「死んだ母親を鍋で煮ている」と答える子どもたち。『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の衝撃!




今回のポイント

概念を理解し、言葉を正確に使う。
その努力が国語力を伸ばす!

『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の衝撃


先日、石井光太さんの
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』
という本を読みました。

現在の子どもたちの「国語力」が
深刻なほど低下している様子を描いた
ルポルタージュとなっています。

読んでいて、非常に衝撃でした。

と同時に、寒気がしてきました。

それは国語の授業が成立しないほど
「読解力」が低下している現状が
描かれているからです。

「ごんぎつね」が読めない小学生。

たとえば、です。

あなたは「ごんぎづね」という
作品をご存知でしょうか?

小学校の国語教科書の
定番教材です。

私も小学生の時に
「ごんぎづね」を教科書で読んだ記憶があります。

「ごんぎつね」という作品は
いたずら狐である「ごん」が
村人に悪ふざけをするところからはじまります。

(全文はこちら

兵十(ひょうじゅう)という若者が
釣ってきたうなぎを「ごん」がいたずらとして
勝手に逃してしまいます。

後日、ごんが兵十の家にいくと
兵十の母親のお葬式が行われていました。


自分がいたずらとして逃したうなぎは
病気の母親に食べさせるために獲っていたものだったことに
そのとき ごんは気づくのです。

そこからごんは反省し、
罪滅ぼしとして栗や松茸を
兵十の家にこっそり持っていく。

そういったお話です。

(『誰が国語力を殺すのか』Kindle版9/329ページを参考にしました)

鍋で煮ているのは何?

さて兵十の母親のお葬式のシーンについて、
「ごんぎつね」本文にはこういう描写があります。

「よそいきの着物を着て、
 腰に手ぬぐいを下げたりした女たちが、
 表のかまどで火をたいています。
 大きななべの中では、
 何かがぐずぐずにえていました」

『誰が国語力を殺すのか』Kindle版9/329ページ

『誰が国語力を殺すのか』の著者・石井さんは
小学校4年生の国語のなかで
このシーンが授業されているのを見学したそうです。

「(著者の)新美南吉(にいみなんきち)は、
 ごんが見た光景なので「何か」という表現をしたのだ。
 葬儀で村の女性達が正装をして
 力を合わせて大きな鍋で何かを煮ていると
 書かれていることから、

 常識的に読めば、参列者にふるまう食事を
 用意している場面だと想像できるはずだ。
 
 教員もそう考えて、
 生徒たちを班にわけて
 「鍋で何を煮ているのか」などを話し合わせた」

『誰が国語力を殺すのか』Kindle版9/329ページ

死体を煮ている?エグい議論

このときの子どもたちの議論が
なんともエグいのです。

「「この話の場面は、
  死んだお母さんをお鍋に入れて消毒しているところだと思います」

 「私達の班の意見は違います。
  もう死んでいるお母さんを消毒しても意味がないです。
  それより、昔はお墓がなかったので、
  死んだ人は燃やす代わりにお湯で煮て骨にしていたんだと思います」

 「昔もお墓はあったはずです。
  だって、うちのおばあちゃんのお墓はあるから。

  でも、昔は焼くところ(火葬場)がないから、
  お湯で溶かして骨にしてから、
  お墓に埋めなければならなかったんだと思います」

 「うちの班も同じです。
  死体をそのままにしたら ばい菌とかすごいから、
  煮て骨にして土に埋めたんだと思います」」

『誰が国語力を殺すのか』Kindle版8/329ページ

この部分、
読んでいてたいへんな衝撃を受けました。

「いや、どう考えてもそう読めないじゃん!」

と思ってしまったのです。

「当初、私は生徒たちがふざけて答えているのだと思っていた。
 だが、8つの班のうち5つの班が
 3・4人で話し合った結論として、
 「死体を煮る」と答えているのだ。

 みんな真剣な表情で、冗談めかした様子は
 微塵もない。
 
 この学校は1学年4クラスの、
 学力レベルとしてはごく普通の小学校だ」
 

『誰が国語力を殺すのか』Kindle版10/329ページ

…この部分を読んで

「ああ、先生たちって大変なんだな…」

と思ってきました。

(私も教員でしたので
 状況がよくわかりますし…)

子ども・若者の読解力低下は深刻…!

この事例をはじめ、
『誰が国語力を殺すのか』には
「読解力の低下」「国語力の低下」が深刻な
子ども・若者の事例が多く出てきます。

前半部分はこういった
国語力低下のショッキングな現状が
続きます。

その中でも母親から
「今日はゲームをしてもいいよ、
 勉強したしね」
と言われてカッとなって母親を殴った少年の話が
特に印象的でした。

…これ、なんで少年がキレたかわかりますか?

なんと
「勉強したしね」を

 「勉強した、死ね」

に認識したから、らしいのです…。

こういう現状、もうどうしていいかわからなくなります。

『誰が国語力を殺すのか』の後半は一転して
〈国語力向上に向けての取り組み〉を
行っている教育機関や個人の取り組みが
次々紹介されます。

最初から最後まで読むと
なんとか心が休まる本ですが、

いずれにしても現在の読解力を始めとする
国語力低下の現状は深刻なことがわかってきました。

ショックを受ける本ですが、
一読をおすすめします!

今回のポイント

概念を理解し、言葉を正確に使う。
その努力が国語力を伸ばす!

社会全体で国語力が低下している…!

現状の国語力低下の背景に
みなが本を読まなくなったこと・
議論をする機会が減ったこと・
LINEスタンプなどを用いることで
感情表現を言語で正確に描こうとする機会が減ったことなど
要因が複数あげられています。

で、恐ろしいのは
国語力が低下しているのは
別に子ども・若者だけではなく
社会全体で低下しているようにも思われることです。

TwitterなどのSNSを観ると
適切な言語表現をしていない投稿も多いですし、

意見が異なる他者と議論をする機会も
年々低下しているように思います。

なによりも議論や会話が
スタンプ1つだけで成立するなど、
コミュニケーションの中身が貧弱化していることも
大きいのではないでしょうか。

やがて大学・大学院の授業も成立しなくなる?!

私は大学院進学の塾を経営していますが、
このままいくと大学や大学院の授業も
今後成立しなくなるのではないかと危惧しています。

だからこそ、
きちっと本を読み、
言語表現を正しく使う機会を
少しでも増やしていくことが大事なのではないか、
と思うのです。

その入口は
本を読むことであったり、
スタンプを使うのを減らして
文章で自分の伝えたいことを表現することだったりと
様々な取り組み方があると思います。

まずはできることから
自分の国語力向上に
取り組んでいく。

これが大事なのではないでしょうか?

こういう努力って地味ですけど、
日々コツコツ取り組むしかないですね。

ちなみに私が365日まいにち書いているブログやメルマガも
私の「国語力向上」のための修行でもあります。

まずは自分から
国語力を高める取り組み、
はじめていきたいですね!

ではまた!


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