.7

2019年5月24日(金)13:00-15:00
@札幌駅前 作文教室ゆう
☆お申込み・詳細はFBイベントまたはこちらからどうぞ!

【範囲】
Part5 3章〜4章(223-268ページ)

☆は藤本のコメントです。

Part 5 起業家精神のマネジメント

 

今回の「一言まとめ」:
起業するにはベンチャーの戦略を知っておくこと!

3章 ベンチャーのマネジメント(223-240)

出典:『イノベーションと起業家精神』(1985)
「第15章 ベンチャー・ビジネスのマネジメント」

▼成功のための四つの原則(223-)

・「既存の組織にとって、
起業家精神の障害となるものは
既存の事業の存在だが、
ベンチャーにとって、
起業家精神の障害となるものは
既存の事業の欠落である」(223)

・ベンチャーにはアイデアや製品・サービスはあるが、
「確立された事業と呼べるものがない。
永続的な活動としての事業がない。
何を行い、何を成果とし、
何を成果とすべきかが明確な事業がない」(223)

→「ベンチャーは」「事業としてマネジメントしなければ
生き残れない」(223)

→例:アイデアも実行力もあったが
事業家としては成功しなかったエジソン。
それはマネジメントのためのチームを作らなかったから。

・ベンチャーが成功する4つの原則
(1)市場に焦点を合わせる
(2)財務上の見通しを持つこと(キャッシュフローと資金)
(3)トップマネジメントのチームを予め用意する
(4)創業者たる起業家自身が
自らの役割、責任、位置づけについて決断する

▼つねに市場中心で考える(224)

「ベンチャーが成功するのは、
多くの場合、予想もしなかった市場で、
予想もしなかった顧客が、
予想もしなかった製品やサービスを、
予想もしなかった目的のために買ってくれるときである。

ベンチャーは、この事実を踏まえ、
予期せぬ市場を活用できるよう自らを組織して
おかなければならない」(224)

→「市場志向、市場中心でなければ
単に競争相手のために機会をつくっただけに終わる」(225)

→予想外の使われ方をしても
憤慨してはならない

→しかしながら「まだ市場に出ていないものを
市場で調査することは不可能である」(226)

→「したがってベンチャーは、
自らの製品やサービスが、
思いもしなかった市場で、
思いもしなかった使われ方のために、
なじみのない素人の顧客によって買われることがあっても
当然との前提のもとに、
事業をスタートさせなければならない」(226)

→「予期せぬものを例外として片づけず、
機会として調べなければならない」(226)

→新たな市場は外へ出て、
「顧客やセールスマンと時間を過ごし、
見たり聞いたりすればよい」(227)

☆作文教室ゆうも
もとは「小中学生向け」で起業したが、
いまは「社会人」がメインである

・「ベンチャーに取り組む人は、
製品やサービスの意味を決めるのは、
顧客であって生産者ではないことを
つねに思い起こす仕組みを
つくっておかなければならない」(227)

→最大の危険は商品・サービスやその使いみちを
「顧客以上に知っていると思いこむ」こと(227)

・「起業は、顧客が持っているニーズを満足させることによって
対価を得る」(227)

▼財務上の見通しを立てておく(227-)

・設立間もないベンチャー特有の病:市場志向の欠如
・次の段階における最大の病:財務志向の欠如・財務政策の欠落

・拡大期のベンチャーの失敗原因
(1)今日のための現金がない
(2)事業拡大のための資本がない
(3)支出や在庫や債権を管理できない

・ベンチャー起業家は
「利益よりも、現金、資本、管理」を重視すべき(228)

・「成長には栄養が必要である。
成長するということは、資金の余剰ではなく、
資金の不足を意味する。
成長には、現金が必要である。
利益は虚構である」(228)

☆ベンチャー企業は
「現金」をどれだけ用意できるかにかかっている!

・慎重にキャッシュフローの予測と計画を行う!

・「つねに1年先を見て、
どれだけの資金が、いつごろ、
何のために必要になるかを
知っておかなければならない」(229)

→「ベンチャーの本質からして、
機会がもっとも大きくなるとき、
資金繰りがもっとも苦しくなる」(229)

・「成功しているベンチャーは、
自らの資本構造を超えて成長する」(229)

→知り合い・家族からの借り入れだけでなく、
株式公開や借り入れなどの資金調達も必要になる

・「ベンチャーは、マネジメントに必要な
財務のコントロールシステムを確立して
おかなければならない」(230)

→未収金・在庫・製造コスト・アフターサービスなど
1つをコントロールできなくなると
あらゆることをコントロールできなくなる

・「ベンチャーが成長していくためには、
それらの最重要項目について、
つねに3年先を見越し、
コントロールのシステムを確保して
いかなければならない」(231)

▼トップ・チームを構築する(231)

・市場も確保し、資金手当もコントロールシステムも構築していても
数年後に深刻な危機に陥ることがある

→「原因はつねに同じである。トップマネジメントの欠落である」(231)

→「対策は簡単である。
必要となる前に、前もって構築しておくことである」(231)

→創業者自身がいつまでも自らマネジメントするのではなく、
やがてはトップマネジメントのチームに引き継がせる
決意をしておかなければならない

・トップチームを作るためのポイント:

(1)創業者自身が、
事業にとって特に重要な活動について、
おもな人たちと相談しなければならない

→人のマネジメント・資金のマネジメント

(2)創業者などおもな人たちの一人ひとりが、
「自分が得意とするものは何か。
ほかの人たちが得意とするものはなにか」を
考えなければならんらい

(3)「それぞれの強みに応じて、
誰がいずれの活動を担当すべきか。
誰がどの活動に向いているか」を検討しなければならない

→「創業者といえども、
人事が得意でなければ、口を挟まないよう
自制しなければならない」(233)

(4)重要な活動のすべてについて、
目標を定めなければならない

・トップ・チームを作っていない場合、
「創業者は仕事の負荷に耐えられなくなり、
重要な仕事が行われなくなっている」(234)

考えられる2つのケース:
(1)創業者自身が能力と関心をも
1つか2つの活動に没頭したままでいるケース

(2)創業者が良心的過ぎる場合

・「ベンチャーは、
トップ・チームが実際に必要となるはるか前から、
それを構築しておかなければならない」(234)

→「創業者は、付き人をもつスターではなく、
チームのリーダーになることを
学ばなければならない」(235)

☆会社の規模が急速に大きくなる時期、
これまでと同じ方法では成長が落ちてしまう

☆プリクラを開発したアトラスの事例を思い出す

▼創業者はいかに貢献できるか

・創業者が考えるべき点:
(1)「客観的に見て、
今後、事業にとって重要なことは何か」(235)

→考えるべきは「自分が何をしたいか」、ではない!

→事業が大きく伸びたとき、
さらには、製品、サービス、市場、
あるいは必要とする人材が大きく変わったとき、
必ず自問しなければならない」(235)

(2)「自分の強みは何か。
事業にとって必要なことのうち
自分が貢献できるもの、
他に抜きん出て貢献できるものは何か」(235)

→「この問いを徹底的に考えて、
初めて「自分は何を行いたいか。
何に価値を置いているか。
残りの人生とまではいかなくとも、
今後、何をしたいか」
「それは事業にとって本当に必要か。
基本的かつ不可欠な貢献か」を
問うことが出来る」(235-236)

▼自分の得意、不得意を考える(236)

・ときには創業者が手を引くべきこともある

・「「自分は何が得意で何が不得意か」との問いこそ、
ベンチャーが成功しそうになったとたんに、
創業者たる起業家が直面し、
徹底的に考えなければならない問題である」(238)

・本田宗一郎は
エンジニアリングと製造以外は
何もやらないと決めたからこそ
うまく行った(藤沢武夫に任せた)

☆この「誰かに任せる」というのが
思いの外難しいもの。

▼相談相手を持つ(239)

・「これらの例は、
ベンチャーの創業者には、
外部の人間の客観的な助言が必要なことを
教える」(239)

→「創業者の判断やその強みを
問題にできる人物が必要である」(239)

→「ベンチャーが見通しと規律を必要とするのは、
起業家精神を維持し、
強化するためである。
成功がもたらす要求に応えるためである」(240)

→「何よりも、ベンチャーは責任を必要とする。
まさに、起業家がこの責任を果たせるようにすることが、
起業家マネジメントである」(240)

☆ドラッカーにとっては
企業自体が社会への貢献を果たしている以上、
そのための努力を怠る企業をみるのが
嫌なのだろう。

 

4章 起業家が取るべき戦略(241-268)

出典:『イノベーションと起業家精神』(1985)
「第16章 総力による攻撃」
「第17章 弱みへの攻撃」
「第18章 ニッチの占拠」
「第19章 価値の創造」

 

▼4つの戦略(241)

・「起業家精神を発揮するには、
起業家マネジメント、
すなわち組織の内部に関わるいくつかの原理と方法が
必要である」(241)

→「これに加えて組織の外部、
すなわち市場に関わるいくつかの原理と方法が
必要である。
これが起業家戦略である」(241)

→起業家戦略こそ重要

・起業家戦略は4つある
(1)総力戦略
(2)ゲリラ戦略
(3)ニッチ戦略
(4)顧客創造戦略


市場支配を狙う 総力戦略
他社の手薄なところを狙う ゲリラ戦略 ( 創造模倣戦略 . 柔道戦略 )
他社が狙わない隙間を占拠する ニッチ戦略( 関所戦略 . 専門技術戦略 . 専門市場戦略 )
既にあるものの価値を新しい価値に変える 顧客価値創造戦略
こちらのサイトより  

▼総力戦略 市場の支配を目指す(242)

・総力による攻撃:最高の起業家戦略とされる
→多くの起業家が取るが、
成功率が高いわけでも、戦略として優れているわけではない

→成功すれば成果が大きいが
ギャンブル性が高い
(命中しなければ失敗してしまう)

→「イノベーションが事業として成功したあと、
本当の仕事が始まる。
トップの地位を維持していくための継続的な努力が
必要となる」(244)

→「次世代の製品やプロセスを開発するために、
最初の成功をもたらしたと同じだけの努力と
資源を投入しなければならない」(244)

☆富士フィルムは
レンズ付きフィルムの成功後、
その技術を使って化粧品も開発している

・「強い意志がなければ失敗する。
努力が十分でなければ失敗する。
イノベーションとしては成功しても、
十分な資源を投入しなければ失敗する」(244)

▼創造的模倣戦略 ゲリラ戦略①(245)

・ゲリラ戦略:弱点を突く攻撃

→「この戦略は模倣である。
起業家は、すでに誰かが行ったことを行う。
しかし、最初にイノベーションを行った者よりも、
そのイノベーションの意味をより深く理解するがゆえに、
より創造的である」(245)

→総力戦略同様にトップの地位を目指すが、
リスクははるかに小さい。
「最初にイノベーションを行った者が、
すべてのことを行い、
市場を独占することは、それほど多くない」(247)

→「創造的模倣戦略は、
顧客の目から製品やサービスを見る」(247)。
「製品ではなく市場から、
生産者ではなく顧客からスタートする」(247)

→弱点:「リスクを分散させようとして、
誤ってエネルギーを分散させる危険がある」(248)

▼柔道戦略 ゲリラ戦略②(248)

・ベル研究所の作ったトランジスタを
ソニーが破格の安値でライセンスを取得し
ラジオを開発した。

・「日本企業は、アメリカ企業に対し、
柔道戦略をとることによって何度も成功してきた」(249)

→新規参入者が成功しやすい手法である

☆他が取らない戦略を取ることが柔道戦略か?

▼新規参入者に市場を奪われる原因 5つの悪弊(251)

・「新規参入者に、柔道戦略を使わせ、
急成長させ、トップの地位を得させてしまうのは、
先行者に共通して見られる5つの悪弊の
いずれかが原因である」(251)

(1)自分たちの発明ではないという傲慢な態度
(2)いいとこ取り:もっとも利益の上がる部分だけを相手にする
(3)価値についての誤解
(4)創業者利益なる錯覚
(5)多機能の追求 ☆何でもかんでも性能を詰め込む

・「柔道戦略を使う者は、(…)
トップ企業が本気で守ろうとしない海岸の一部を
確保する。
そこで市場と売上を手に入れると、
次の一部を確保する。
やがて島全体を確保する」(253)

▼関所戦略 ニッチ戦略①(253)

・隙間(ニッチ)の占拠を目指す

・ニッチ戦略は3つある
(1)関所戦略
(2)専門技術戦略
(3)専門市場戦略

☆ニッチ戦略といっても
いろんな種類がある

・関所戦略:「一社だけが占拠でき、
しかもあまり小さく目立たないために、
競争相手が現れようのない、
まさに生態学的なニッチでなければならない」(254)

→問題点「ひとたび適所を占めてしまえば、
大きな成長は見込めない」(255)

→「関所は、難攻不落である。
だが、その守備範囲は狭い」(255)

▼専門技術戦略 ニッチ戦略②(255)

・「専門技術戦略を使うためには、
どこかで何か新しいこと、
つけ加えるべきこと、
あるいはイノベーションが起こらなければ
ならない」(256)

→条件1:「新しい産業、市場、傾向が現れたならば、
できるだけ早く、専門技術による機会を体系的に
探さなければならないということである」(257)

→条件2:「独自かつ異質の技術をもたなければならない」(257)

→条件3:「専門技術戦略によって
ニッチ確保に成功した企業は、
たえずその技術の向上に務めなければならない(…)
まさに、自らの手によって、
自らを陳腐化していかなければならない」(258)

・専門技術戦略の限界
(1)「焦点を絞らざるをえないこと」(258)
(2)「ほかの者に依存しなければならないということ」(258)
(3)「専門技術が専門技術でなくなり、
一般化してしまうこと」(258)

☆フリーランスはだいたいこの「専門技術戦略」を取っています。
この「限界」は気をつけていなければなりませんね!

▼専門市場戦略 ニッチ戦略③(259)

・専門技術戦略:製品やサービスの専門知識が中心
・専門市場戦略:市場についての専門知識が中心

・「専門市場は、
「この変化には、ニッチ市場をもたらすいかなる機会があるか。
他に先がけて、それを手に入れるには何をなすべきか」を、
徹底的に問うことによって手にできる」(260)

・厳しい条件:
(1)「新しい傾向、産業、市場について、
つねに体系的に分析を行っていかなければならない」(260)

(2)「とにかく何らかの
イノベーションを加えなければならない」(260)

(3)「製品とサービスの向上、
特にサービスの向上のために、
休まず働かなければならない」(261)

▼効用戦略 顧客創造戦略①(261)

・これまで述べてきた起業家精神:
イノベーションの導入の仕方が戦略だった

→ここからの戦略はイノベーション自体が戦略である。
「経済的にはまったく新しい価値を創造する」(262)

・共通項:「いずれも顧客を創造する。
顧客の創造こそ、
つねに事業が目的とするものである」(262)

・顧客創造戦略:
(1)効用戦略
(2)価格戦略
(3)事情戦略
(4)価値戦略

・効用戦略:価格はほとんど関係ない。
「顧客が目的を達成するうえで必要な
サービスを提供する。
顧客にとって「真のサービスは何か」
「真の効用は何か」を追求する」(262)

▼価格戦略 顧客創造戦略②(263)

・商品やサービスではなく「価値」を売る

→カミソリを売ろうとするのでなく
「安全にひげそりが安く出来る」という価値を売った
ジレット

→「コピー1枚いくら」という
サービスを設定したことで
コピーをとるという需要が生まれた

→「支払の方法を、
消費者のニーズと事情に合わせればよい。
消費者が実際に買うものに合わせるだけのことである。
供給者にとってのコストではなく、
顧客にとっての価値に対し価格を設定すればよい」(264)

▼事情戦略 顧客創造戦略③(264)

・顧客の事情に対応する戦略
→分割払いを可能にするなど

▼価値戦略 顧客創造戦略④(266)

・「顧客創造戦略としての価値戦略は、
メーカーにとっての製品ではなく、
顧客にとっての価値を提供する。
この戦略は、顧客の事情を、
顧客のニーズの一部として受け入れるという
前述の戦略の延長線上にある」(266)

・モノでなく価値を売る

→「まさに起業家は、
自らが賢いからではなく、
ほかの者が何も考えないから成果をあげる。
わかりきったことであるがゆえに、
成果をあげる」(267)

・「顧客がどれだけ支払うかは顧客次第である」(267)。
原価や利益幅は関係ない

・「起業家戦略の基礎としてマーケティングを行う者だけが、
市場におけるリーダーシップを、
ただちに、しかもほとんどリスクなしに
手に入れているという事実は残る」(268)

☆ついに『チェンジリーダーの条件』も読了です!☆


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