これまで、作文のポイントを「作文のコツ」として書いてきました。
一番大事なことは、とりあえず書く、ということでした(「書き始めると、書きたいことは見つかる」)。
そして、書く中で「自分が伝えたいこと」を決めていくのが重要でした(「一つの文章で、伝えたい事は一つ」)。
では、そういう「自分が伝えたいこと」が決まらない場合(あるいは「ない」場合)、どうすればいいでしょう?
伝えたいことが無くても、文章を書かないといけないことはたくさんあります。
業務報告書、送られてきたアンケート、転任する同僚への色紙へのメッセージ・・・。
「突発的」に起こる割に「すぐ書いてね」と指示されやすいものばかりです。
何も伝えたいはないけど、とにかく何か書かないといけない。
でも「ありきたり」なものは困ります。
中学生が卒業アルバムに寄せ書きをしています。
仲が良い人には「前行ったあの映画、面白かったね〜。また行こうね!」とか、
「東京でも頑張れよ!」とか、割と具体的です。
でも、あまり関わったことのない人への寄せ書きは、いささか抽象的。
「今後もがんばってください」
「元気でね!」
「また会おうね!」
人間、書きたいこと・伝えたいことがない場合、抽象的であたりさわりのない、
「ありふれた言葉」を使ってしまいがちです。
では、このように「書きたいこと」も「伝えたいこと」もない場合、どう書けばいいのでしょう?
こういう場合でも、「印象に残る」文章にするには?
その方法が、徹底的に「役立つ情報」を提供する、ということです。
寄せ書きに慣れた人は、名言をよく引用します。
例)今後も「明日は明日の風が吹く」のままに、くよくよせず前に進んでいってください。
「明日は明日の風が吹く」以外は、さきほどの「抽象的」な寄せ書きと似たようなレベルです。
でも、「明日は明日の風が吹く」によって、ちょっと「いい名言」感が出てきます。
それは、ことわざ・慣用句をはじめとする「名言」を伝えているからです。
役立つ情報の提供です。
書かなければいけないアンケートでも、アンケートの求め主が求めている情報を書いてあげるといいのです。
例)このイベントはとても楽しく、あっという間に時間が過ぎました。冒頭の部分が間延びした感じがあったので、BGMを流したり場内アナウンスを早めに行うなどの工夫があると更によいイベントになるように感じました。
私もイベントをやる側なので、アンケートにはいつも一喜一憂しています。
ただ「面白かった」というアンケートも嬉しいには嬉しいです。
ですが、「こうするといい」という提案はさらにありがたいのです。
お客さんの側の気持ちに立つのは難しいものだからです。
この提案も、「すぐできる」レベルの提案だと、主催者側も「あ、次やってみよう!」と動きやすいのです。
伝えたいことはない。書きたいこともない。
でも書かないといけない。
そんなときは「徹底的に『役に立つ』情報を提供する」を意識してみてはいかがでしょうか。
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