ドラッカー『チェンジリーダーの条件』Part3 読書会レジュメ





本書は『はじめて読むドラッカー』シリーズ
三部作の2冊目です。

「自己実現編」
「マネジメント編」
「社会編」と続く「マネジメント編」が本書です。

 

「企業はマネジメントが大事だ」

とよくいいますが、
そもそも「マネジメント」という概念を
作り出したのがドラッカーなのです。

読書会の中で
ドラッカーのマネジメント理論を
一緒に学んでいければ幸いです!

 

ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』読書会vol.3

2018年11月30日(金)13:00-15:00
@札幌駅前 作文教室ゆう
☆お申込み・詳細はこちら

【範囲】
Part2 4章(63-76ページ)
Part3   (77-110ページ)

 

Part 3 マネジメントの責任

1章 企業の所有者が変わった(79-)

出典:『未来企業』(1992)
「第31章 会社の統治」

▼年金基金の台頭(79)

・ドラッカーの命名した「見えざる革命」
→アメリカにおける企業の所有の実態を変えた
→上位20の年金基金が上場企業の株式の1割を保有している

→「年金基金が、
支配的な(企業の)所有者かつ
債権者として登場してきたことは、
経済史上最大の権力構造の変化を意味する」(79)

・注意を向けるべき2つの問題:
(1)「アメリカの新しい所有者つまり年金基金は、
企業のマネジメントに対し、
いかなる責任を持たせなければならないか」(80)

(2)「責任を果たさせるためにはいかなる
組織構造を実現しなければならないか」

☆現在はどうか?

☆この部分はドラッカーの主張の「白眉」である。
年金基金、つまり「労働者」自身が
企業の所有者になるという未来像の予想である

▼もはや投資家ではない(80)

・年金基金がアメリカ株式資本の主たる所有者となった:
1970年代のはじめ

・「いまやアメリカの年金基金は、
取引先企業に対するドイツのメインバンクや、
系列企業に対する日本企業と同じように、
投資先の企業に全面的にコミットしたも同然である」(81)

・「とは言っても、年金基金は、
19世紀の所有者のように、
自らが企業のマネジメントとなることはできない。
しかも企業は、権限と能力をもつ強力で
自立したマネジメントを必要とする」(81)

▼成果と仕事に対する責任(81)

・「こうして年金基金は、新たな(企業の)所有者として、
企業が適切なマネジメントを行っているかどうかを
確かめなければならなくなった」(81)

・「責任は、善き意図に対してではなく、
仕事と成果に対してももたされなければならない」(81)

・「仕事と成果を明確に定義することは、
効果的なマネジメントと、利益のあがる所有権にとっての
前提条件である」(82)

▼利害当事者のためのマネジメント(82)

・1950年ごろの代表的なプロ経営者コーディナーの定義:
「上場企業のトップマネジメントは、受益者である」(82)

→「その責任は「株主、顧客、従業員、供給業者、
工場所在地の地域社会の間の、利害をバランスさせる」ことである」(82)
とした(今日の「ステークホルダー」(利害当事者)の考え方

→この考えの問題点:
成果の定義もバランスさせることの意味も曖昧だった。
そのため、プロのマネジメントが「啓蒙専制君主」(82)と
なってしまう問題点がある

→この結果、1950年代型のマネジメントは
仕事もできず長続きもしなかった

・1950年代型マネジメントへの
強烈な攻撃:1970年代以降の敵対的買収の頻発

→「今日、私の知るかぎり、
利害当事者の利益をバランスさせるべく
企業をマネジメントしていると言っている
トップマネジメントは、1つもない」

・この変化を加速したのが年金基金である

→あらゆる年金基金が同じように行動した。
「年金基金は株式を売却することができるという考え、
つまり投資家であるという幻想を持っていた」(83)

→「乗っ取りは、売却益を提供してくれる。
年金基金の運用は、概して成績が良くない。
売却益はありがたい。しかしそのような売却益も、
結局は幻想であり、現実ではないことが明らかになった」(83)

・乗っ取りを避けられなくしたもの:啓蒙専制君主たるマネジメントが原因

→「仕事と成果についての明確な定義をもたず、
誰に対しても明確な責任をもたないマネジメントの
凡庸な仕事ぶり」(83)のため

☆ドラッカーは「定義」を重視する

・結果的に乗っ取り屋が横行した。

→「しかも乗っ取られたあと、
経営がよくなった企業はほとんどない」(84)

→株主にとっても、結局はマイナスの意味しかもたない

→「このように、財務上の価値さえ、
年金基金全体にとっては疑わしいものでしかない」(84)

▼株主のためのマネジメント(84)

・今日のアメリカの大企業CEOの考え方:
「シェアホルダー(株主)の利益」「株主にとっての価値」を
最大化するために企業をマネジメントしている(84)

・しかし「「株主にとっての価値」を最大化するということは、
半年あるいは一年以内に株価を高くすることを意味する。
それ以上の長期ではありえない」(85)

→「「株主にとっての価値」を最大化することは、永続しえない」(85)

・年金期間の投資期間は平均15年なので、
株主にとっての価値を重視するのは問題が生じる

→短期の資本利得で利益を得るのは
受益額確定型プランをもつ雇用者のみである

→この受給額確定型年金基金は
概して運用成績がよくない

・「むしろ、雇用主が、
従業員の年間給与もしくは賃金の一定割合を
毎年拠出する拠出額確定型年金基金のほうが、運用成績がよい」(86)

→「こうして、受給額確定型年金をやめる企業が増えつつある」(86)

→「今日、すでに受給額確定型年金は脇役でしかない」(86)

・「もはや、大企業の仕事と成果の定義について理論化を試みる必要はない」(86)
→ドイツ企業や日本企業の成功例:所有権は機関投資家に集中。
所有者は自らマネジメントを行っていない

▼「冨の創出能力」を最大化する(87)

・ドイツや日本の産業を所有する機関投資家は
マネジメントの仕事と成果を、どう定義していたのか?

→両者の仕事と成果の定義は同じだった。
「バランス」ではなく「最大化」させようとした

→短期的な株の売買ではなく
「「富の創出能力」を最大化させようとした」(87)

→「この目標こそ、株主・顧客・従業員など
あらゆる利害当事者を満足させる上で必要なものである」(87)

・「富の創出能力」の定義に向けての第一歩が、
私の『現代の経営』(1954年)だった。

→「この私の著作の後、
マネジメントの分析家たちが、
それらの目標を具体的な仕事に転換するための
方法について膨大な作業を行っている」(88)

→「もちろん、それらの目標すべてを統合するものが
財務上の目標である。
まさしく財務上の責任こそ、
マネジメントの仕事ぶりにとって鍵となるものである」(88)

▼マネジメントの仕事ぶりを評価する(88)

・アメリカには解決しなければならない問題がもう1つある:
「マネジメントの責任についての定義を、いかにして
制度的な構造に組み込むかという問題」(88)

→最大の年金基金さえ、
ごくわずかな株式しか保有していないため、
特定の企業を支配することは出来ない

・事業監査と呼ぶべき分析が、
独立した専門機関で行われなければならなくなる

→「3年に1度ぐらいで十分だろうが、
事前に定められた基準に基づき、使命と戦略の見直し、
マーケティング、イノベーション、
生産性、人材育成、社会的責任、
利益についての監査が行われるようになる」(89)

→「必要なことは、それらの項目を体系的な手順にまとめることである」

・「10年後には、
主要な年金基金が、
外部の専門事務所による事業監査を受けていない企業の株式や
社債には投資しなくなると予想することは、
さほど的外れではない」(89)

・「取締役会かは、その企業にコミットする協力な所有者を代表するとき、
初めて効果をあげることができる」(90)

・「年金基金は、19世紀の大富豪とは異質の所有者である」(90)

→年金基金は企業の所有者である。
「年金基金はそのような存在として、
権力以上の責任をもたらされている。
それは、アメリカのもっとも重要な存在としての
大企業の仕事ぶりと成果を確実なものにするという
責任である」(90)

☆いまはどうなっているんだろうか?

2章 いかにして社会的責任を果たすか(91-)

出典:『マネジメント』(1973)
「第25章 社会的インパクトと社会問題」
「第26章 社会的責任の限界」
「第28章 知りながら害をなすなーー社会の倫理」

 

▼組織の存在理由(91)

・社会的責任の問題:2つの領域において発生する

(1)それぞれの組織自身が社会に与える影響:
組織が社会に対して行ったことに関わる責任

(2)社会自体の問題:
組織が社会のために行えることに関わる責任

・「現代の組織は、
それぞれの分野において、
社会に貢献するために存在する」(91)

→それだけにとどまらず雇用を生むなどの
貢献を果たしている

・病院の目的は患者の世話をすること。
しかし目的を達成するために
看護師や料理人の雇用が必要になる

・「そもそも組織は社会の機関である。
したがって、組織は社会そのものの問題から
影響を受けざるをえない」(92)

・「マネジメントが社会の病気を作ったわけではないが、
社会が健康であることは、組織のマネジメント自身にとって不可欠である」

▼社会に与える影響に対する責任(92)

・第一の原則:自らが社会に与えた影響について責任がある

→世論が反対していなくとも、
社会に対する影響に対する責任がある

→フォードの例:シートベルト付きの車の売上がどれだけ少なくても、
社会に対する影響を考えて販売し続けていれば
15年後に批判されることがなかった

▼いかにして対処するか(93)

・「社会的影響に対処するには、
まずその全貌を明らかにしなければならない」(93)

→明らかにした影響をいかに処理するかの目標:
「社会、経済、地域、個人に対する影響のうち、
その組織の目的や使命の達成に不可欠なもの以外は、すべてなくすこと」(93)

→影響を与える原因をなくすことで解決するならそれが最善の解決。
でも、ほとんどそういう事ができないので、ゼロにする、あるいは
「最小限にとどめるための組織的活動が必要となる」(93)

・そのための理想とすべきアプローチ:
「影響を取り除くことを、そのまま事業にすること」(93)

→デュポン社は汚染から除去した物質によって
新製品を開発した

・「影響の除去を事業上の機会に変えることは、
つねに試みなければならない」(94)

→しかし多くの場合はコスト増をもたらすので、
同じルールで他者を従わせるため、
規制が必要となる

・「したがって、
影響を除去する上でコスト増がさけられない場合には、
マネジメントたるものは、
産業と社会の双方にとり
最小のコストで最大の効果を可能とする
方法を考えなければならない」(94)

☆公害対策などがこの例に当たる。
それにしてもこういった問題も
機会(チャンス)に変えるという発想は素晴らしいと思う。

・規制も重要

→「将来の危機を回避するためにとる行動については、
いかなる反対や抵抗も問題とすべきでない。
放っておけば、最終的には、企業の罪とされる」(95)

・もちろんトレードオフが必要になる

→社会への影響とコスト・便益の関係

・「社会的影響に対する責任は、
マネジメントの責任である。
ただし、それは社会に対する責任ではなく、
自らの組織に対する責任である」(95)

▼社会の問題を機会に変える(95)

・社会の問題は
「企業のマネジメントにとっては、
一つの大きな挑戦である。機会の源泉である」(96)

→「なぜならば、社会の問題の解決を事業上の機会に
転換することによって、
社会の要請に応え、
同時に自らの利益とすることこそ、
企業の機能であり、
ある程度はほかの公的機関の機能でもあるからである」(96)

☆プリウスは社会の問題も解決しつつ、
なおかつ機会の源泉にもなった

・「変化をイノベーションに転換すること、
すなわち変化を新事業に転換することが、
企業の使命である」(96)

・「企業の歴史を通して、
社会的なイノベーションは、
技術のイノベーションよりも
大きな役割を果たしてきた」(96)

→「社会の問題を事業上の機会に
転換するための最大の機会は」
「社会的なイノベーションである」(96)

→「社会の問題は、
それを事業上の機会に転換すれば問題ではなくなる」(96)

▼社会的責任の限界(98)

・「マネジメントは召し使いである。
主人は、彼がマネジメントする組織である。
したがって、マネジメントの責任とは、
自らの組織に対する責任である」(98)

→「マネジメントの役割は、
企業、病院、学校、大学の別を問わず、
その組織を機能させ、
その目的、使命とする貢献を果たさせることである」(98)

・「いかなる組織といえども、
もしその本来の機能を遂行するという責任を果たせなければ、
他のいかなる責任も果たせない」(99)

→「つまるところ、
マネジメントたるものは、
リスクを負い将来の活動に着手するうえで
必要な利益の最低限度を知っておかなけれなならない」(99)

→「経済的な能力の限界を無視して、
経済的に負担しきれない社会的責任を引き受けたとき、
その企業は必ず苦境に立たされる」(99)

→「特に組織は、
自らの価値体系に合致しない課題に取り組むことは
避けなければならない」(100)

☆何でもかんでも
「社会貢献だからやるべき」というわけではない

→「したがって、マネジメントたるものは、
少なくとも、自らと自らの組織にとって
欠けている能力が何であるかを知っておく必要がある」(100)

→企業は目標を設定でき、
成果を測定することができるよう工夫すれば、
成果を上げやすくなる

▼権限の限界を知る(101)

・「社会的責任に関してもっとも重要な限界は、
権限の限界である」(101)

→「企業が責任を要求された場合、
必ずそれについて「権限をもっているか、
もつべきか」を自問しなければならない」(101)

▼組織が果たすべき最大の貢献(103)

・「企業をはじめあらゆる組織が、
社会にとって深刻な病について関心を払わなければならない。
もしできれば、それらの問題を自らの業績と貢献のための
機会へと転換しなければならない」(103)

・先進社会の特徴:
「社会的な課題のほとんどが、
それぞれ自立したマネジメントをもつ組織によって
果たされているところに特徴がある」(103)

→「最大の社会的責任とは、
(☆それぞれの組織が)
それぞれの機能を遂行することである」(103)

→「最大の社会的無責任とは、
能力以上の課題に取り組み、
あるいは社会的責任の名のもとに
他から権限を奪うことによって、
自らの機能を遂行する能力を損なうことである」(104)

▼プロフェッショナルの倫理(104)

・これまで語られてきた「企業倫理」:
ほとんどが企業に関係ないことであった

(1)まったく単純な日常の正直さ:
→これは個人に関わる問題である。
ビジネスの倫理というものが別にあるわけでない

(2)美意識の問題:
→これもビジネスの倫理というものではなく
個人に関わるものである

(3)新たに付け加えられたもの:
「マネジメントたるものは、
地域社会において積極的かつ建設的な役割を果たす
倫理的な責任があるとの説」(105)

→一市民として重要でも、
これは仕事の外にあるもの、
マネジメントに関わる責任から外れることである

・「マネジメントにある者はすべて、
主導的な地位にあるグループの一員として、
プロフェッショナルの倫理を要求されている。
すなわち責任の倫理を要求されている」(106)

☆本業以外の「社会貢献」は、
個人としては立派なことでも、
企業としてそれを目的にしてしまうのは間違いだ、
という指摘だろう。

▼「知りながら害をなすな」(106)

・プロフェッショナルの責任は
ヒポクラテスの誓いにハッキリ表現されている:
「知りながら害をなすな」(106)

→「プロたるものは」「最善を尽くす」ことが求められる

→「しかし、知りながら害をなすことはしないとの
約束はしなければならない」(106)

→「プロたるものは自立していなければならない。
依頼人によってコントロールされたり、
監督されたり、
指揮されたりしてはならない」(106)

→「プロたるものは自立した存在であり、
政治やイデオロギーの支配に従わないという意味において、
私的である。
しかし、その言動が
依頼人の利害によって制限されているという意味において、
公的である。
このプロの倫理の基本、
すなわち公的責任の倫理の基本が、
「知りながら害をなすな」である」(107)

☆リコール騒ぎや個人情報保護の原則違反も、
問題があるのを知った時点で
世の中に知らせていく義務がある。
これが「知りながら害をなすな」ということだろう

アメリカのマネジメントが
「知りながら害をなすな」の原則を守っていない例

(1)所得格差:
→実際はほとんど税に持って行かれる
→「致命的なことは不平等化の錯覚」であり、
「原因の根本は税制にある」(108)

☆いまCEOと従業員の所得格差は5000倍というところもあるから
ドラッカーの批判はあたらないのでは?
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56646

(2)従業員に与える報酬:
ストックオプションやボーナスなどは
「従業員を雇用主のもとに縛る働きをしている」(108)

(3)「話す言葉によっても、
一般市民が経済の現実を理解することを不可能にしている」(109)

→「実際のところ、
マネジメントが一般市民に向かって話しかける言葉のなかには、
利益を正当化でき、
利益の存在を説明し、
利益の機能について述べているものは、一つとして見られない」(110)

→利潤動機は企業にとって必要不可欠にもかかわらず、
それをマネジメントが話さないのが問題

・「知りながら害をなすな」は
「守ることの容易な原則ではない。
だがまさに、この地味さこそがこの原則を、
マネジメントの倫理、すなわち責任の倫理にとって
ふさわしい原則としている」(110)

 

 


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