修復前のほうが良かった?フェルメールの名画「窓辺で手紙を読む女」を見て思ったこと

今回のポイント

絵画もスケジュールも「余白」がポイント。
余白が大きいほうがインパクトも大きい。

 

道立近代美術館「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行ってきました!

 

いま北海道立近代美術館で開催中の
フェルメール展。

 

正式名称は
「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
となっています。

 

4/22-6/26、
北海道立近代美術館で公開中です。 

☆公式サイトはこちらです↓
 https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/exhibition/program/81

 

 

フェルメールの名作「窓辺で手紙を読む女」が札幌に!

17世紀オランダを代表する画家である
フェルメール。

牛乳を注ぐ女」など
庶民のなにげない日常を描いたことで
有名な画家です。

Wikipedia様より

そんなフェルメール初期の名作「窓辺で手紙を読む女」が
札幌に来ているということで
展示会に行ってきました!

 

 

何者かが上塗りをしていた?!

希少なフェルメールの作品
(30点くらいしか残っていないそうです)の
1つがこの「窓辺で手紙を読む女」。 

 

Wikipedia様より/修復の絵画です

実はこの絵、
フェルメールが描いた後
何者かが上から色を塗り、
絵を全く違うものに改変していたのが

明らかになったのですね。

 

 

もとは白壁の前で
窓からの光で手紙を読む女性の絵だと思われていたのですが、

その壁にはもともと
「キューピットの絵」が描かれていたのです。

 

 

フェルメールの死後、
何者かが上から色を塗りたくって
壁にしてしまったのだそうです。
 

 

なんでも、当時フェルメールの評価は非常に低く、
「レンブラントの絵」ということにするため、
何者かが上から色を塗りたくったのではないか、
と考えられています。

 

4年以上かけての修復作業…!

で、
絵をオリジナルな状態に再現するため、
上から塗られた絵の具を
実に【4年】もの歳月をかけて
少しずつ落としていったそうです。

 

 

展示の中でも作業風景が上映されていましたが、
顕微鏡を覗きつつ
小さなカッターで少しずつ削っていくという
地道な作業が描かれていました。

(横で観ていた集団が
 「これ、時給いくらだろう?」
 という会話をしていました)

 

絵の具を塗るほうは簡単でも、
修復するのはホント大変なのだと実感しました。

 

「あれ、修復前のほうがいい…?」

さて、これだけの手間をかけて修復された絵画。

 

原本が飾られていたので
観てみたのですが…。

 

Wikipedia様より/修復の絵画です

言っちゃ悪いですが、
修復「前」の絵のほうが
スッキリしていいように感じてしまいました。

 

ここからは美術史上の話ではなく
私の「好み」の話になりますが、
修復前の「白壁」が描かれた絵のほうが
「手紙を読む女性」というモチーフが強調されていて
よりインパクトがあったように思うのです。

 

むしろ修復後にキューピットの絵が追加されたことで
絵画全体がゴチャゴチャした印象に
なってしまうのですね…。

 

 

むろん、人類の遺産とも言える
フェルメールの名画に対し、
勝手に上塗りした人物がいたことは
大きな問題ですし、
許せない行為です。

 

ただ、結果的に上塗りしたことで
よりいい絵になっていたのではないか…。

 

 

そんなことをふと感じました。

 

 

この感覚は実際に実物を見ていただいたほうが
わかりやすいかもしれません。

 

あなたは修復前・修復後、
どちらのほうが好みですか?

今回のポイント


絵画もスケジュールも「余白」がポイント。
余白が大きいほうがインパクトも大きい。

 

「余白」があるからこそ価値も伝わる。

 

絵を描くとき、
絵画の中での情報配置が
課題となります。

 

絵画のどの部分を目立たせたいか。
絵画において何を伝えたいか。

 

それによってレイアウトや描き方が
大きく異なってくるのです。

 

 

フェルメールの絵画の場合、
修復前の絵のほうが
「手紙を読む女性」というモチーフに注目しやすいです。

 

 

作者に無断で上塗りするのは
言語道断な行為ではありますが、

上塗りしていた絵のほうが
かえって良かったのではないか、と思ってしまうのです。

 展示会の解説にも書かれていましたが、
 修復前の絵のほうが「内省的」な価値観が
 伝わる絵となっています。

 修復後の絵だと「キューピット」がいるからこそ
 恋文を読んでいるという解釈が
 強まってしまうのです

 

…まあ、このあたりは個人の好みな気がしますので
よければ直接美術館で確認してみていただければ幸いです。

 

スケジュールも「余白」が大事!

さて、
絵画に限らず、
何事も「余白」が大事です。
 

 

 

これは日本文化においても
何も置かない「余白」に大きな価値が
置かれていたことからもわかります。

 

 

「余白」が大きいほど、
強調したい部分が伝わりやすくなるのですね。

 

 

これはスケジュールを考える際にも
重要です。

 

 

私は「貧乏性」なので、
スケジュールの「余白」をやたらと
埋めたくなってしまう傾向があります。

 

 

そのため、日によっては
朝から深夜までバタバタになってしまうことが
時折あります。

 

 

そうなると
仕事をする意味もぶれてきますし、
せわしない印象を周りに伝えてしまいます。
 

 

そうではなく、
あえて予定を入れない「余白」をスケジュールに
組み込んでおくことで
余裕を持って仕事に取り組むことが
できるようになります。

 

 
また、「余白」があるからこそ
その日の中心的な業務に
全力を尽くすことが出来ます。

 


 

仕事が一段落しているなら
「余白」を活用して
新たな活動を行うことも出来ます。

 

 

いずれも「余白」をあえて設けることで
価値を高めることができるのですね。

 

また、大学院進学のための
研究計画書や志望理由書を書くときにも
「余白」が大事です。

 

自分のやりたいことをあれもこれも詰め込むのではなく、
自分が一番やりたいことだけがシンプルに伝わるよう
「余白」を意識して書いていく。

 

これがポイントとなるのですね。

 

「余白」を埋めない大事さ。

…フェルメールの絵画を見ながら、
こういう「余白」の大事さを妄想していました。

 

 

スペースがあればついつい物を置きたくなったり、
スケジュールを埋めたくなってしまうのが
人間の「性(さが)」であるといえるでしょう。

 


 

個人的には修復前の絵画のように
「余白」の大きい絵のほうが好みですし、
「余白」の大きいスケジュールのほうが
自分のやりたいことも取り組みやすくなるようになります。

 

「余白」の大事さを
この機会に考えてみたいなと思っているところです。

 

ではまた!

余談ですが、同じく道立近代美術館で同時開催中の
羽生輝(はにゅう・ひかる)展」もオススメです。

釧路在住であり、釧路の断崖絶壁や湿原を
日本画の技法で描き続けている羽生さんのエネルギーに触れられる
展示会となっています。

フェルメールに比べ人は少ないものの、
自然の持つ荒々しさを感じられるいい展示会となっていました。

公式サイトはこちら↓
https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/exhibition/program/19 

 


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