イマイチ専門職大学院が普及しなかった20年。20年前の名著を読んで残念に思った点。

藤本研一

Digest!
『キャリアアップの投資術:専門職大学院でスキルを磨く』
という本を読んでいます。

日本もアメリカ同様、社会人が大学院に通って
MBAなどの資格を取っていくことを提唱した
20年前の本です。

専門職大学院制度が設立された頃に書かれた本書。
可能性に溢れた本なのですが、読んでいて残念なのは
20年経ってもあまりこの制度が普及しなかった点。

もしこの状況が続くなら日本はヤバいんじゃないかな…と
思ってきました。

20年前の名著『キャリアアップの投資術』を読んでいます。

いま
『キャリアアップの投資術:専門職大学院でスキルを磨く』
(PHP文庫)を読んでいます。

日本でロースクールやMBAスクールなどを含む
専門職大学院制度が本格的にはじまったのは
2003(平成15)年。

同じ2003年に書かれたのが
本書です。

専門職大学院は
これまでの日本の大学院が
研究者育成に偏りすぎていたことを反省し、

社会人が実務で使える専門知識・スキルを
修得できるために新たに考えられた制度です。



2003年からの専門職大学院制度。

本書は2003年から始まる専門職大学院制度が、
アメリカ同様にビジネスパーソンの
「投資」対象として役立つようになることを
指摘した内容となっています。

「ビジネスパーソンのキャリアアップにおける投資効率が
 最も高いのは、
 働きながら専門職大学院に通い、
 現在の組織でキャリアアップを目指すこと
 (退職金、年金等々をも考慮に入れて)であると
 筆者は考える
が、
 
 高額の出資を覚悟で海外のビジネススクールに
 留学することも、
 退職して全日制の法科大学院に通って弁護士に
 転職することも、
 投資として金銭的かつ主観的に
 十分に見合うものであると納得がいくならば、
 ぜひともトライすべきである。

 ファイナンス理論からいえば、
 新たな投資機会が存在するということは、
 企業であれ個人であれ、
 自らの潜在能力がフルに発揮されてはないということを
 意味しているからである」
 
(山本昌弘.
  『キャリアアップの投資術 : 専門職大学院でスキルを磨く』.
  PHP研究所, 2003年. 18頁)

アメリカのMBAスクールでも
実際に教えている著者だからこその視点が
あれこれ散りばめられた本となっています。


「アメリカ人は自らのキャリア計画を
 明確に立てた上で、
 いつ頃どれだけの教育投資を行うかを
 つねにシビアに考えているのである。

 そしてビジネススクールは、
 そうした多様な要求に応えられるよう、
 ビジネスパーソンが学びやすい
 さまざまなメニューを用意しているのである。

 それこそが、ビジネススクールが
 プロフェッショナルスクールであることの
 最たる証拠である」

 (64-65頁)

アメリカでのキャリアアップに大学院進学は普通。

アメリカにおいては社会人が
MBA(経営管理修士)取得や
会計士や弁護士資格取得のために
大学院進学をするのが普通になっています。


たとえ数百万円の教育投資をしても
十分に割が合うと考えるからこそ
仕事をしながら/仕事を辞めて
大学院に進学しているのです。

本書を読んで「残念」に思う点

ただ、本書を読んでいると
少し「残念」な思いがしてきます。


それは本書が述べたほど
教育投資の対象として
専門職大学院の制度は普及しなかったからです。

さらにいえば、
専門職大学院の目玉とも言える
ロースクール(法科大学院)の制度自体が
2003年の導入以来、
紆余曲折をたどる事になってしまいました。

かつてはアメリカのように
ロースクールを修了すれば
ほぼほぼ弁護士や検察官・裁判官などの
法曹になれる制度として考えられたロースクールが、
イマイチ合格者も出せない結果になってしまう結果にもなりました。



(ロースクールに行かなくても司法試験を受験できる制度が
 予備試験制度として復活しましたし)


また、MBAコースについても
専門職大学院制度ができて20年していますが
意識が高い社会人の間にしか
イマイチ浸透していない状況が続いています。



もちろん20年前に比べれば
状況は改善していますが、

「社会人が大学院に入って学び直す」

のはあまり普及しているとは言えません。



20年前に書かれた本書を読んで残念に思うのは
まさにこの点なのです。

本当であれば20年経って
社会人の大学院進学が
普及していれば
日本経済がもっとマシな状況だったのではないか、

とひそかに感じました。


今回のポイント


いまこそ専門職大学院でキャリアアップ!
社会人の学び直しが
日本社会を元気にする!

いま専門職大学院が普及しなければ日本経済はもっとヤバくなる?!

本書が書かれて20年間。

あまり普及したとはいえない
専門職大学院制度ですが、
その状況は変わりつつあります。


20年経って
経済のグローバル化はいっそう進展しましたし、

AIやDXなど新たな知識の必要性も
高まりました。

「リスキリング」という言葉も普及してきており、
専門職大学院制度の必要性は
さらに高まってきています。



逆に、今後専門職大学院制度を
活用する社会人が増えなければ
日本経済の停滞はさらに深刻化することも
予想できます。

それは世界において
MBAなどの専門資格を取る人材が増えている関係上、

人材の質と量の点で
日本が世界に負ける事になってしまうからです。


私も北大の公共政策大学院という
専門職大学院で通っているからこそ、
専門職大学院に通う社会人が
さらに増えるよう取り組んでいきたいと思います!



ではまた!


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