重要な発表は
違う新聞でも見てみよう!
できれば「ネタ元」も読んでみよう!
先日、
文化庁が「平成29年度 国語に関する世論調査」の
結果概要を発表しましたね。
新聞やニュースでも報道されたので
お聞きになった方も多いのではないでしょうか?
これは毎年
文化庁が行っている調査です。
私たちが普段使っている
「日本語」について、
アンケート調査を実施した結果をまとめたものです。
この調査報告を読むと、
みんなが日本語を
どんなふうに認識しているか
一発でわかるのです。
私、職業が
【キャリアアップ文章アドバイザー】です。
文章の専門家です。
そのため、
興味を持って調べてみました。
すると、
【あること】に気付きました。
それは新聞によって
【同じ調査報告でも
記事にしている部分が全く違う】、
ということです。
新聞によって
同じ「世論調査」でも、
扱いが違っているのです。
報道の仕方には
大きく分けて
【3つのパターン】がありました。
目次
(パターン1)新聞のほとんどは「なし崩し」を報道した!
「なし崩し」という意味を
あなたは知っていますか?
ほとんどの人は
「なかったことにすること」
だと考えていますよね。
「Aさんは借金をなし崩しにした」
というのは
【借金の返済をウヤムヤにした】、
つまり【なかったことにする】と
いう意味に考えています。
これ、大きな誤解です!
本当は
【少しずつ返していくこと】
なのです。
面白いですよね〜。
ちなみに
「なし崩し」の意味を
「なかったことにすること」だと
答えた人は65.6%もいます。
「少しずつ返していくこと」という
正しい意味で答えられた人は
19.5%しかいなかったのです!
ちなみに、主要新聞のほとんどは
この「なし崩し」の意味を
半数以上の日本人が間違えていたことを
報道していました。
朝日新聞はこんな記事です。
☆借金なし崩しは「なかったこと」? 国語世論調査
https://www.asahi.com/articles/ASL9R4F5LL9RUCVL002.html
毎日新聞も同様ですね。
☆「なし崩し」本来の意味回答2割
https://mainichi.jp/articles/20180926/k00/00m/040/029000c
産経新聞も同じでした。
☆借金をなし崩しの意味は…3人に2人が違う意味に 文化庁の国語調査
https://www.sankei.com/life/news/180925/lif1809250019-n1.html
地方紙に記事を提供している
共同通信も「なし崩し」を扱っていました。
☆「なし崩し」の意味分かる人2割 文化庁の国語世論調査
https://www.47news.jp/2802333.html
個人的には、
対立することの多い
朝日新聞と産経新聞が、
どちらも仲良く同じ報道していたのが
面白かったですね〜。
さて、ここまで見ると、
文化庁の発表のほとんどは
「なし崩し」についてのみを
発表しているようですが実は違います。
PDF版でみても
A4用紙17ページ分も情報があります。
それ以外のデータも出ているのです。
新聞各紙のうち
一部はこんな内容を報道していました。
(パターン2)読売新聞は「上から目線」の一般化を報道した!
読売新聞はこんな記事にしています。
☆「上から目線」の表現浸透、20年後は高齢者も
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180925-OYT1T50069.html
これは「上から目線」という言葉を
一般的に使うという人が57.4%になった、
ということを示しています。
これまで、「上から目線」というのは
「新しい表現」でした。
要は、一部の人しか使わなかったわけです。
でも、今回の調査では
半数以上の人が使うようになった、
と報道しています。
端的に言えば、
「上から目線」というのは
半数以上の人が使うようになり、
一般的になったということでしょう。
「新たな表現」として生まれた
「上から目線」という言葉が、
一般に使う言葉になったことを
意味しているのです。
(パターン3)独自路線の日経!「お役所言葉」に噛み付いた!
同じ「国語に関する世論調査」を元にした
新聞報道。
日経新聞ではこんな記事になっていました。
☆官公庁のカタカナ語、不評 文化庁世論調査
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35722540V20C18A9CR8000/
官公庁の使う「カタカナ語」が
一般市民にとって
【わかりにくい】と不評だった、
という報道です
次の言葉について
日本語に言い換えたほうがいいのではないか、
と報道しています。
ワーキンググループ 作業部会
ガイドライン 指針
パブリックコメント 意見公募
フォローアップ 追跡調査
インバウンド 訪日外国人旅行(者)
コンソーシアム 共同事業体
(「日本経済新聞」朝刊2018年9月26日より)
この表を見ると、
確かにこの6つは
【日本語】で言い換えたほうが
わかりやすそうです。
(私も気をつけようと思います…)
▼まとめ▼
さあ、いかがでしたか?
文化庁の同じ発表をもとに、
新聞各紙は違う内容を報道したわけです。
ほとんどの新聞は
「なし崩し」の意味の勘違いについて報道していました(パターン1)。
しかしながら、
読売新聞は「上から目線」についてを報道し(パターン2)、
日経新聞は「お役所言葉」について報道していました(パターン3)。
ここに、読売新聞と日経新聞の
「独自路線」が見えてくるようです。
読売新聞は、
日本で最も多くの購読者がいる新聞です。
そのため、
「みんな」が使うようになった、ということを
重視しているようです。
「上から目線」が一般化したということは、
「みんな」が使うようになった、ということです。
要は「この言葉はみんなが使うようになりましたよ」という、
「広い視点」を提示しているようです。
一方、日経新聞は
経済人や企業家に読者が多い新聞です。
そのため、
経済人や企業家と「対立」することの多い
「お役所」への批判を
強く展開したように感じます。
どの新聞も、
ネタ元は同じです。
どれも
「平成29年度 国語に関する世論調査」の
結果概要からまとめられています。
ちなみに原文はこちらです↓
https://goo.gl/XGm1Gm
にもかかわらず、
報道の切り口と角度が
大きく違っています。
こう考えると、
いろんな新聞を読むのって
楽しくなりますよね!
今日のポイント!
今日のポイントです。
重要な発表は
違う新聞でも見てみよう!
できれば「ネタ元」も読んでみよう!
・・・・・・・・・・・
新聞各紙を見るだけでなく、
文化庁が出した「ネタ元」も読んでみると
発見があります。
特に、この文化庁の発表は
私のように「文章添削」を仕事にしている者にとって
ネタの宝庫でもあるのです。
私の講座内でも
紹介していこうと思いますので
お楽しみに!
今回取り上げた
「国語に関する世論調査」のような
国の調査報告って、
だいたいの場合はPDFデータで公開されます。
いつでも・どこでも・無料で読めて
便利です。
なおかつ、
他の人とは差がつく情報が
すぐ手に入ります。
こういった「ネタ元」に当たる習慣が、
あなたをキャリアアップに導いてくれる
ことでしょう。
ぜひ、時間があるときは
こういった「ネタ元」にもあたってみてくださいね!
ではまた!
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