大学院修士課程2年生を蝕む「M2病」。『妄想する頭 思考する手』が教えてくれたM2病の意味とは?

今回のポイント
修士2年生になって出会う急なスランプ期。
M2病を乗り越えよう!

 

恐い、こわい、M2病の話。

 

☆本日の内容は動画でもお伝えしています。
動画にしかない内容もありますので
気軽に聞き流してみてください。

 

 

M2病(えむにびょう)という病、
あまたはご存知でしょうか?

 

 

伊集院光さんがラジオで言い出した
「中二病」というのは有名ですね。

なんだか急に世の中がわかったようになった気がして

「どうせこの世の中、
すべてカネなんだ」

などと分かったようなことを
言うようになるような態度。

 

 

そういう「大人っぽいふるまいをしたがる」
中学生の発想を
「中二病」と言っています。

 

 

 

 

今回ご紹介するM2病というのは、
中二病の「進化系」とでも言えるでしょうか。

 

 

中二病が中学2年生で
「発症」するなら、

M2病は修士課程2年生で
発症する病のこと。

修士課程のことを
マスターコースといいますので
そこから修士1年をM1、
修士2年をM2と言っています。

 

私も思い返すと
修士1年生の頃は
すべてが新鮮で楽しかったのを覚えています。

 

自分の好きな勉強を
思い切り出来る。

いろんな人とディスカッションできる。

その点でも幸福感を感じていました。

 

 

…ですが。

 

修士2年生になると
その「輝き」が突然失せます。

 

 

それまではただ新しい知識を
日々学べることにワクワクしていたのですが、

修士2年生の終わりの「修士論文」に
何を書くか焦ってくるのです。

 

 

これまでは何も分かっていなくても
「これから学べばいい」から安心していましたが、

2年生になるとそうでもなくなります。

 

 

その上、
周りの修士2年生が就職活動
(教員採用試験なども)に取り組みはじめます。

 

 

博士進学を希望していても
心が揺らいでくるのです。

 

M2になるとやってくる!突然のスランプ期。

 

 

こういう修士2年生の心のゆらぎ・焦り、
「M2病」と呼ばれています

 

これまでは知識を「知る」だけで良かったところから、
「研究する」こと・知識を「創造する」ことが
求められるようになる修士2年の時期。

 

 

今までのやり方が何もうまくいかなくなる
「スランプ期」が突然始まるのです。

 

 

 

このスランプ、
私も経験しましたが
けっこうツラいです。

 

 

 

私は修士2年生の前半は「うつ」状態でしたが、
今から思うと「M2病」を発症していたのだと
思います。

 

 

自分が研究しようと思っていたテーマが
すでに手垢にまみれるくらい「研究されつくされている」ことに
気づく瞬間。

 

思わず、
その参考文献を
「なかったことにできないか」、
真剣に考えてしまいます。

 

ただでさえ自分の進路についても
最終決断をする必要があるM2の時期。

 

なかなかツライものなのですね。

 

暦本純一さん『妄想する頭 思考する手』より

 

さてさて。

 

このM2病について
本に書かれていたので
ご紹介します。

 

それがいま話題の書
『妄想する頭 思考する手』です。

 

著者の暦本純一(れきもと・じゅんいち)さんは
東大大学院で教えている
バリバリの研究者です。

 

スマホやタブレットで
2本指で動かすと
画面が拡大される機能って
ありますよね。

暦本さんは
この機能の「発明者」なのです。

 

(この技術、
スマートスキン、といいます)

 

ちょっと長いですが、
暦本さんの本からM2病に関する部分を
引用していきます↓

 

「長く同じ仕事をしていると、
経験を積めば積むほど専門的な知識は増える。

でも、キャリアが長ければ
やれることが広がるかというと、
そういうものではない。(…)

研究者の場合、そういう悩みは、
じつは意外と早い段階で経験するものだ。

それは、一人前の研究者になる前に訪れる。

いわゆる「M2病」である。

 

大学院に進んで二年目の
修士二年生(M2)ごろの学生が
陥りやすいスランプ状態だ。

学部を卒業して院生になったばかりのころは、
みんな素人同然なので
「こんなことをやりたい」
「あんなこともできるはずだ」と
無邪気に妄想を広げることができる。

教員から見れば
「それはもうとっくにやられているなあ」
という話も多いけれど、
そうやって「やりたいこと」を
素直に考えるのは悪いことではない。

むしろその大胆さや
素人感覚は大事にしたほうがいい。

ところがM2ぐらいになると、
専門分野の論文などにも
それなりに目を通しているので、
自分が思いつくようなことは
たいがいすでに先行研究があるとわかってくる。

すると、一年前のように
無邪気にはアイデアを考えられない。

自分に残されたフロンティアなど
世の中にはもう存在しないかのような
気分になってしまう。

それで何をやるべきなのかわからなくなり、
一種のスランプ状態になってしまうわけだ。

でも、それを乗り越えたところに
本当の研究者への道がある」

(暦本純一,2021, 『妄想する頭 思考する手』祥伝社。
Kindle版No.969-980/2279)

 

ある程度学問を学んでいくと、

「あ、自分がやろうと思っていたことって
もう研究され尽くしているんだ…」

と知り、愕然とすることがあります。

 

「え〜、自分はいったい
何を研究したらいいのだろう…」

途方に暮れてしまいます。

 

 

こういうときに
自信喪失や不安で
押しつぶされそうになってしまうのです。

 

 

 

結果、いままで出来ていた研究にも
あまり本腰が入らなくなる。

 

相当なスランプ期です。

 

M2病を乗り越えてこそ一人前になれる!

 

 

実は、このスランプを乗り越えてこそ
一人前の研究者になれるのですね。

 

 

再度引用していきます。

 

 

「一人前の研究者は、
世の中のさまざまな先行研究を
知り尽くした上で、
なおも新しいフロンティアを切り拓く。

周囲には、その発想が
「素人のような無邪気さ」に
見えるかもしれないけれど、
学部を出たばかりの院生と同じではない。

「玄人」になっても
無邪気さを維持するには、
やはり日頃のトレーニングが必要だ

(暦本純一,2021, 『妄想する頭 思考する手』祥伝社。
Kindle版No.980-984/2279)

 

大変いい内容だなあ、と
読んでいて思います。

 

 

実はM2病のツラさを乗り越えてこそ、
一人前の研究者になれるのです。

 

そのためには
常に学問に関し考え続け
トレーニングをしていくことが必要なのですね。

 

 

その意味で、M2病って
研究者になるための
大きな関門なのかもしれないと思っています。

 

 

今回のポイント

 

今回のポイントです。

 

 

修士2年生になって出会う急なスランプ期。
M2病を乗り越えよう! 

 

 

M2病には「みんな」なるもの。

 

修士論文必須の大学院の場合、
多かれ少なかれ
みんな「M2病」になります。

 

周囲を見ていても
そういう人が多かったです。

 

 

 

だからこそ、
M2病には「みんななるものだ」・
「必ず通る関門なんだ」と思っていたほうが
気がラクですね。

 

 

そうでないと
人によっては大学院の中退などを
志向する人も出てくるからです。

 

M2病が教えてくれるもの。

 

ともあれ、M2病は
「自分はいったい何を研究したいか」を
問いかけてくれる、
ある意味「ありがたい時期」でもあるのです。

 

自分は何を研究するべきか。
それを調べてどうなるのか。

 

これを考えていく姿勢を
M2病は教えてくれるのです。

 

 

 

なのではじめから
「修士2年になると
M2病というのが待っているので
必要以上に落ち込まないようにしよう」
と考えていたほうがいいですね!

 

 

乗り越えてしまえば
M2病って、自分の研究方針や生き方を考える
絶好の機会となるはずですよ!

 

 

ではまた!

 

(私はM2病のあと、
「一度社会に出よう」と思い、
博士進学を断念し教員への道に進路を切り替えました。

M2の9月からの時期。
よくあの時期からのスタートで内定が得られたもんだと
思っています)

 

 


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