東北大学に息づく魯迅と藤野先生のエピソード!真心伝わる添削が魯迅の人生を大きく変えた!【大学雑学】

Summary

東北大学には魯迅とその師・藤野厳九郎とのエピソードが残っています。
藤野先生の思いがこもった授業ノート添削が、その後の作家・魯迅を形成することになりました。
東北大学には魯迅記念展示室もあるので仙台方面に行く際はぜひ見てみてください!

魯迅と藤野先生 東北大学に息づく個人のエピソード

私立大学には慶應義塾の創設者・福沢諭吉や早稲田大学の創設者・大隈重信など、学校関係者の個人のエピソードが色濃く残っているものがたくさんあります。

それに比べ国立大学では個人のエピソードが大学の歴史の中にあまり残らないことが多いです。

(北海道大学のクラークは例外的です)

ですが、その中でも個人の物語が根強く息づいている大学の一つが東北大学です。

東北大学(写真はWikipedia)

東北大学には、ある有名人のエピソードが今も残っています。

その有名人とは中国の文学者 魯迅(ろじん・ルーシュン) です。

魯迅(1881-1936)(写真はWikipedia)

魯迅の作品には『阿Q正伝』や『故郷』などがあります。
教科書で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

『故郷』のラストシーンの言葉は有名ですよね。

「希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る」(青空文庫の訳)

実は魯迅は、1904年に日本に留学し、東北大学の前身である仙台医学専門学校に在籍していました。

今回は「大学雑学」として、東北大学(仙台医学専門学校)と魯迅についてをお伝えします!

運命の出会い ― 魯迅と藤野先生

魯迅は当初、日本の医学技術を学び、中国に持ち帰ることを目的としていました。

ですが言語の壁やノートを正しく取る難しさなど、知識の習得が困難な場面もあったといいます。

そんな魯迅を支えたのが 藤野厳九郎(ふじの・げんくろう)先生 です。

藤野厳九郎(1874-1945)(写真はWikipedia)

藤野先生は魯迅のノートを借り、不完全な部分を丁寧にペンを入れて修正し、返していました。

ペン入れされたノートを見て、魯迅は藤野先生の情熱や真心を実感したといいます。

当時、医学の専門書籍は貴重であり、なかなか手に入りませんでした。

そのため講義中に取ったノートがそのまま教科書として医者になってからも活用されることになります。

藤野先生としては中国で医者になる魯迅が困らないように、また中国の医学水準向上に役立つようにノートにペン入れをし続けた、と言われています。

この行為、単なる添削ではなく、魯迅への深い思いやりと教育への熱意の表れだといえます。

魯迅の取った解剖学ノートへの藤野先生の添削(写真はWikipedia)

やがて魯迅は留学中に見せられた映画フィルムがきっかけで、「医学ではなく文学で中国民衆の目を覚まさせる!」と決意。

医者の道を辞めて帰国することにします。

その時 藤野先生は去りゆく魯迅に自分の写真をプレゼントしました。

裏には「惜別(せきべつ)」と書かれていました。

魯迅の著作『藤野先生』にはこのエピソードが描かれています。

なお、晩年になっても魯迅は藤野先生の写真を書斎に飾っていました。

疲れたときなど藤野先生の写真を目にし「もっと頑張らなければならない」と自らを奮い立たせていたといいます。

実は魯迅と藤野先生は7歳差とそれほど年齢が離れていません。
魯迅が留学していたのは藤野先生が教授になったばかりの時期。
藤野先生との関わりはわずか1年半ほどでしたが、魯迅の人生に与えた影響は大きかったといえます。

魯迅の人間としての偉大さ

私はこのエピソードを昔から興味深く感じていました。

それは魯迅が中国において戦っていたのはまさに帝国主義の当時の日本でもあったからです。

日本はいわば「敵」でもあります。

でも、そんななかでも藤野先生はじめ留学中に出会った日本人への感謝を魯迅が書いているところに魯迅の人間としての偉大さを感じます。

添削は疲れる…。

ちなみに私は藤野先生が魯迅のノートにペン入れ、つまり添削をしていたというエピソードが好きです。

単に文法・書き方・知識を修正するだけでなく、克明に添削されたノートに藤野先生からの「情熱」「思い」が魯迅に伝わっていたと感じられるからです。

私はいま小論文指導や大学院受験指導の塾を運営していますが、この仕事を始めたきっかけの一つが、まさに藤野先生のエピソードでした。

こういう塾経営をしている私として1つだけいいたいのは、添削ってガチでやるとめちゃくちゃ疲れる、ということ(笑)。

たぶん、藤野先生も魯迅のノートへの添削はめちゃくちゃ大変だったことと思います。

別にノート添削は大学教員の仕事ではなかったですし、やったところで給料は変わりません。

それでもやり続けたところに藤野先生の「すごさ」があったのだと感じています。

『藤野先生』と東北大学魯迅記念展示室

さて、魯迅の『藤野先生』にはこういう師弟愛とも言えるエピソードが大量に詰まっています。

なお、東北大学には魯迅記念展示室があります。

魯迅と藤野先生のエピソードが写真付きで飾られているのです。

10年ほど前に私も訪れていますが、とても感銘を受けたのを覚えています。

ぜひあなたも仙台方面にいかれる際は東北大学の魯迅展示室を訪れてみてはいかがでしょうか?

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