映画『ペンタゴン・ペーパーズ』に覚えた違和感の正体とは?ニクソン大統領って、地味にすごい!

 

今日のポイント
大人なら、プラス面・マイナス面の
「両方の視点」を持とう!

 

いま、『ンタゴン・ペーパーズ 最高機密分書
上映していますね!

 

メリル・ストリープと
トム・ハンクスという「アカデミー賞受賞」俳優が
ダブル主演という豪華な映画です。

 

 

舞台は1971年。

アメリカ大統領たちが
ベトナム戦争に関しての「ウソ」を
国民につき続けていたことが
「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されます。

 

 

政権中枢に関わっていた者からの
内部告発です。

 

その内部告発のもととなった資料が
「ペンタゴン・ペーパーズ」、
つまりアメリカ国防省の機密文書なのです。

 

 

正式名称を
「米国のベトナムにおける
政策決定の歴史1945-66年」
という書類です。

 

 

要は
【勝てないと知っていながら
アメリカ大統領はベトナム戦争を
終結させなかった】
という歴史を綴った文章なのです。

 

 

この「ペンタゴン・ペーパーズ」の中身が
ニューヨーク・タイムズ紙に次々掲載されていきます。

 

この機密文書の内容が知られることは
ニクソン政権(↓)にとって大打撃となります。

そこで
当時のニクソン大統領は
ニューヨーク・タイムズの
記事差し止め命令を連邦裁判所に
訴え出ました。

 

この結果、「ニューヨーク・タイムズ」では
「ペンタゴン・ペーパーズ」を元にしての報道が
できなくなりました。

 

これは言論の危機だ!

その使命感から、
「ニューヨーク・タイムズ」に協力する形で
「ワシントン・ポスト」紙が
代わって報道を行ないました。

 

これ、下手をしたら
「共謀罪」で全員が逮捕される危険性もありました。

 

おまけに、ワシントン・ポストの株を
新規公開をするタイミングと重なりました。

ニクソン政権の動き次第では、
文字通り会社が潰れる可能性があったのです!

 

まさに、ワシントン・ポストが
会社の存続もかけて報道をしたと言えるでしょう。

 

 

当然、ニクソン政権は
ワシントン・ポストも訴えますが、
裁判所の判断は大統領の命令を
無効と判断します。

 

つまり、ニューヨーク・タイムズ紙と
ワシントン・ポスト紙は勝利をしたのです!

 

アメリカの言論の自由が守れた瞬間でした。

同時に、言論の自由を守るために
新聞社が体を張って戦った記録でもあるでしょう。

 

 

映画『ペンタゴン・ペーパーズ』を見ると、
「権力を監視するマスコミの意義」を
再確認できました。

 

 

新聞が権力に勝利した!!!
言論の自由、バンザイ!

 

 

 

…そんな内容の映画でした。

 

 

面白いし、感動しました。

 

 

 

でも。

 

この映画、どうも「しっくりこない」んです。

 

 

何故かと言うと、
最初から最後まで、
ニクソンは「悪役」だからです。

 

 

ニクソン大統領が国民にウソをつき続けた犯罪者であり、
マスコミに圧力を掛け続けるダーティーな存在として
描かれています。

 

(もっとも、ニクソンはガラス越しの
後ろ姿しか出てきませんが)

 

 

 

ニクソンが【最悪の大統領】としてしか
描かれていないのです。

 

 

 

でも、本当にそうなのでしょうか?

 

 

実はニクソンについては、
最近になって再評価の動きが高まっています。

 

 

ニクソンって、「ふつう」の大統領なら
1つやるのもやっとのことを、
いくつも成し遂げています。

 

米中国交正常化もそうでしょう。

またソ連とのデタント(緊張緩和)をもたらした他、
軍事費削減も行なっています。

軍産複合体が政権を支持し続けてきたことを考えると、
けっこうな決断だったはずです。

他にも国内では経済政策(ニクソン・ショックと言われていますが)や
環境保護局や麻薬取締局設置も進めました。

大きいものにはベトナム戦争集結もあげられます。

「ふつう」の大統領がなし得ないような政策を
実行することができた人です。

 

意外と「すごい」大統領なんです。

 

 

それに比べて、
かつてニクソンと大統領選を争い勝利したケネディ大統領は
(途中で暗殺されたとは言え)意外と何もできていません。

ケネディはキューバ危機解消をもたらしましたが、
キューバ危機自体を招いたのはケネディなのです。

おまけに、
ダーティーなイメージのニクソンですが、
ケネディも大統領選での「不正工作」が
いまでは明らかになっています。

 

 

映画『ペンタゴン・ペーパーズ』に感じた
違和感の正体はこのあたりにあります。

 

 

映画の性格上、
仕方ないかもしれませんが、
『ペンタゴン・ペーパーズ』だけを見ると
ニクソン大統領は「最悪」「凶暴」なだけの
大統領として描かれていました。

 

 

これ、もったいないことだな、と思ったのです。

 

 

なぜなら、ニクソンの「悪行」だけを描いていると、
ニクソンの「業績」が全く見えなくなるからです。

 

 

やはり人間、両面をみなければいけないな〜と
思うのです。

 

 

そう思い、
『ペンタゴン・ペーパーズ』を観た後、
ゲオで映画『ニクソン』を借りて観ています。

☆映画『ニクソン』(1995)
https://goo.gl/JhZyVD

 

オリバー・ストーンが監督し、
ニクソン役をアンソニー・ホプキンスが
演じたもの。

そう、あの『羊たちの沈黙』の
レクター博士役の人です。

 

アンソニー・ホプキンスが演じると、
ニクソンにレクター博士のイメージがどうしても現れてしまいますが、
非常に面白い映画でした。

 

 

『ペンタゴン・ペーパーズ』では
ニクソンは完全に「悪役」でした。

 

自己の思いのままに政治をする、
独裁者でした。

 

 

ところが『ニクソン』では
悩みつつも決断を下し、
国を前に進めていこうともがく姿が
印象的でした。

 

 

支持者にもNoをハッキリ言い、
自己の信念を貫こうと努力していました。

 

 

気になったのは、
『ペンタゴン・ペーパーズ』で描かれた事件の描写です。

『ペンタゴン・ペーパーズ』では
記者が「命がけ」で報道していました。

 

ところが、ニクソンからすると
「前の政権もやっていたこと」
と、そんなに大きな影響を受けていませんでした。

 

『ペンタゴン・ペーパーズ』では
大盛り上がりするクライマックスも、
ニクソンはほとんど意に介していませんでした。

 

同じ事件でも、
新聞社側とニクソン側で大きく描き方が違うことに
驚きました。

 

 

同じことでも、
視点によって評価が変わる。

 

これを実感しました。

 

同じことでも、
視点によって評価が変わるのです。

 

 

これは文章を書く際にも同じです。

 

最近、
「○○は絶対にダメ!」
「いまの首相は最悪だ!」
…みたいな言説をよく目にします。

 

 

でも、このことも
肯定側・反対側両方の立場から見なければ
偏ってしまうのです。

 

 

 

「最悪な大統領」と思われるニクソンが、
実はけっこうな業績を残している。

 

 

このことからも
【片方だけの視点では問題がある】ことを
教えてくれているのです。

 

 

社会人が何かを学ぶ際には、
ぜひ「両方の視点」を意識して
学習していくといいでしょう。

 

両方の視点を知っていると、
他の人に説明する際、

「○○さんって、
幅広い視点でものを見ているんですね〜」

と言ってもらえます。

 

反対に、
一方の視点しか知っていなければ
最悪の場合、相手とケンカしてしてしまいます。

 

ぜひ、何かを学ぶ際は
「両方の視点」を知ってみては
いかがでしょうか?

「両方の視点」を持つことが
「大人」な考え方になるのです。

 

極論は捨てて
両方の視点を持つ!

 

これを意識してみてください。

ではまた!


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