ドラッカー『チェンジリーダーの条件』Part5 1章〜2章 読書会レジュメ

本書は『はじめて読むドラッカー』シリーズ
三部作の2冊目です。

「自己実現編」
「マネジメント編」
「社会編」と続く「マネジメント編」が本書です。

 

「企業はマネジメントが大事だ」

とよくいいますが、
そもそも「マネジメント」という概念を
作り出したのがドラッカーなのです。

読書会の中で
ドラッカーのマネジメント理論を
一緒に学んでいければ幸いです!

 

ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』読書会vol.6

2019年3月15日(金)13:00-15:00
@札幌駅前 作文教室ゆう
☆お申込み・詳細はFBイベントまたはこちらからどうぞ!

【範囲】
Part5 1章〜2章(193-221ページ)

☆は藤本のコメントです。

Part 5 起業家精神のマネジメント

 

今回の「一言まとめ」:
新しい時代には新しい行動を!
チーズがあった場所ではなく、
チーズが次に置かれる場所を探す!
(『チーズはどこへ消えた?』)

1章 予測できないことを起こす(195-211)

出典:『創造する経営者』(1964)
「第11章 未来を今日築く」

▼明日をつくるために今日何をなすべきか(195-)

・未来についてわれわれが知っていること:
(1)未来は知りえない
(2)未来は今日存在するものとも、
今日予測するものとも違う

→つまり、
「今日の行動の基礎に、予測を据えても無駄」(195)であり、
「予測できないことを起こすことは可能」(195)である。

→リスクを恐れず行動していく!

・リスクや不確実性をなくすことはできない。
「できるのは、適切なリスクを探し、
ときにはつくり出し、
不確実性を利用することだけである」(195)

☆あなたにとって、
未来の「リスク」はなんですか?
「不確実性」をどうやって利用できますか?

・大事なのは「明日をつくるために今日何をなすべきか」(195-196)
を決めること

→「すでに起こった未来を予期すること」と
「自ら未来を発生させること」が必要。

▼「すでに起こった未来」を探せ(196)

・変化はすでに起こっている。
これは「企業の内部ではなく外部にある。
すなわち、社会、知識、文化、産業、経済構造における
変化である」(196)

→これは「パターンそのものの断絶」(196)として現れる

☆人口変化から経済を考えるべきことを
ドラッカーは主張しています

☆いま「AI」や「自動運転」などが大きな変化として見えていますが、
こういう変化は産業革命の時にも見られたものです。
大事なのはその「すでに起こった未来」にどう対処していくか、です。

▼どこに「未来」を探すか(198)

・すでに起こった未来は体系的に見つけることが可能。

(1)人口構造
→この変化はもっとも逆転しにくい上に
影響が早く出る

(2)知識の領域
→新知識によって会社のあり方も変化しているはず。
したがって、「現在の企業に直接の関係のあるなしに
かかわらず、あらゆる知識の領域において、
すでに起こった未来を探さなければならない」(198)

(3)他の産業・他の国・他の市場
→「われわれの産業、国、市場を変える可能性のあることは
起こっていないか」を考える

☆デス・バイ・アマゾンは
まったく関係ない業種でも起きています

☆かつての日本の隆盛が、
いま中国やミャンマーでも起きています

(4)産業構造
→材料革命も起きている
例)アメリカの缶メーカーは
将来の変化への対応のため
ガラス・紙・プラスチック容器メーカーを買収している

(5)企業内部
・その一つが企業内の摩擦
→新しい活動が既存の活動に変化を起こし
対立する

まとめ
「競争相手が、達成された目的をさらに達成すべく
相も変わらず同じ努力をしているとき、
目的が達成されたことを認識し
努力の方向を転換した企業が、
明日のリーダーシップを握る」(201)

▼新しい現実が見える(201)

「ほとんどの人は、
すでに見てしまったものしか想像できない。
一般に受け入れられている予測というものは、
実は、未来についての予測ではなく、
最近起こったことについての報告であることが
多い」(202)

☆重要な指摘。
自動運転のクルマも
実物を見ることではじめてリアリティを実感できる。

例)アメリカにおける自動車の普及
→30年後に自動車が輸送手段の中心になるという
予測に対し、「それはすでに起こっているのではないか」と
いう問をたてた人物がいる

最後に発すべき問い
「われわれ自身は、社会と経済、
市場と顧客、知識と技術をどう見ているか。
それは、いまも有効か」(202)

☆決めつけは創造性を阻害してしまう。
(「札幌ではうまくいかない」など)

☆実際に考えてみましょう

・「すでに起こった未来を見つけ、
その影響を見ることによって、
新しい知覚がもたらされる。
新しい現実が見える。
まず必要なことは、
見えるようにすることである」(203)

→まずは「すでに起こった未来」を見つけよう!
→変革のための意思決定を行うことが可能になる!

☆「すでに起こった未来」、
実際にはどんなものがありますか?

▼「ビジョン」を実現する(204)

「未来において何かを起こすということは、
新しい事業をつくり出すことである。
すなわち、新しい経済、新しい技術、
新しい社会についてのビジョンを
事業として実現するということである」(204)

→このビジョンは「今日の常識とは違うものでなければならない」(204)

☆聖書にある「新しい革袋には新しいぶどう酒」を思い出す

・(ビジョンに対する誤解を解く)
「「未来の社会はどのようなものになるべきか」
という社会改革家や、革命家や、哲学者の問いから
答えは出てこない。
起業家的なビジョンの基礎となるものは、
「経済、市場、知識におけるいかなる変化が、
わが社の望む事業を可能にし、
最大の経済的成果を可能にするか」との問いである」(204)

→起業家的なビジョンは
「一つの狭い領域についてのものであるという事実にこそ、
活力の源泉がある」(205)

→「成功に必要なものは、
ある小さな特定の発展だけである」(205)

シアーズ・ローバックの例)
「「いかにして田舎の農民を
小売業の顧客にすることができるか」
という問いからスタートした。

答えは「都市と同じように、
信頼できる製品を低価格で
手に入れられるという保証を与えれば良い」という
簡単なことだった」(206)

☆あれこれやらず、エネルギーを1点に集中せよ!
そして現状に対する問いを立てよ!

・「偉大な起業家的イノベーションは、
理論上の仮説を現実の事業に転換することによって、
これまで実現されてきた」(206)

▼天才の創造性はいらない(207)

「未来において何かを起こすには、
特に創造性は必要ない。
必要なものは、天才の業ではなく
仕事である」(207)

→「平凡なビジョンが、しばしば成功する」(207)

→「意味があったのは、才能ではなく、勇気だった」(208)

・「未来において何かを起こすには、
進んで新しいことを行わなければならない。
「今日とはまったく違う何が起こることを
望むか」を進んで問わなければならない。

・「意味なく強調されている創造性なるものは、
問題の鍵ではない」
「欠落しているのは、
製品を超えて構想することである」(208)

☆いまある商品を
もう一度「ゼロベース」で考えてみる

☆「私、創造性がなくて…」というのは
言い訳。大事なのは行動する勇気!

・「ビジョンを成功に導く商品やプロセスは、
現在の事業と関係のない研究から出てくることが多い」(208)
☆Googleの「20%ルール」

・新たなビジョンに資源を委ねるには勇気を必要とする。
「未来において何かを起こすために投入する資源は
少しで良い。
ただし、それは最高のものでなければならない」(208)

・「ビジョンは、実用的な有効性を
もたなければならない」(209)

・「ビジョンの有効性の基準は(…)
経済的な成果であり、業績である」()209

☆企業は空想的なビジョンで動いてはいけない!

・「最後に、全人格的な献身が必要とされる。
「そのビジョンを心から信じているか。
本当に実現したいか」
「本当にその仕事をしたいか。
本当にその事業を経営したいか」である」(209)

☆このあたりは「首尾一貫性」でもあります。
経営者がどんな人物か、
どれくらい熱心に仕事しているかにかかっているのです。

・「未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。
努力を必要とする。
信念を必要とする。
その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、
未来はつくれない。
目の前の仕事では足りない」(210)

「したがって、ビジョンに対する全人格的な
献身と信念がないかぎり、
必要な努力も持続するはずがない」(210)

▼未来において何かを起こす責任(211)

・「今日最強の企業といえども、
未来に対する働きかけを行っていなければ、
苦境に陥る」(211)

☆『平成はなぜ失敗したのか』を思い出す

・「マネジメントたるものは(…)
未来において何かを起こす責任を
受け入れなければならない」(211)

「進んでこの責任を引き受けること、
すなわち企業における最大の経済的課題に
関わる責任に意識的に取り組むことこそ、
単なる優れた企業から
偉大な起業を区別し、
サラリーマンから事業家を峻別するものである」(211)

2章 既存の企業がイノベーションに成功する条件(213-221)

出典:『イノベーションと起業家精神』(1985)
「第13章 既存企業における起業家精神」

▼「大企業はイノベーションを産まない」は本当か(213)

・「たしかに大きなイノベーションは
大企業からは生まれていない」(213)

→しかし、これはまったくの誤解。
→「起業家として、イノベーションの担い手として
成功した大企業は多い」(214)

・「規模の大きさそのものは、
イノベーションと起業家精神の
障害にならない」(214)

→「もっとも起業家精神に乏しく
もっともイノベーションの体質に欠けているのは、
むしろ小さな組織である」(214)

・イノベーションと起業家精神にとっての最大の障害:
既存の事業(特に成功している事業)

→既存の事業はつねに優先されるし、
確実なもの。だから新たな事業は後回しになる

☆通常の認識の逆である

・「イノベーションと起業家精神」は
「いかなる企業においても実現できることを示している」
→「ただし、そのためには意識的な努力が必要である。
学ぶことが必要である」(215)

▼起業家精神が生まれる構造(215)

・「イノベーションを行うためには、
そこに働く人間の一人ひとりが
いつでも起業家になれる構造が必要である」(215)

・「起業家的な事業、
新しい事業は、
まず既存の事業から分離して組織しなければならない」(215)

→どうしても既存の事業に引きずられてしまい
新たな発想ができなくなってしまう。
だからこそ
「新しい事業の担当者は、
別の人たちにしなければならない」(216)

→新事業は
「トップマネジメントのひとりが、
明日のために、その特別な仕事に責任を追わなければならない」(216)

▼新しい事業をおろそかにしない方法(216)

・新しい事業は赤ん坊である。
「成人、すなわち既存の事業や製品を担当する者には、
赤ん坊に割ける時間はない。
理解もできない。
そもそも、関わっている余裕がない」(216)

・「新しい事業をおろそかにして
息の根をとめることを防ぐ最善の、
唯一といってよい方法は、
それらのものを初めから
独立した事業としてスタートさせることである」(217)

→P&G、ジョンソンアンドジョンソン、3Mはすでにやっている

・独立させて行うもうひとつの理由:
負担を軽くするため

→新事業は既存のものとは違う
システム・ルール・評価基準が必要となる(218)

☆新しく始める場合、
全く別物として
予算や人事などもきちんと考慮に入れる必要がある

☆もうすぐ4月です。
新しく始めたいことは何ですか?

▼起業家マネジメントにおけるタブー(219)

・起業家マネジメントを行うためにしてはならないこと:
(1)「既存の事業部門と起業家的な部門を一緒にすること」(219)

→「それまでの考え方や方法を変えることなく、
起業家たろうとしても無理がある」(219)

☆私も教員のマインドのまま
起業をして大失敗しました

(2)大企業との合弁事業は成功しにくい

→方法・文化・考え方が合わないため
→「大企業が起業家として成功しているのは、
多くの場合、自らの人材によって新しい事業を手がけたときである」
(219)

→「イノベーションを必然の機会(☆チャンス)と
見ていることが前提である」(220)

☆iモードを出した時の
NTTドコモはまさにそのようなもの。

(3)「得意な分野以外でイノベーションを行おうとしても
成功することはめったにない」(220)

→「イノベーションは、多角化であってはならない」(220)

→「イノベーションが行えるのは、
市場や技術について卓越した能力をもつ
分野においてのみである。
新しいものは、必ず問題に直面する。
そのときに、事業に通暁していなければならない」(220)

→「多角化は、市場や技術についての
既存の共通点がないかぎり、
うまくいかない(…)
イノベーションは、自らが理解しているところでしか
行えない」(220)

☆あれこれ手を出して業績が悪くなった
ライザップの事例がある

(4)「買収、すなわちベンチャービジネスを取得することによって、
起業家的になろうとしてはならない」(220)

 

・「この急激な変化の時代にあって、
イノベーションを行い、成功し、
反映したいのであれば、
起業家マネジメントを、
自らの組織のなかに構築しなければ
ならない」(220)

→「大企業であれ中小企業であれ、
起業家として成功するには、
起業家的な企業としてマネジメントしなければならない」(221)

 


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