今日はマンガの話です
こんにちは、
作文・論文アドバイザーの
藤本研一です。
私の好きなマンガの一つに
『へうげもの』があります。
「へうげ」を「ひょうげ」と読みます。
つまり、
『ひょうげもの』。
ひょうきんなもの・
面白いもの、
と言った意味になります。
このマンガの主人公は
古田織部(ふるたおりべ)。
茶道の開祖・千利休の
後継者であり、
大名でもあります。
戦国時代後期を舞台に、
武道と茶道(数寄)で
世を渡っていく姿が印象的な
マンガです。
茶道を元にしながら
戦国時代を描く。
茶道具がたくさん登場し、
「お茶を習いたいなあ〜」
と思ってしまうマンガです。
『へうげもの』の特長は
「美」の表現の仕方にあります。
主人公・古田織部が
茶碗・茶さじなどの
茶道具を収集していきます。
彼が感動するほどの道具は
めったにありません。
が、あった際には
感動を露わにします。
「この、ヌヒャアとした感じがいい!」
みたいに。
「ヌヒャア」。
意味、わかりますか?
私には、
いまいちわかりません。
部屋の中のものをすべて
擬音で表したシーンもあります↓
よく意味はわかりません。
でも、
「すごそう」
な感じが伝わります。
このマンガの不思議なところは、
古田織部が
「ヌヒャアという感じ」
と伝えると、
まわりの弟子たちもちゃんとそれが
理解できるのです。
「ほんとだ、ヌヒャアとした感じだ!」
と。
そう言われるまで、
なんとなく見ていた茶道具が
「ヌヒャア」という擬音によって
良さが表現されたのです。
言葉によって、
本来言葉にできない「美」の
特長がハッキリしました。
言葉にすることで、
そのものが表現されるのです。
「ヌヒャア」という表現。
これ、
典型的な
「耳の言葉」でしょう。
「美」という、
本来表現しにくいものを
「耳の言葉」で現しているのです。
☆「耳の言葉」はこちらをどうぞ↓
このように言葉にする力。
美術品を表現するのには
欠かせない能力です。
言葉に出来ないものを、頑張って言葉で表現する
たとえば、先日
札幌JRタワーのプラニスホールにて
行われている
『フィンランド・デザイン展』に
行ってきました。
フィンランド製の
食器や椅子、
オブジェを鑑賞してきました。
シンプルかつ合理的なデザイン。
それを一緒に行った妻に語る時、
「この、スキッとした感じがいいね〜」
と思わず表現していました。
美しいものを観たとき、
「美しい!」と感じます。
でも、それが
「どう美しいか」
表現するのは難しいのです。
難しいからこそ、
頑張って「耳の言葉」で
表そうとします。
むろん、
「耳の言葉」ですべてを
表せません。
それはわかっているのですが、
それでも頑張って表現する。
表現できないのは理解した上で、
それでも表現する。
そこに「美」の本質があるように感じます。
この
「美」の言語化は難しい。
だからこそ、
評論家が必要とされるわけです。
「なんとなく」しか表現できないものを言葉にしよう
評論家は
誰もが「なんとなく」しか
感じられない良さを、
きちんと分かる「言葉」で表現してくれます。
茂木健一郎さんでしたら
「クオリア」、
福岡伸一さんでしたら
「動的平衡」で美を表現します。
読む私たちはそれを見て
「なんとなく」思っていた「美」が
言葉として表現されるのです。
人間は言葉によってしか
物事を理解できません。
だからこそ、
本来言葉に出来ないものを
「言葉」にしてくれる人の
話を聞こうとするのです。
仕事のノウハウなどもそうです。
「どう仕事したらいいか」
を言葉にする。
「言葉」で表現されるからこそ、
「なんとなく」思っていた仕事のノウハウが
使えるようになるのです。
ぜひ
「言葉に出来ないものを言葉にする」
こと、意識してみてくださいね!
ではまた!
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