「この文章、違和感がある…」と思ったときは。
「なんだか文章がねじれている…?」
文章の書き方のアドバイスや
添削を行っていて
「この文章、なんだか
違和感がある…」
ということがあります。
たとえば次のような
文章です。
【例題】
現在の北海道ではスープカレーの知名度が高いが、
20年前はスープカレーのお店の数は少なかった。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/soup-1024x683.jpg)
この文章、
言っていることはよく分かります。
何か文法が間違っているわけではありません。
でも、読んでいて
スッキリしません。
私が感じるということは、
おそらく他の方も気になっていらっしゃるところが
あるかもしれません。
違和感の正体
さあ、この文章の違和感の正体は
どこにあるのでしょうか?
どうやって直せばいいのでしょうか?
実はこの文章、
「が」の前後において
対比関係がねじれているのが
違和感の正体です。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/nejire-1024x683.jpg)
どうやって直すかを見るために
今回は「対比」構造についてを解説していきます!
対比とは?
さきほどさらっと使った
「対比」という言葉。
これは何かと何かを比較するという
意味がある言葉です。
一般的に、
対比を文章で書くときには
次の接続詞や終助詞(最後に来る助詞)を
使うことが多いです。
[接続詞]
・〜〜。しかし〜〜
・〜〜。だが〜〜
・〜〜。一方、〜〜
・〜〜。他方、〜〜
・〜〜に比べて〜〜
[終助詞]
・〜〜が、〜〜
・〜〜だが、〜〜
対比の基本は「太郎くん構文」を使う!
先程、対比構造について
接続詞や終助詞を見てきました。
実際に書くときのポイントを
ここでは見ていきます。
私は塾の講義の中で
次のような例文で
解説することが多いです。
名付けて「太郎くん構文」。
太郎くん構文を使うと
対比構造のポイントが一度で覚えられます!
ぜひ太郎くん構文、
覚えてみてください!
太郎くん構文の基本!太郎くん構文①
まずは太郎くん構文①を見てみましょう。
【太郎くん構文①】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんは野球が●●。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/baseball-1024x683.jpg)
この場合、
●●には何が入ると思いますか?
…当然「下手だ」が
入りますよね。
太郎くんと次郎くんを比べて
野球が上手↔下手という
比較構造が描かれているのです。
実際に書くとこうなります↓
【太郎くん構文①’】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんは野球が下手だ。
違和感なく読むことが出来ますね!
もし、この●●に
「好きだ」が入るとどうでしょうか?
【太郎くん構文①の悪い例】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんは野球が好きだ。
言っている文章はよくわかります。
ですが、なんだか
違和感がないでしょうか?
私たちは文章を読む際、
「一方」や「他方」「しかし」などの
比較の言葉が来ると
無意識のうちで
「この文は何と何を比較しているのだろう…」
と考えています。
そこに「次郎くんは野球が好きだ」という
比較ではない文章が来ると
混乱してしまうのです。
太郎くん構文②
さあ、次の太郎くん構文を見てみましょう。
【太郎くん構文②】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんは●●が上手だ。
さあ、この文章において
●●には何が入るでしょうか?
おそらく、多くの人は
野球同様のスポーツを
持ってくると思います。
●●に「サッカー」や
「バスケットボール」などを
持ってくる人も多いのではないでしょうか。
ここで「サッカー」を当てはめて
文章を考えてみます。
【太郎くん構文②’】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんはサッカーが上手だ。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/soccor-1024x575.jpg)
どうでしょうか?
この場合も違和感なく
読むことが出来ます。
それは
野球↔サッカーという
比較が適切であるからです。
ここのポイントは
野球と同じくらいの
知名度や人気のあるスポーツが来たほうが
比較構造が成立しやすいということです。
カバディのケース
次の例ではどうでしょうか?
【太郎くん構文②の違う例】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんはカバディが上手だ。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/Game-asia-kabadi.jpg)
カバディ(写真はWikipedia)
カバディというのは
インドなど南アジアで古くから親しまれてきた
スポーツです。
「カバディ、カバディ、・・・」
と息継ぎせずにいいながら攻撃をするということで
ルールを知っているという方も
いらっしゃることでしょう。
カバディくらいの知名度があるなら
この太郎くん構文②は成立しますが、
もし誰も知らないようなスポーツなら
読んでいて違和感が出てくるかもしれません。
「対は1つだけ」ルールを覚えよう!
さあ、ここまで
2つの太郎くん構文を見てきました。
あらためて2つの太郎くん構文を
見てみましょう。
【太郎くん構文①’】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんは野球が下手だ。
【太郎くん構文②’】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんはサッカーが上手だ。
太郎くん構文①’も
太郎くん構文②’も、
どちらも
「対になるのは1つだけ」
というルールがあります。
①’では上手↔下手、
②’では野球↔サッカーという
対になっています。
では、次のように書いてみてはいかがでしょうか?
【太郎くん構文の間違った書き方】
太郎くんは野球が上手だ。
一方、次郎くんはサッカーが下手だ。
この場合、
上手↔下手と
野球野球↔サッカー
という2つを対にしています。
そうすると、
読んでいて違和感が発生します。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/iwakan_qustion-1024x683.jpg)
「意味はわかるけど、
イマイチしっくり来ない…」
そういう思いになってしまいがちです。
対比を考える際には
対比の接続詞や終助詞の前後では
「比較する対象は1つだけ」
(対は1つだけ)
を意識すると
スッキリ書けるようになるのです。
今回のポイント
比較の文章を書く際は
「太郎くん構文」を思い出す!
対になるのは1つだけルールを覚えよう!
ではここまでの内容を元に
冒頭の内容を見てみましょう。
【例題】
現在の北海道ではスープカレーの知名度が高いが、
20年前はスープカレーのお店の数は少なかった。
この文章に違和感があるのは
文章の対比構造がねじれているからです。
![](https://school-edu.net/wp-content/uploads/2023/06/nejire2-1024x683.jpg)
本来、
「スープカレーの知名度が高い」と対比の関係にするには
正反対の内容を書くべきなのです。
そこに
「お店の数は少なかった」と書くと
ねじれた印象になります。
それは知名度の高い↔低いではなく
お店が多い↔少ない
という対になっているからです。
「スープカレーの知名度が高い」に対し
正反対の内容にするには
どうやって書き直せばいいでしょうか?
まず解答を示します。
【修正した文章】
現在の北海道ではスープカレーの知名度が高いが、
20年前はスープカレーの知名度が低かった。
そのため、スープカレーのお店の数も少なかった。
まずは文章前半で
スープカレーの知名度の
高い↔低いで
対を作りましょう。
そうすると
「スープカレーのお店の数は少なかった」
というのは
「知名度が低かった」ことから
必然的に出てくる結論になります。
なので「そのため」という接続詞をつけ
文章を補足するとわかりやすくなるのです。
「対は1つだけルール」を使いこなそう!
さあ、いかがでしょうか?
単純に見えますが、
比較する文章書く時、
「対は1つだけ」ルールを
守っていないケースが多々あります。
(市販の本にもこういうねじれがあります)
気をつけて書いてみてくださいね!
ではまた!
コメントを残す