意外と知られていない!大学院履修単位の考え方

大学院の授業って、
講義だけで完結するのではありません。

「大学設置基準」によれば
1単位の学習には授業外で15~30時間の学習が必要、
という計算になります。

2単位の授業を1コマ履修する場合は
授業前後で【4時間】の学習が必要になるという
計算です。

…こう考えると、
ちょっとは授業外で勉強しなきゃな、
という思いになりますね…!

今回はあまり知られていない
大学院における「単位」の考え方をお伝えします。

大学院、授業時数はどれくらい?

「大学院の授業数って
 1週間でどれくらいあるのだろう…?」

大学院に入ることを考えた場合、
授業がどれくらい実施されるのか
気になりますよね。


修士課程を2年間で修了する場合、
修士1年生の間は
1週間に7〜8コマ授業を履修するケースが
多い印象です。

(CNSコースなど
 実習が入ってくる場合は
 ちょっと変わってきますが)

なるべく修士課程1年生の間に
多くの授業を履修し、

修士課程2年生は
ゼミや修士論文執筆の授業のみに
専念できるようにするのが
求められています。


授業時間だけで学習時間は足りる?


さて、
週に7〜8コマ授業を履修する場合、
毎週ただ授業を受けるだけで
学習時間は足りるのでしょうか?


ここで確認しておくべきことがあります。


それは
大学や大学院における
「単位」の考え方です。

(ここからの内容は案外知られていません)

意外と知られていない、大学・大学院「単位」の考え方


例えば週1回1コマ(90分)で
合計2単位の授業を前期期間(全15回授業)に
受けたとします。


この場合、

  週1回×15回=15単位時間(22.5時間)

の授業時間となります。

「ということは2単位の授業を取るには
 前期の間に22.5時間勉強すればいいのか

と認識する人がいますが
【大きな誤解】です。

実は1単位の授業には
大学での15コマの授業以外での学習が
【前提】とされています。

ある大学の規定を見てみましょう。


「単位とは学修に要する時間を表す基準で、
1 単位は、履修登録を行い、

大学における 15 時間の講義に加えて
30 時間の予習・復習からなる
自己学習が伴った 45 時間の学習を行った上で、

さらに当該授業科目の行うべき授業回数の
70%以上出席し、試験その他の方法により
成績評価が合格と判定されることで
得られるものです。」

https://tokaigakuin-u.ac.jp/wp-content/themes/daigaku/pdf/public_info/rishu_tebiki_h26/123_26dai3.pdf


この場合、
授業時間15時間にプラスして
その2倍の【30時間】の学習を
行うことが前提とされています。

授業時間15時間+30時間で
合計45時間の学習が
1単位の単位を取るために
求められているのです。

これは1コマ1単位の授業のためには
週に2時間 予習・復習や
課題レポート・発展的学習を行うことが
求められている、と言えます。

これは1単位の授業の場合です。

2単位なら倍の学習が…!

私がいま北大大学院で履修しているのは
前期のみで2単位の授業が多いです。

この場合
1コマの授業のために
【週に4時間】の予習・復習などの学習を
行うことが求められていると言えます。

仮に1日8時間労働と同じぶんだけ
勉強する場合、

学習できる時間は
平日5日で8時間×5日=40時間
となります。

大学の授業プラス前後4時間の
学習をする場合、

週7コマ(合計10.5時間)が
履修上限と言えるでしょう。

(40時間-7コマの授業時間10.5時間=29.5時間
 29.5÷4時間=7.375コマ)



日本の大学・大学院では
ここまで厳密に
自己学習の時間を想定していませんが、

海外の大学・大学院ですと
厳密に考えられているケースが多いです。

イギリスやアメリカの大学院は
1週間で実施される
授業数が少ないのですが、

そうできる背景には
「単位の考え方」を厳密に考える発想が
存在しているようです。

つまり授業時間以外で
めちゃくちゃ勉強していることが
【前提】となっているのですね。

大学設置基準における単位の規定を確認すると。

なお、大学・大学院の単位の考え方は
文科省の定める「大学設置基準」に規定があります。

(「大学院設置基準」においても
 単位の考え方は「大学設置基準を援用する」との
 規定が書かれていますので
 大学院に置き換えて考えていただいても
 構いません)

「第二十一条 
 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。

 2 前項の単位数を定めるに当たつては、
 一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて
 構成することを標準とし、

 (…)当該授業による教育効果、
 授業時間外に必要な学修等を考慮して、
 おおむね十五時間から四十五時間までの範囲で
 大学が定める時間の授業をもつて
 一単位として単位数を計算するものとする

 

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331M50000080028



1単位の学習に必要なのは
国の目安としては【四十五時間の学修】
ということになります。


この計算式が成立するのであれば
1単位の学修に必要なのは

15コマ(30時間)の大学での講義
プラス15時間〜30時間の自己学習、

というふうに定義されます。



授業外で何時間も学習する人って
少ないほうだと思いますが、

本来はこれくらい自己学習をする
前提で大学や大学院はつくられていることを意識すると

「ああ、自分ももっと勉強しないとな…」

と思えますね。

 補足
 大学・大学院の1回の授業は
 90分1コマです。

 話がややこしくなるのですが、
 この90分は1時間ではなく【2時間】の学修と
 換算されますので念のため…。

 

今回のポイント


大学・大学院の授業は
その倍の時間、
自己学習が求められている…!

1コマの授業には4時間の学習。

1コマの授業のために
4時間の学習を行う。

ここまで厳密に考えなくてもいいのですが、
大学設置基準上は

「1回の授業の
  前後4時間の学習が求められている」

と考えると
ちょっとは勉強のやる気が出てくるものです。


…まあ、実際は
予習も復習も不要な
「楽勝」科目もあれば、

反対に前後4時間の学習以上に学習が必要な
厳しい科目も存在します。


大学院の先輩などの情報を得て
学習が破綻しないような履修計画を立てていくのが
いいですね!


ではまた!


☆メルマガ登録後1通目が届かない場合はこちらをご確認ください。
メールが届かない場合

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください