灘高校の名物教師・橋本武先生に学ぶ!
いま灘(なだ)高校の名物教員だった
橋本武(たけし)先生の本を読んでいます。
(以前も書きましたが)
『奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち』という本、
読んでいますと
橋本先生の情熱や思いが胸に強烈に伝わってきます。
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(写真はAmazonより)
☆『奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち』の
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灘が格下だったころ。
灘高校というと
「東の開成、西の灘」と
言われるくらいの名門校であり、
毎年東大合格者数を多数輩出しています。
灘は兵庫の酒造会社が昭和3年に作った私立校です。
日本酒の白鶴・菊正宗・桜正宗の3社が
人材育成のために出資して設立されました。
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(東大 赤門)
昔から名門校だったように思われていますが、
実は橋本先生が勤務しはじめた頃、
灘は「公立に落ちた人が行く」学校でした。
公立よりも格下、
なんなら「なんでそんなところで教員をやるの」
と言われるような状態だったと言います。
(橋本先生は東京高等師範学校卒のエリート教員。
当時、そんなエリート教員が
私立校で勤務すること自体異例でした)
灘において校長から
「自分がいいと思うことを自由にやっていい」
と言われ始めたのが『銀の匙』の授業なのです。
薄い文庫本1冊で中学3年間の授業。
橋本武先生は
『銀の匙』という薄い文庫本をもとに
中学3年間の国語の授業を行い続けた人です。
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1冊の本の中に出てくる
難しい用語を自分で調べたり、
出てきた概念を深堀りしたり、
「脱線」しながら学んだりするなかで
主人公の感覚を追体験していく授業が
橋本先生の授業です。
『銀の匙』がまさに自分自身の作品であると
言えるくらいまでじっくり読み込んでいく授業。
授業を通して生徒たちに
自分で考えることの大事さや
「脱線」して自分の世界を広げる重要性が
伝えられていったのです。
教員にとってプレッシャー。
1冊の本だけで
3年間授業をし続けるのは
教員にとってもプレッシャーです。
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教材が大量にあれば
多少わからないところがあっても
ごまかすことができますが、
1冊のテキストしかないと
それもできません。
そのため橋本先生は授業前に入念に予習をするだけでなく、
場合によっては『銀の匙』の著者である
中勘助(なか・かんすけ)に手紙を書いて
教えを請うこともやっていたといいます。
橋本先生が『銀の匙』という教材を徹底的に
研究していたからこそ
生徒の印象に強烈に残る授業を
行うことができたのでしょう。
教員は教材研究に命をかけろ!
私の大学時代の恩師・岡村遼司先生は
「教員は教材研究に命をかけるべき」
といっていました。
自分がこの授業で何を伝えたいか。
どうやってそのメッセージを伝えるか。
どういう切り口で表現するといいか。
それを克明に考えるべきだと
岡村先生は言っていました。
この岡村先生の教えは橋本先生の生き方にも
つながっています。
橋本先生は翌日の授業のため
『銀の匙』学習用のプリントを
深夜まで準備していたからです。
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勤務していた当時はコピー機なんて便利なものが
ありませんでしたので、
鉄筆(てっぴつ)でロウ板を1文字ずつ削って
文字を書いていきます。
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全身汗まみれ・インクまみれで
作業を毎日行っていたというのは
まさに「教材研究に命をかける」姿
だったと言えるでしょう。
それくらい真剣に教材研究をしていたからこそ
生徒にその情熱が伝わって言ったのだと思います。
私も教育関係者の端くれとして、
教材研究の大事さを痛感しています。
つまり大学院受験対策や
企業向けビジネス文書研修の教材を
どれだけ深く研究できるかが
日々試されているように思うのです。
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「教師修業に果てはない」という言葉の
重みを実感しています。
今回のポイント
教師修業に果てはない!
日々の教材研究に情熱を!
授業って、いくらでも手を抜ける。
私は前職で高校教員をやっていました。
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教員の主要な業務は授業を通して
生徒に知識と生き方を伝えていくこと。
ですが、この授業というのは
やろうと思えばいくらでも手を抜けます。
なんとなく教科書を読み上げるだけでも
授業が成立しますし、
「きょうは映像を流すので
これを見て感想レポートを書くように」
と言っても授業が成立します。
一方、
気合を入れてプリントを作ったり
自費で資料を買い込んでその内容を元に
授業をしたりすることもできます。
手を抜いても気合を入れて授業をしても
教員の給料は同じです。
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学校の教員って
生徒対応や行事の準備・各種打ち合わせなどで
授業をしていない時間のほとんどは
授業準備(教材研究)以外の業務で終わります。
結果、明日の授業の準備をするのは
終業後の時間帯になることが多いのです。
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就業後に授業準備をするのはなかなかキツく、
結果「なあなあ」な授業が
多く行われる傾向にあります。
いまは「働き方改革」で
この傾向、若干は改善していることを祈るばかりです…。
(もちろん、この状況の中で
バッチリ教材研究をして
素晴らしい授業を行っている教員も
多くいらっしゃいますので念のため…)
教材研究への情熱が試されている!
岡村先生が言っていた教材研究の大事さ、
高校教員時代
「分かってはいるけど
ちゃんと教材研究をする時間がない…」
状態が続いていました。
この状態をなんとかしたいと思って
高校教員をやめ、
自分で塾を始めたのが8年前になります。
いまもちゃんと教材研究できているか
心もとないのですが、
橋本先生や岡村先生に怒られないよう
教材研究に力を入れていきたいと
思っているところです…。
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(365日まいにちのブログ連続更新も、
この「教材研究」という意味合いで考えていただければ
幸いです)
ではまた!
Digest!
名門・灘高校の名物教師・橋本武先生。
『銀の匙』という1冊の文庫本で3年間授業をした
型破りな国語の授業で有名です。
橋本先生は『銀の匙』の教材研究に
命をかけていました。
この情熱が生徒にも伝わっていったのだと思います。
教材研究に命をかける姿勢、
私も学んでいきたいと思います…!