目次
塾経営をしながら北大大学院に通っています。
私はふだん「1対1大学院合格塾」という社会人の大学院進学をサポートする塾を運営しています。

その傍ら、北海道大学の「公共政策大学院」(通称HOPS ホップス)に通い、公共政策について研究を行っています。

現在は修士課程3年生。
(…長期履修制度を使っているので「ダブっている」わけではありませんの念の為…)
今回は「公共政策」的に、地方にある社会人大学院の意義についてを考察していきます!
社会人が大学院に行くメリットは、本人だけにとどまらない!
社会人の方が大学院に進学する。
その目的として、MBAコースで経営の専門性を高めたり、看護大学院で看護師の方が「専門看護師」の資格取得を目指したりするものがあげられます。
これらは一般的には「個人のキャリアアップ」に役立つように思われています。
つまり、MBAで学ぶことで経営の専門性を高め転職や起業を実現したり、専門看護師の資格を取ることで待遇・給与を改善し昇進・昇格が可能になったりすると考えられています。

一面的にはこれらも立派な大学院進学の目的と言えます。
ですが、大学院進学の役割はこれだけではありません。
大学院を出て専門知識・人脈を持った高度人材が社会で活躍をする。
そのことは地域をより良くすることにもつながるのです。
よく地方都市では「人材がいない…」ことが嘆かれています。
中でも高度な職業能力を持った人材は地方都市ではいつでも不足しています。
そんななか、大学院の存在には高度な能力を持った人材を地元に輩出するという意義があります。
言ってしまえば、大学院がある都市のほうが、優秀な人材・高度な能力を持った人材を確保しやすくなる、ということです。
この点は大学院進学が社会にもたらす効用、であるといえるでしょう。
個人の観点では大学院進学は昇給・昇格や転職・起業など自身のキャリアアップにつながることはもちろんですが、社会の観点から見ても大学院進学は高度な能力を持った人材を地元に供給できる点で大きなメリットがあるといえるのです。
社会の視点から見た大学院進学の意義
政策として大学院を考える場合、単に個人のキャリアアップや自己実現だけをみていると偏った見方になります。
大事なのは、個人の視点だけでなく、大学院を出て高度な能力を持った人材が地元社会に多く輩出されることの社会的影響も注目してみることが求められています。
実際、大学院には多額の費用が税金から支出されています。
これらの税金が大学院に使われるのには、大学院が単に個人のキャリアアップを実現することではなく、大学院によって優秀な人材が多数輩出されることが社会にも大きなメリットがあると考えられているからです。
…めんどくさい言い回しをしましたが、要は大学院があることは個人だけでなく広く社会にとってもメリットが有る、と言えるのです。

実は社会人大学院生のほうが地元社会への貢献は大きい件。
さて、この視点を持ったうえで大学院への進学について考えてみましょう。
日本において大学院に入学する人の9割方が大卒後すぐに進学する人、となっています。
大学4年生を経た後そのまま大学院に進学するというルートをたどる人が多数を占めています。
一方、社会人として大学院に入る人は1割にとどまっています。
(1割ではありますが、毎年7000-8000人いますので決して少数ではありません)

こうしてみると、大学院の大部分は大卒後すぐ入る学生で占められているわけですが、こういった学生が大学院修了後も地元にとどまってくれるかというと未知数です。
例えば北海道大学大学院には本州出身の学生が多くいます。
大学院のデータがすぐ出せないので大学のデータを見てみますと、北海道大学では学生の6割以上が本州出身です。
大学院についても同じようなデータであると仮定すると、大学を出てすぐ大学院に進学する人の多くは本州から来ている人であると言えます。

この場合、大学院修了後 一定数は北海道に残ることになると思いますが、多くの人は本州に戻るケースが多いと考えられます。
一方、社会人の大学院進学の場合、状況が異なります。
社会人として仕事・家事・育児・介護をしながら通学する場合、近場の大学院を選択するケースが多いです。
そのため、社会人の大学院進学者の場合 地元に住み、地元から大学院に通う人が多いと言えるでしょう。
こういう人たちの場合、大学院修了後も地元である北海道に残るケースが多いと考えられるのです。
ということは、社会人大学院生を多く入れた方が「地元に残って地元で活躍する人材が多く残る」と考えることもできるわけです。
このことによって地元の活性化に寄与する人材が増えていくと考えることもできるでしょう。
地方の人材育成の場としての地方大学院
地方都市にある大学・大学院の場合、首都圏にある大学・大学院と違い「地元に貢献する」意識が強いケースがあります。
例えば小樽商科大学や小樽商科大学大学院は地元である小樽市や北海道への貢献を全面的に謳っています。
他にも、北九州市立大学大学院など公立大学院でも地元経済への貢献を謳っているケースが多いです。
ただ、大学を出てそのまま大学院に進学する学生の場合、大学院を経て就職する際必ずしも地元企業に就職するわけではありません。
大学院で学んだ専門性を活かし本州の大企業で就職するケースや中央官庁で就職するケースも多いです。
一方、すでに地元で働いている社会人がこういった大学院に進学する場合、修了後も地元に残り続け大学院で培った知識や人脈を活かして活躍するケースが多いと想定されます。
こう考えると、地方大学院こそ社会人大学院生を多く採用することが地元の活性化や地元の貢献にもつながる、ということができるのです。

地元の大学院卒業という強力な人脈形成
社会人として地元の大学院を卒業する。
このことは地元での強力な人脈形成に直結します。
例えば北海道で唯一「平日夜間・土曜開講」により社会人が通学可能な形で運営されている 小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻(通称:OBS) があります。
ここでは、道内の企業で働く社会人が仕事終わりや休日に学びに集い、経営学について実践的に学んでいます。
学ぶ中で自らのビジネスを進化させたり、新たな事業の立ち上げに挑んだりしている人も多くいます。
このOBSの卒業生の中には「白い恋人」で有名な石屋製菓社長・石水創さんなど地元企業の経営者や実務家が多くいます。
また、個人事業主やフリーランスとして北海道経済に貢献している方も数多くいらっしゃいます。
OBSに通うことでこういったOB・OGコミュニティともつながることができます。
つまり、社会人として地元大学院を修了することは地元で役立つ強力な人脈を築くことにつながるのです。

地元を離れない=投資が回収されるという視点
ここまで見てきたように、政策の視点から見ても社会人への大学院教育の意義は大きいと言えます。
たとえば、地元自治体や国が補助金などを通じて大学教育を支援しても、その教育を受けた人が地元を離れてしまうと、地域としては「人材投資の回収」ができない状況になることもあります。
ですが社会人であれば話が変わります。
すでに地元で働いている、あるいは家族を持って生活している人が中心であり、大学院修了後も地元にとどまり続ける可能性が高いのです。
こうした人材への支援は、結果的に地元経済への「確実な投資回収」につながるとも言えるでしょう。
地方の国立大学に求められる役割
次に、MBAコースについて見てみましょう。
全国各地の地方国立大学にはMBAコースが整備されつつあります。
たとえば、北九州市立大学や香川大学などもその一例です。
これらの大学院では、首都圏のMBAコース(ビジネススクール)とは異なり、地元企業で働く社会人に向けた実務教育が主眼に置かれています。
地方のMBAコースの意義には、「地域経済のための人材育成」を担うという点も上げられます。
大学という学術機関が、研究や理論だけでなく、地域に直結する実践的な学びを社会人に提供することが、地方創生にとって不可欠な仕組みとなっているのです。

まとめ!社会人の学びが地域の未来をつくる!
社会人が大学院に進学することは、単なるスキルアップやキャリアアップにとどまりません。
それは、地元とのつながりを深め、地域経済に貢献する力を強める「地域貢献型の学び」でもあるのです。
とくに地方においては、「学んだ人が地元に残り、地域の未来を支える存在になる」ことが、大学院教育の大きな価値です。
今後も、地元経済の担い手として社会人大学院生を育成する仕組みづくりがますます求められるのではないでしょうか?
そういう点からも、今後地方の大学院に社会人対象のコースが益々増えることを念願しています。

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社会人の大学院進学は個人のキャリアアップにつながるだけではありません。地域社会から見れば優秀な人材を地元に輩出するという役割もあります。特に社会人の場合は卒業後も地元地域に残る傾向があるため、社会人を対象にした高度人材育成を大学院で行うことには地域貢献において大きな意味があるといえるのです。