以前、保険のCMで使われいたのが印象的です。
聞いたことはあるでしょうか?
あなたに会えて ほんとうによかった
嬉しくて嬉しくて 言葉にできないLaLaLa LaLaLa…
言葉にできない
聞いていると、なぜか胸にこみ上げる曲です。
「嬉しい」という言葉では表現できない「嬉しさ」が伝わってくる。
「言葉にできない」というフレーズのインパクトが大きい。
多くの人にとって共感できる要素でしょう。
よく考えると、感情を言葉にするのが仕事の作詞家にとって、
「言葉にできない」というフレーズを入れるのは相当勇気がいるはずです。
そういった意味でも、意欲的な曲でしょう。
ところで、小学生の絵日記を思い出してみてください。
小学生の絵日記はどの日も「たのしかった」記述ばかりです。
「花火大会にいきました。たのしかったです」
「スイカをみんなで食べました。たのしかったです」
「たのしかった」のは事実です。
ですが、それ以外の要素が「たのしかった」という言葉では伝わりません。
伝わらないのですが、小学生にとってはそれ以外に表現が出来ない。
それこそ、「言葉にできない」のです。
作文の指導において、「言葉にできない」は禁句のようです。
言葉にするのが作文だからです。
でも。
私は「言葉にできない」という表現もアリだと思います。
人間、なにか大きな感動を感じることがあります。
大学に受かった!
就職が決まった!
昇進した!
結婚した!
逆に、大きな絶望を感じることもあります。
彼女に振られた!
志望校に落ちた!
留年が決まった!
大きな感動も、大きな絶望も、言葉にしてしまうと陳腐です。
「めっちゃ感動した!」
「ものすごく落ち込んだ!」
そんな時は、ちょっと待ってみるといいのです。
言葉にしようとするけど、なんか違うと思う。
言葉にすると、嘘くさく感じる。
言葉にすると、安っぽくなってしまう。
そんなモヤモヤを大事にして、しばらく自分の中で寝かせるのです。
数時間後かもしれません。
数日後、あるいは数年後かもしれません。
寝かせた分、自分の中でしっくりくる「言葉」で表現できるようになります。
例えば、「志望校に落ちた!」という大きな絶望を例に考えてみましょう。
志望校に落ちた当時は、「もう何も考えられない…」「悔しい…」「絶望…」くらいしか言葉が見つかりませんでした。
しばらく寝かすと、次のような表現を書けるようになりました。
志望校に落ちたことで、僕は文字通り「目の前が真っ暗」になった。今までの勉強は何だったんだろう。そんなふうに思った。
あまり考えたくないのが「不合格」という言葉だ。いままで何時間も勉強してきたのだから、「不合格」というのは本当に辛かった。
合否結果を電話で聞いたのも良くなかった。
「残念ながら、不合格です。」
何度も耳に届いた。本当に何も考えたくなくなった。
「絶望」になる前後の状況を書いています。
また、ちょっと客観的に自分を見れるようになっています。
作文を書くと、自分を少し客観的に見ることが出来ます。
「言葉にできない」ということも、少し寝かせて言葉にしてみると、自分を少し離れた場所からアドバイスできるようになります。
「言葉にできない」ことはたくさんあります。
「言葉にできない」と、モヤモヤします。
そのモヤモヤを大事にして、文章を考えてみましょう。
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