社会人大学院生インタビュー8 北大大学院という山を登る!北海道大学公共政策大学院・阿部大祐さん上

社会人として大学院で学んだ経験を持つ方々へのインタビューシリーズ
第8弾は、北海道庁からの派遣で北海道大学公共政策大学院(通称HOPS)に通われている阿部大祐(あべ・だいすけ)さんのお話を伺います。

山に憧れ続け、いまも登山を続けられている首尾一貫な姿勢が伝わるインタビュー。3回に分かってお伝えします(上)。
(インタビュー実施日:2024年5月10日)

阿部大祐さん

旭川出身。高校時代から登山に目覚め、明治大学在学中は国内外の山に挑み続ける。北海道庁入庁後は観光局など多方面で勤務。外務省出向でモスクワの日本大使館でも勤務。2024年度からは道庁の「企業等・大学院派遣研修」の一環で北海道大学公共政策大学院に進学。

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道庁からの出向で大学院進学!

ーー今回は北海道大学の公共政策大学院に今年の4月から学んでいらっしゃる阿部大祐(あべ・だいすけ)さんに来ていただきました。

今回は阿部さんが公共政策大学院を目指された理由や入ってみての実際を伺っていきます。
早速ですが、阿部さんの自己紹介をお願いします。

阿部:阿部大祐(あべ・だいすけ)と申します。現在北海道庁に勤めております。

道庁内の公募を受けて派遣となり、今年の4月から北大の公共政策大学院で勉強させていただいています。

ーー立場としたら、道庁を休職して大学院に通っていらっしゃるわけでなく、業務の一環として北大に通学しているという形でしょうか。

阿部:はい、研修派遣という形で通っています
お給料をいただきながら通学できるので本当にありがたいです。


ーー学費の負担はどうなってるんですか?

阿部:学費も公費で出していただいているという形です。


ーーそうなんですね!
その制度を使われているのですね〜!
この制度ってどういう形で申し込むのでしょうか?

阿部:毎年6月に「国内のこういう大学院に行きたい人はいませんか」という公募が出るんです。

北海道庁では北海道大学の公共政策大学院だけではなく東京の政策研究大学院大学や小樽商科大学大学院(OBS)の3つが選択可能で、希望者を募るという形になります。

希望する職員を募った後は人事課の面接等を経て派遣される形となります。

制度を使っている人から知ったのがきっかけ。

ーーそうなのですね!
阿部さんはちょうど去年の6月ぐらいにこれを出されたんですね。
北大公共政策大学院の公募に申し込んだ理由は何でしょうか?

阿部:もともとそういった制度があるのは昔から知っていました。

ちょうど去年の3月ごろに道庁職員で「今年から北大大学院に行くよ」という方に出会ったんです。
公共政策大学院への派遣でいえば私の前任者にあたる方ですね。

その話を聞いて、以前自分も「いつか大学院に行きたいな」という希望を持っていたのを思い出したんです。

あと、私のなかで大学院への派遣は30代前半の人が行くイメージだったんですけど、この方は僕より一つ上の方なんです。
なので自分もやってみようかなと。

実際に出願にあたってはこの方に相談しながら研究テーマを決めて応募しました。

ーー道庁から毎年一人ずつぐらい北大公共政策大学院に派遣される流れがずっと続いているんですね。

阿部:私の知ってる限りで20年ぐらいでしょうか。

ーーそんなに続いているんですか!

阿部:だと思いますね。
北大の公共政策大学院ができた当時から派遣がある計算になると思います。


ーー「北大の中に公共政策大学ができるんだったら、道庁職員が行かないで誰が行くんだ」みたいな感じなのでしょうか。

阿部さんのように道庁から派遣で通われる場合、通常2年間の修士課程の学習を1年に短縮して学習する形(1年制修士課程)になります。

思っていた以上にハードな大学院生活…!

ーー入学して約1ヶ月半となりますが、実際に公共政策大学院に通ってみていかがですか。

阿部:やっぱり思っていた以上に大変ですね(笑)

優秀な学生さんが2年間で学習するところを、私みたいな40代の男が1年で終えるというのはなかなか困難です。

しかも修了時には修士論文にあたる「リサーチペーパー」を出すんですけど、これがけっこうな負担。
まあ、前任者などから聞いてたとおりなんですけども。

ーー聞いてた以上に大変だったという感じですか?

阿部:前任者が自分のアピールとして「公共政策大学院は大変なんだ」と言っている側面もあると最初は思ったんですけど、そうではありませんでした(笑)

なので毎日課題に追われています。

ですが、課題に追われているだけでは駄目で、自分の本来やるべき研究テーマを進めないといけないのですが、時間の捻出がなかなかできないんです。

これが困っているところですね。

ーーなるほど〜!

ただ、阿部さんは道庁でこれまで業務を遂行したり書類を作ったりなさってきたと思うのである程度慣れていらっしゃるところもあるかと思います。

なので社会人経験があるから学びやすい側面というのはあるのでしょうか?

阿部:まさにあると思います。
職場での技術的なスキル、大学院での学習にも生きていると思います。

なぜかというと、大学院の課題っていうのはその授業1個じゃないからです。

授業が進んでいくと、別の授業でも課題が出てきます。

これらの課題を同時並行的に進めなきゃいけないですし、グループワークがある授業では共同発表者と事前に打ち合わせをして協力して勧めていく必要があります。

並行してちょっとずつ進めていって、どんどん課題を提出していくという感じです。
これは職場の仕事に通じるものがあると思っています。

「登山道整備について研究しています」

ーー職場の経験が大学院の学習にも役立っているし、大学院の経験が多分職場に戻ってからも役立ちそうですね!

いま研究テーマとして考えられているのはどういうテーマですか?

阿部:いま「持続可能」という言葉が流行っていますけれども、持続可能な形での登山道整備について研究したいと考えています。

私のフィールドとして考えているのは北海道の大雪山です。

ここは旭川の南に広がっている国立公園です。

大雪山において行われている登山道整備がどういう形で行われれば、持続的でかつ利用者も増えるかということを研究したいと考えています

具体的には利用者が協力金を出すとか、ボランティアで登山道整備をするとか、どういう形にすればさらにうまく回るのかということを研究テーマにしようと思っています。

ーー登山道整備といいますと、単なるゴミ拾いとかだけではなくて草刈りや倒木の撤去などそういうものも入るのでしょうか?

阿部:もちろんこういうものも全て入るんですが、登山道整備をする主たる理由が植生保護なんです。

登山道を登山者が歩くと踏まれた圧力で植物がどんどん死んでしまうんですね。
かつ道もえぐられていきます。

そこに雨が流れると川のように流れてしまい道がえぐられてしまうんです。

そうなると道がぬかるみになってしまい、登山者は歩きにくので別のところを歩くようになります。
結果、複線化といって登山道が2本になってしまい、植生の破壊が進んでしまうんです。

もちろん、山の土壌によっても異なるんですが、大雪山の場合 火山灰が基盤になっているのでえぐれたところに雨が降ると一瞬にして流れてしまうんです。
植物がどんどん流されていく。

これを防ぐため、例えば荒れている登山道に木道を設置し、そこを歩かせることによって、周りの植物をこれ以上傷めないようにする措置が現在取られています

ーーなるほど〜! 登山道整備が植生保護につながる理由がよくわかります!

☆インタビューシリーズの第2弾(中)に続きます。

☆これまでのインタビューはこちら↓


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